対向ピストン機関
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対向ピストン機関のアニメーション 対向ピストン機関の仕組み 1. 燃料と空気の混合気の吸気口 2. 過給機 (ここでは: 回転式ポンプ; オリジナル: 遠心式) 3. 混合気を一時的にためる空間 4. 一定の圧力で作動する掃気弁 5. 出力クランク機構 (吸気口が非対称制御ダイアグラムに達する前) 6. 吸気クランク機構 7. 吸気口と排気口を備えたシリンダー 8. 排気 9. 水冷ジャケット 10. 点火栓

対向ピストン機関 (たいこうピストンきかん、英語. opposed-piston engine) は内燃機関の一形式である。1気筒に対して2個のピストンが対向して備えられ、燃焼室を共有する。

対向機関は"ボクサー"エンジン複動式機関とは異なる。

一部では小型の対向ピストン機関が使用される。目次

1 採用内燃機関

1.1 近年の動向


2 関連項目

3 出典

4 外部リンク

採用内燃機関 アトキンソン・デファレンシャル・エンジン

アトキンソンサイクル - ジェームス・アトキンソン(英語版)が1882年に発表した、オットーサイクルを元にした最初のアトキンソンサイクルエンジンは、アトキンソン・デファレンシャル・エンジンと呼ばれる、対向ピストンエンジンであった。
オッヘルハイザー・ガスエンジン

オッヘルハイザー・ガスエンジン - 1888年より研究を開始し、1892年に100馬力、1898年には1000馬力の定置型産業用エンジンを実用化している。アドルフ・フォン・オッヘルハイザー(ドイツ語版)率いるコンチガスAG(英語版)がフーゴー・ユンカースと共同開発したもので、ユンカース自身は1893年に提携解消しているが、オッヘルハイザーはその後も開発を継続して1800馬力のエンジンも製造している。ライセンスは海外のメーカーにも供与され、英国ではウィリアム・ベアードモア・アンド・サンズ(英語版)が同じ構造のエンジンを製造していた。[1][2]

ミッチェルエンジン(英語版) - 正確には上下対向ではなく、Y字型のシリンダーで3つのピストンが対向する。ピストンから出力軸への動力伝達にはクランクシャフトではなくカムを用いるカムエンジン(英語版)と呼ばれる形式の一つ。
ラルフ・ルーカス・バルブレスエンジン

ラルフ・ルーカス(英語版) - イギリス人技術者、ラルフ・ルーカス(1882-1934)により発明され、1901年から1915年に掛けて同名の自動車メーカーや、バルブレス(英語版)の自動車で採用された。スプリット・シングルU型エンジンにも分類されうるが、独立したクランクシャフトを持ちギア駆動により出力軸への動力伝達が行われるという点が上下対向エンジンと共通している。
1900年製Gobron Brillieエンジン

ゴブロン-ブリリエ(英語版) - 1898年から1930年に掛けて後述のクルップ・HK型エンジンに似たサイドロッドを持つ上下対向式ガソリンエンジンを製造していた。1904年にはルイ・リゴリー(英語版)が運転する13.5リットルエンジンを搭載した車両が時速156.51km/hの世界記録を樹立している。

コロムナ・ロコモーティブ・ワークス(英語版) - 帝政ロシア時代の1907年にロシア人技術者のレイモンド・A・コレイヴォが、世界初の上下対向式ディーゼルエンジンを開発し、フランスにて特許を取得しているが、肝心の経営陣にこのエンジンを製品化する気がなく、日の目を見る事は無かった。Koreyvoの設計は片方のピストンを掃気ポート、もう片方のピストンを排気ポートの開閉を司る機能を持たせ、掃気と排気の流れを1方向として掃気効率を高めるユニフローディーゼルの概念を採り入れており、後のユモシリーズやデルティックでも同様の概念が用いられた。

ユンカース ユモ 204(英語版) - オッヘルハイザー・ガスエンジンの時代よりユンカースが研鑽していた対向ピストンを航空機用エンジンとして実用化したもので、原型となったMo3型エンジンは第一次世界大戦中の1913年に登場している。1934年にはネイピア・アンド・サンによりライセンス生産のネイピア カルベリン(英語版)が製造され、デルティック開発の布石ともなっている。
ユンカース ユモ 205航空用ディーゼルエンジン

ユンカース ユモ 205 - 及び派生型のユモ206/207/208/218航空機用エンジンは、対向ピストンエンジンで最も著名な形式の一つ。ユモシリーズはごく初期のサイドロッド方式のもの以外は、排気量と過給機の方式が異なるのみで、基本的な構造は共通している。

ユンカース ユモ 223 - 及び発展型のユモ224航空機用エンジン。4つの対向シリンダーを正方形に配置する非常に複雑なエンジンで、実用化には至らなかった。
クルップ-ユンカース HK65エンジン

クルップ・HK型エンジン - クルップがユンカースより航空機用上下対向エンジンの資料提供を受け、トラックモーターボート向けディーゼルエンジンとして再設計したもの。700ccの2ピストン単気筒エンジンを複数並べる事で排気量を増大させるモジュール構造を採用している。ユンカースの元設計が上下のピストンが2本の独立したクランクシャフトを持ち、ギア駆動で出力軸に動力伝達するのに対して、クルップ・HKシリーズは上側ピストンが2本の長いコネクティングロッド(サイドロッド)を持ち、下側ピストンの直下に配置された1本のクランクシャフトを駆動する設計になっている。これは車体のできるだけ低い位置に変速機を配置する必要があるホチキス・ドライブ(英語版)方式の後輪駆動を考慮した設計変更である。また、独立した掃気用過給機は持たず、上側のピストンの上下動により掃気を行う、デイ式2ストローク機関のクランクケース掃気の概念も持ち合わせている。日本では「クルップ-ユンカースエンジン」と呼ばれ、民生デイゼル工業のKD型ディーゼルエンジンの基礎となっている。日本では1955年までの採用に終わったが、ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)では汎用エンジンとして1980年代まで製造されていた。フランスではプジョーの子会社であるディーゼルエンジン製造メーカーのCompagnie Lilleoise de Moteurs(CLM、現在のインデネール(英語版))がクルップ-ユンカースディーゼルをライセンス製造していた[3]
1914年に発表されたビームを用いた2気筒対向機関「シンプソンズ・バランスド・エンジン」

スルザー・ZG9(英語版) - スルザーにより開発された船舶用エンジン。ピストンは上下に対向しているが、クランクシャフトへの動力伝達は蒸気機関の大気圧機関(英語版)のように、ロッカーアームに似たビームを介して行われているという、ビームエンジン(英語版)と類似した構造を持つ事が特徴。このような構造自体は1914年に「シンプソンズ・バランスド・2ストローク」なる空冷オートバイ用エンジンとして発表されているが、スルザー・ZG9は掃気にスーパーチャージャーではなくビームにより駆動される掃気用ピストンが用いられている為、単気筒のエンジンを構成する際に「2つのシリンダーと3つのピストンが使用される」という非常に特異な構造となっている。
アメリカ海軍の潜水艦であるパンパニト SS-386のフェアバンクス モース 38 8-1/8 ディーゼル機関

フェアバンクス-モース 38 8-1/8 ディーゼル機関(英語版) - ユモ205を参考にしたともいわれる潜水艦用エンジン。後に38Dシリーズとして鉄道にも採用される。

ネイピア デルティック - ユモ223を参考にしたともいわれる3つの対向シリンダーを三角形に配置した魚雷艇用エンジン。


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