専攻科
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この項目では、学校教育法における当該種別の学校の卒業者を対象とする課程について説明しています。学科を2つ以上に分けた組織については「専攻課程」を、旧制学校における「専攻科」については「研究科 (旧制)」をご覧ください。

専攻科(せんこうか、: advanced courses)は、当該種別の学校の卒業生もしくはそれと同等以上の学力を有する者に対して、精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的として学校に設けられる課程のことである。修業年限は、1年以上である。
日本

日本では後期中等教育以降の学校で、学校教育法(以下「法」)の第1条に規定する学校(一条校)に設けることができ、具体的には第58条にて高等学校(第70条にて中等教育学校の後期課程、第82条にて特別支援学校に準用)、第91条にて大学(特記を除き、短期大学を含む)、第109条にて高等専門学校に設けることができる。

専攻科の位置付けは、その教育段階によって異なる。
高等学校・中等教育学校

高等学校専攻科 (Upper secondary school, advanced course) -
ISCED-4レベル[1]・平成27年法改正後の基準を満たしている修業年限2年間の専攻科はISCED-5Bレベル相当

高等学校の専攻科は法第58条第2項に基づき(第70条で中等教育学校に準用[注釈 1])、下記のいずれかに該当する者が対象となる。

高等学校もしくはこれに準ずる学校(特別支援学校の高等部、高等専門学校の第3学年)、または中等教育学校を卒業した者。

文部科学大臣の定めるところにより、上記と同等以上の学力があると認められた者(「大学受験#受験資格」を参照)。

主に工業水産福祉などの専門教育分野を深めることと、社会人の再教育を目的としている。

特に実習に必要な施設設備は、大学などの高等教育機関を除くと、専門学科のある高等学校や中等教育学校しか有していないこともある。そのため、教育水準は比較的高度である。

専修学校各種学校と異なり、学校教育法の第1条に規定する正系の学校であり、設置基準も高等学校設置基準やその他の法令により厳しいものである。2016年4月1日より施行の改正学校教育法(2015年6月24日に公布)により、施行日以降は「修業年限が二年以上であることその他の文部科学大臣が定める基準を満たす」専攻科の修了者に対しては、大学の学部(以下「学部」)への編入学が認められている(第58条の2。第70条にて中等教育学校に準用)[注釈 2][注釈 3][注釈 4][注釈 5][2]

なお2016年3月までは、高等教育機関と特別に連携しない限り、修了者は学部へ編入学することができず[注釈 6]、この点については既に編入学が広く認められている短期大学(第108条第2項)・高等専門学校(第122条)・一定の要件[注釈 7]を満たした専修学校専門課程(いわゆる専門学校)(第132条[注釈 8])と比べて不利とされた[注釈 9]。加えて2020年現在も、専攻科修了者に対する学位または称号の授与制度は設けられていない。

かつては地方公共団体学校法人短期大学を設立する際に、そのステップとして運営する高校に2年制専攻科を設置し、短期大学設置基準などを満たした上で専攻科から短期大学へ移行させる例も見られた[注釈 10]

ちなみに、鳥取県では、県立鳥取東高校県立倉吉東高校県立米子東高校等に浪人生の大学受験目的の1年制の専攻科が設置されてきた[注釈 11]。これらは、かつて鳥取県には大学受験予備校がほとんど存在しなかったという事情があった。しかし鳥取県でも相次いで予備校が設立され、予備校側が鳥取県教育委員会に専攻科の廃止を要望しており、2004年に私立鳥取城北高校の専攻科が廃止されたことから、鳥取県教育委員会では専攻科を縮小・廃止する方針を決定し、2006年に鳥取東高校、倉吉東高校、米子東高校の専攻科は規模を縮小(定員を削減)し、授業料を値上げした。2008年、鳥取東高校専攻科の年度限りでの廃止と、倉吉東高校と米子東高校の2校については2010年度まで2年間存続、その後の存廃は2010年度までに結論を出すことに決定。その後議論を経て、2012年度末で両校とも廃止した。このケース専攻科は、専攻科設置の法令上の拡大解釈との見解もあった(大学受験目的の学習を教科書レベルよりやや進んだ専攻科の学習内容との解釈)。
資格取得のための課程

専攻科には以下の通り資格取得のための課程もある。
看護師

看護師免許については、准看護師養成課程の3年制(定時制課程・通信制課程では3年以上)の専門学科の衛生看護科本科)を卒業し、その後、看護師養成課程の2年制の専攻科を修了することにより、高校で、看護師の国家試験の受験資格を得ることができる。最近では、本科の衛生看護科と専攻科が一体となった、5年制一貫で看護師養成教育を行う看護科を設置する高校もある(千葉県立幕張総合高等学校岡山県立倉敷中央高等学校など)。この場合、3年で卒業しても准看護師の資格は取得できない[注釈 12]。衛生看護科を置く学科の多くは、看護科へ転換するか廃止された。
水産における機関士・通信士

水産における専攻科は機関士通信士などの資格者を養成する課程といっていい。
海技士免許については、全国の水産高等学校の本科卒業後、2年制の専攻科を修了することにより、海技士 (航海)船長航海士免許)、海技士 (機関)機関長機関士免許)、海技士 (通信)(通信長、通信士免許)の筆記試験が免除となり口述試験のみで免許取得が可能。
また、第二級総合無線通信士や第二級陸上無線技術士の受験科目の免除特典が得られる専攻科もある。
保育士

現在、全国で4校(全日制2校・通信制2校)に設置されている。
保育士国家試験は通常短期大学卒業程度以上、専門学校修了が受験資格で、それ以外の学校の卒業者は実務経験を要するが、2年制の保育専攻科を修了すると短期大学卒業者同様に受験資格が得られる。
特別支援学校

特別支援学校高等部専攻科 (School for Special Needs Education, upper secondary department, advanced course) - ISCED-4レベル[1]

特別支援学校の高等部に設けられる専攻科は、高等学校や中等教育学校の各専攻科の入学資格を持つ者が対象となる(法第82条にて第58条第2項を準用)。

障害を持つ人を受け入れる準備ができている高等教育機関が少ないため、特別支援教育を行う学校である特別支援学校(2007年3月31日までは「盲学校」「聾学校」「養護学校」)では、継続教育の場として専攻科を設けている学校が多い。高等部から継続して、あるいは新たに学ぶことによって職業能力および資格の取得を行うことを目指す。さらに、「特別支援学校高等部学習指導要領」では、視覚障害と聴覚障害の学校の専攻科については、標準的な教科と科目も示している。

具体的には、視覚障害の学校では保健理療(あん摩マッサージ指圧あん摩マッサージ指圧師)に関する教科)、理療(はりきゅう鍼灸師)、あん摩・マッサージ・指圧に関する教科)、理学療法理学療法士)の教科が、聴覚障害の学校では理容美容理容師美容師)、歯科技工士が示されている。


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