寄付
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ウィキメディア財団への寄付については、財団への寄付の紹介、寄付のお願い (ウィキペディア)をご覧ください

証券取引での寄付(よりつき)・寄り付き(市場が開いてから最初の売買)とは異なります。

「ドネーション」はこの項目へ転送されています。臓器については「臓器提供」を、血液については「献血」を、身体については「献体」を、髪については「ヘアドネーション」をご覧ください。

寄付[注 1](きふ、: donation)とは、金品を贈与すること。
概要

災害の際に被災地・被災民へ送られる義捐金・義援金(ぎえんきん)も寄付の一つである。経済において、寄付は福祉に係る費用の一部を担う重要な経済活動でもある。

また、教育機関学校博物館図書館など)や医療機関などに寄付することを寄贈(きぞう)、宗教団体に寄付することを寄進(きしん)と表現する場合もある。

寄付は、寄付者が自らの意思に基づき金銭・財産を対象機関・施設へ無償で供与することで行われる。寄付の多くは、公共事業公益機関、福祉機関、医療機関教育機関、宗教施設などに対して行われている。

これらの事業・機関・施設は、公共的・公益的な社会役割を担っているが、安定した収入源を持たず、そのため、寄付を主要な収入源の一つとしていることが多い。世界の多くの地域では、寄付が福祉の一部を担っており、社会の中で重要な地位を占めている。
寄付の方法

寄付の方法にはいくつかある。寄付者が受益者へ直接寄付する方法もあるが、多くの場合、寄付者と受益者の間に仲介者(慈善団体など)が介在する。仲介者がいる場合、寄付金などが寄付者の意思どおりに行われるか、という問題が生じる。日本では、一般に寄付者と仲介者とに信託関係が発生すると考えられている。また、仲介者がいる場合にもう一つ留意すべきことは、寄付した金銭・財産の一部が仲介者の諸経費に充てられる可能性があることである。一部の仲介者を除き、寄付の全額が受益者へ渡されるとは限らない。

募金など公募で行われる寄付活動もある。日本の中央共同募金会が主宰する赤い羽根共同募金などがその一例である。この他、安価な商品を購入する方式の寄付もある。例として日本の結核予防会が実施する複十字シール運動などがある。

ネット上ではクリックするだけで1円を寄付できる、クリック募金もある。ユーザーが1回クリックすると、ユーザーに代わりスポンサーが1円をNGOユニセフなどに寄付する。ユーザーの負担金は0円である。

以上のように寄付には様々な方法があるが、寄付者の自由意志に基づいて寄付することが重視されている。ただ、現実には自治会町内会による集金などで事実上強制的に寄付させられることもあり、一部で問題になっている。2007年8月24日大阪高等裁判所は、各種寄付分を自治会費に上乗せして徴収することを決議した滋賀県甲賀市内の自治会に対し、寄付を強制するもので違法とする判決を下した。
寄付される対象

寄付により運営される事業・機関・施設には種々あるが、大部分が公共的・公益的な社会目的を持った組織である。上記の中央共同募金会のように寄付それ自体を目的とした機関も存在する。寄付は福祉目的で行われることが多いが、学校寺院神社教会などの運営を目的として寄付がなされることも少なくない。例えば、アメリカ合衆国では大学へ卒業生から多額の寄付が集まり、大学運営の主要財源となっている。また、タイ王国では民間の寄付によって小学校などが設立・運営されている事例が非常に多数ある。

この他、何らかの目的を達成するため、純粋に寄付だけによる運営を目指す団体もある。企業などから資金提供を受けた場合、自由な活動に支障が出ることも懸念されるため、目的に賛同する無名の人々からの寄付により自由な活動を担保しようとするものである。一部のフリーソフトウェアがこの方式を採用している。また、利用者が開発者へ寄付するライセンス形態をとるドネーションウェアというソフトウェアも存在する。
文化別の差異

世界的に見ると寄付の社会への浸透度も国・地域によって大きく異なる。2000年頃の状況を見ると、アメリカでは年間2000億ドル(約20数兆円)を超える個人寄付が行われているのに対し、日本では個人寄付では約4874億円(寄付白書2011)となっており、法人寄付も約5467億円となっている(国税庁税務統計2009年度分)。政府の家計調査によると、世帯当たりアメリカは約17万円、日本は概ね約3000円前後(平成23年は震災の影響があり、1世帯当たりの平均寄付金額は6,551円で、平成22年は3,789円)と寄付金額に大きな格差が見られる(ただし、政府家計調査では、宗教活動への寄付と教育分野への寄付が含まれていないため過小評価されている点に留意が必要)こうした格差は、宗教観・社会意識・税制の違いなどがあげられることが多い(寄付税制については、2011年6月に大幅な改正があり、国際的に比較しても優れた寄付税制が成立した)。

こうした格差は、宗教観・社会意識・税制の違い[注 2]に起因すると考えられている。また、アメリカは所得格差・資産格差が日本に比べ大きく、小さな政府志向のため医療保険制度など公的福祉が未整備のため、民間による所得の再分配の重要度が高いことも要因になっているが、たとえば日本や諸外国に比べてジニ係数が非常に高く、ほとんど再分配がなされていない。アメリカの他、一部の欧米諸国やイスラム諸国、タイ王国など、敬虔な信徒の多い国・地域では社会活動に占める寄付の役割が非常に大きい。
寄付と税金

寄付は無償でなされるものであるから、被寄付側から見ると寄付は純粋な所得となる。通常、所得は課税の対象となるが、多くの国・地域では寄付活動を推奨するため、特定の団体・機関に対する寄付を非課税としたり課税控除の対象とする制度を設けている。特定の団体・機関を選定する基準は国・地域によって差異があるが、公共・公益目的を持った団体・機関が選ばれることが多い。こうした団体・機関への寄付を通じて脱税租税回避がなされることを防ぐため、厳しい基準が設けられていることも多い。また、政治汚職を防止するため、多くの国・地域で政治家政党への寄付(政治献金)に厳正な規制がなされている。日本では、政治家による寄付も大幅に制限されている。

ところが、一部の政治家が自ら所属政党の地元の支部に寄付し、寄付を受けた支部が該当の政治家の資金管理団体に還流する形で寄付することにより、所得税の還付を受けていた事例が、2013年になって関西を中心に相次いで発覚し、問題となっている[1][2][3][4][5]。法規制を求める声が強いものの、国税当局やその関係者は「違法行為の指摘が困難」としている[6]
日本の寄附金税制

個人が特定寄附金(地方公共団体に対する寄附金、指定寄附金、特定公益増進法人認定NPO法人に対する寄附金、政治活動に関する寄附金など)を支出した場合には、原則として確定申告を行うことで、次の所得控除又は税額控除が認められる。[7]

寄附金控除所得税

政党等寄附金特別控除

認定NPO法人等寄附金特別控除

公益社団法人等寄附金特別控除


寄附金税額控除(住民税

ふるさと納税

法人が支出する寄附金については、損金になるものとならないものがある。国等に対する寄附金、指定寄附金は全額損金になるが、それ以外は法人の資本金等や所得に応じた損金算入限度額までが損金になる。また、2016年4月から2025年3月までの間に、地域再生法の「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に対して寄附した場合に認められる「企業版ふるさと納税」(地方創生応援税制)がある。
略史
寄付と宗教

かつて、中国大陸において、収穫物は天より人が預かっているものであり、その預かり物を個人の意思で濫りに使うのは王でさえも許されないとの思想(天道思想)があった。

寄付の歴史は、宗教と非常に強いつながりを持っている。宗教活動それ自体は生産を伴わないため、宗教活動のための費用を何らかの方法で調達する必要がある。そのため、ほとんどの宗教では信徒から寄付が集められることとなった。多くの場合、こうした寄付は(例えば日本では寄進やお布施などと称されたが)、一義的には神や仏に対して捧げられるものと認識されていた。

また、ほとんどの宗教では、貧困者救済などのための寄付が奨励されている。これをイスラームではサダカ(自由喜捨)やザカート(制度喜捨)といい、仏教では喜捨という。キリスト教でも喜捨的な寄付が広く行われているが、これらの他の宗教にも、喜捨的な寄付は半ば普遍的に見られる。


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