導管
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「道管、導管」は植物の組織について説明しているこの項目へ転送されています。動物の器官については「外分泌腺」を、『X-ファイル』のエピソードについては「導管 (X-ファイルのエピソード)」をご覧ください。


Clip 道管要素 (右, vessel element) と仮道管 (左, tracheids; 隔壁が斜めになっている) それぞれの連結部模式図. 道管要素の間は穿孔 (perforation) を介して連続している (図は階段穿孔). 仮道管の間は壁孔 (pit) を通じて通道している. ショウブ属 (ショウブ科) の根の維管束横断面. 細胞壁が赤く染色された大きな細胞が道管要素.

道管 (導管、どうかん、vessel) は、管状の細胞 (道管要素) が縦につながってできた組織であり、被子植物において木部 (維管束を構成する組織の1つ) の主要な構成要素となっている。道管要素は上下端で互いにつながり、その隔壁にある孔 (穿孔、せん孔) を通して無機養分が通導する (右図)。

ほとんどのシダ植物裸子植物は道管をもたず、仮道管 (仮導管、かどうかん、tracheid) からなる仮道管組織がその役割を担っている。仮道管の両端は尖り、穿孔はない。仮道管どうしは側面で接し、細胞壁の薄い部分 (壁孔など) を通して水や無機養分が通道する (右図)。仮道管は、水の通道のほかに、植物体を物理的に支持する役割も担っている。

道管要素や仮道管は管状要素 (かんじょうようそ、tracheary element) とよばれ、いずれもリグニンを含む厚い二次細胞壁をもつ死んだ細胞である (つまり細胞壁のみ)[1][2]。リグニンを含む厚い細胞壁は管状要素に機械的強度を付与する (通水時には強い張力がかかるため強度が必要) と共に、疎水性であるため管状要素から水が漏出することを防ぐ[3]。管状要素を通して通道する無機養分を含む水は、道管液 (xylem sap) とよばれる。
道管 ナラ (ブナ科) の材の走査型電子顕微鏡像 (上) と横断面 (下). 太い円筒形の空洞が道管. ユリノキ属 (モクレン科) の材の縦断面. 階段穿孔が見える (隔壁が斜めであるため縦断面で隔壁が見える).

道管 (vessel) は、円筒形の死細胞である道管要素 (vessel element, vessel member; 道管細胞 vessel cell) が縦につながってできている組織であり、おおよそ被子植物に特有の構造である[1][2][4] (下記参照)。道管要素の細胞壁は二次肥厚しており、一次細胞壁の内側にリグニンを含む厚い二次細胞壁が存在する[5]。道管要素は基本的に円筒形であり、仮道管 (下記) にくらべて太く短い傾向がある[6][7] (直径は 60?700 μm ほど[4])。上下の隔壁は側壁に対して斜めのものからほぼ直角のものまである[6]。この隔壁は穿孔板 (せんこうばん、perforation plate) とよばれ、1?多数の孔からなる穿孔 (せん孔、perforation) があいている[1][2][4] (上図)。道管要素どうしは穿孔を介してつながっているため水の通道における抵抗が少なく、仮道管 (下記) にくらべて通道効率が高いと考えられている[6][8]

穿孔には、以下のようにいくつかのタイプが知られている[1][9][10][11][12]被子植物においては、階段穿孔が祖先的な状態であり、単穿孔が派生的な状態であると考えられている[6][13]

多孔穿孔[11] (たこうせんこう、multiple perforation; 複合穿孔[12] compound pereforation):複数の孔からなる穿孔。以下のようなタイプがある。

階段穿孔[11] (かいだんせんこう、階段状穿孔[6]、階紋穿孔[2]、scalariform perforation):複数の帯状の孔が平行にならんだ穿孔 (上図、右図)。

網状穿孔[11] (もうじょうせんこう、網紋穿孔[9]、reticulate perforation):複数の孔が網目状に存在する穿孔。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:89 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef