専業主婦
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専業主婦(せんぎょうしゅふ、: housewife, homemaker)は、家事(炊事、洗濯、掃除、買物、家計管理)や育児に専業する女性のライフコースの一名称。目次

1 概説

2 各国での動向

2.1 日本

2.1.1 推移

2.1.2 意識調査

2.1.3 地域社会における専業主婦の役割


2.2 アメリカ合衆国


3 社会の中の専業主婦

4 脚注

5 参考文献

6 関連項目

7 外部リンク

概説

働く女性(賃金労働者)」と「専業主婦」は元々対立概念ではなく、様々な理由から多くの女性が「働く女性(賃金労働者)」と「専業主婦」というライフコースを行き来する。

賃金労働に従事していない時期名である為、「無職」に分類される。育児休暇中の女性賃金労働者、また企業等で定年まで勤めあげた女性が定年退職後に家事専業となった場合も「専業主婦」とみなされる[1]

企業における「総務・経理」と同様に、組織において金銭を外部から直接的に稼得する役割ではないが、専業主婦は家庭という組織内部で貢献しつつ内部分配を受けることから、企業における製造・営業に対する「総務・経理的役割」と同等の「家庭内の役割」だと考えられている[2]

アメリカの企業ユナイテッド・テクノロジーズが『ウォールストリート・ジャーナル』紙に1979年から月1回の割合で掲載したアドボカシー広告「グレイ・マター」(グレイは、当時の社長の姓)のシリーズの中で、1980年7月「世界で一番クリエイティヴな仕事とは」という題で、主婦の仕事を取り上げ、しかもそれに性別を取り去った「家事担当者」(homemaker)という表現を使用して、反響を呼んだ。

一家を支える男性が稼ぎ手となって家の外で給与労働に専従することにより、家の中で「出産(再生産)・育児に専念する」ということで、マルクス主義フェミニズムでは「再生産労働(出産・育児活動)に携わる女性」、という言い方をする。一方、企業・組織が成長・進化するごとに内部での役割分業が進展することになぞらえて、専業主婦家庭の形態を「歴史的に最も進んだ要素が存在する」とする立場もある[3]
各国での動向
日本
推移

1955年には、サラリーマンの妻で専業主婦の割合は74.9%と高かったが、全有配偶女性に占めるサラリーマンの妻の割合が41.5%と半数以下であったため、専業主婦の数は890万人だった。一方、1995年はサラリーマンの妻で専業主婦の割合は46.6%に落ち込んだが、全有配偶女性に占めるサラリーマンの妻の割合が71.8%と上昇したため専業主婦総数では1333万人になっている。しかし1980年の1526万人をピークに専業主婦総数が減少している[4]

明治以来、日本に欧米思想が入り、都市化と核家族化の過程で、1955年頃までいた女中や下働きの女を失い、親族の女性もいなくなり、サラリーマン家庭における家族の唯一の成人女性となり、主婦が大衆化した。しかしそもそも、戦前から戦後の1950年代頃までは、産業の中心が第一次産業であり、したがって、農林漁業従事者が多く、男女ともに就業していることが多かった。このように、専業主婦は歴史的にある時期から生まれたもので、永遠に固定的に存在するものではないと考えられると指摘されている[5]

なお、戦前は工業やサービス業、町工場や商店などは一家総出の家業として営まれ、子守は手の空いている者が片手間に行い、余裕のある家庭では子守をする者が雇われていた。戦前の給与所得者と専業主婦の組み合わせは軍人、役人、大企業の幹部などに限られたが、戦後は高度成長期に夫が給与所得者で妻が家庭を守る専業主婦の形態が普及した。しかし専業主婦の割合はイギリスでは、1920年頃、専業主婦の割合は8割以上、アメリカは1950年頃専業主婦割合は75%だったが、日本で専業主婦の割合が一番高いのは1975年であったが60%程度であり、海外と比較してさほど普及しなかった[6]

ドイツでは1933年にナチスドイツが政権を獲得すると、「母よ、家庭に帰れ」をスローガンに関連の政策を打ち出した。これは日本にも専業主婦奨励の影響を与えたが、現実的には戦中は戦争が激化すると工場労働で男性労働者が不足し女性労働者が登用された。しかし戦後は高度成長期により製造業を中心とする構造となり、男性就業者が1人で外貨を稼ぎ妻を専業主婦とする余裕ができたことと、1962年には池田勇人内閣が「人づくり」政策を発表し、「母親は家庭に帰れ」とのスローガンによる政策の推進などによってサラリーマンを中心に専業主婦が定着し、増加した[7]

1990年までは専業主婦は減少傾向であったが一転増加傾向になる、増加は傾向1995年まで続いたが1996年に共働き世帯が専業主婦世帯を逆転後、減少傾向は続き2020年には571万世帯と共働き世帯の約半分程にまで減少した[8]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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