射撃管制装置
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射撃統制システム(しゃげきとうせいシステム、英語: fire control system, FCS)は、射撃統制を行うためのシステム。射撃指揮システム、射撃管制システム、射撃統制装置、射撃指揮装置、射撃管制装置、射撃指揮管制装置とも称される[1]海戦分野では射撃指揮システム、陸戦分野では射撃統制システム、航空戦分野では火器管制システムと称されることが多い[2]
概要
射撃統制

射撃統制とは、目標に対して効果的な射撃を行うために,観測具,照準具,測定具などの器材を用いて,目標の捜索・探知・捕捉・追尾から弾丸を発射するまで,人員及び火器を含めた器材の一連の動作をまとめること、とされる[1]

移動目標に対して火器システムで交戦する場合、一般に次の6つの段階を経ることになる[3]
目標の捜索(search)、探知(detection)

敵味方の識別(identification)

目標の捕捉(acquisition)、追尾(tracking)

未来位置修正角(prediction angle)の算定[注 1]

火器の軸線(weapon line)の設定(射線の付与)

射撃

このうち、「目標の捜索・探知」から「未来位置修正角の算定」までが射撃統制の基本要素である。また射線の付与まで包括する場合や、更に射撃に関して、その時間や弾量、弾丸の爆発を制御する場合もある。更には、射撃後にその効果を評価し、次の射撃に反映する場合もある[3]

また友軍の他の機体・艦艇と連携して「目標の捜索・探知」や「目標の捕捉・追尾」を行なうことで、誘導距離を延長したり、自システムの被探知性を下げたりする方法がある。LOR(Launch on Remote)は、他センサで探知した情報を受けてミサイルを発射し、自システムの覆域に入れば自らの射撃管制レーダーで誘導するものである。EOR(Engage on Remote)は、他センサで探知した情報を受けてミサイルを発射し、自センサではなく他センサの情報を基に引き続き誘導するものであり、自らはレーダー照射を行わないため目標からの探知性を下げることができる[4]
射撃計算

用途によっても異なるが、例えば戦車砲の統制に使用する射撃計算機は、一般に下記のような機能を持っている[3]
弾道計算機能
目標および自己の位置や運動の情報、弾道計算機に必要な弾道諸元の情報などの信号の入力を受けて、火器に与える未来位置修正角(高低見越角・方向見越角)を計算する[3]
照準制御機能
計算された未来位置修正角(高低見越角・方向見越角)をもとに、火器の姿勢検出データを用いて座標変換し、火器のプラットフォームを基準とする旋回角と俯仰角を演算する。この角度データは、火器の旋回・俯仰制御装置に送られる[3]

弾道計算のための入力諸元は、用途によっても異なるが、戦車砲などを例に取ると、弾種、射距離、発射薬温度、砲身エロージョンなどによる初速修正量、気温気圧、横風風速、砲耳傾斜角などが用いられる。これらは、自動的に、または手動で計算機に入力される[3]
陸上および車両搭載FCS「ベトロニクス」も参照

陸上および車両搭載FCS(射撃統制システム)は、陸上目標に対する小火器火砲ロケット砲およびミサイル発射機、水上目標に対処する火砲およびミサイル発射機、ならびに空中目標に対処する火砲およびミサイル発射機の射撃を統制する[3]。なお戦車の場合、システムの高機能化・複雑化に伴って、砲の旋回・俯仰などの制御を担当する砲制御装置(Gun control system, GCS)の機能がFCSから分化した。例えば日本では、61式戦車まではFCSと区別されていなかったが[5]74式戦車以降では別体として開発・装備されている[6]

陸上目標の捜索・追尾のためのセンサには、主として光波機器が使用されている。戦車砲や対戦車ミサイルなどでは、対処目標との距離はせいぜい5キロメートル程度であり、一般に光学照準器による測角とレーザ装置による測距を行なっている。また、昼夜間を問わず、偽装された目標でも視認できる赤外線センサ熱線映像装置)を併用することも多くなっている[3]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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