家電量販店
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家電量販店の例(ヤマダデンキ広島アルパーク店)

家電量販店(かでんりょうはんてん)とは、主にテレビ受像機パソコンオーディオ機器などの家電製品を多く仕入れて安く売ることを基本路線とする大型小売店である。
日本
歴史

秋葉原(東京)や日本橋(大阪)の電気街を発祥とする電器店やオーディオ店が大型化し、チェーン展開していったのが始まりである。1980年代以降は新宿駅池袋駅周辺に拠点を置くカメラ販売の量販店が「カメラ店」の枠を超え生活家電をはじめAV機器、パソコン、携帯電話などの販売も手がけるようになった。1990年代以降は電気街に代わってカメラ系の大型量販店が相次いでターミナル駅に店舗を構える一方、郊外では多数の駐車場を併設した店舗網を持つチェーンストアが規模を拡大していった。
業態

量販店では家電メーカーから一度にまとまった数で仕入れる事で安い卸値で仕入れ(「○○オリジナルモデル」と称した特別仕様の商品を開発する場合もある[注 1])、これを大量販売するという形の薄利多売を主な販売戦略とする。このため前に仕入れた商品を売り切らない事には別カテゴリー(例としては白物家電娯楽家電など)に属する商品でも商品保管スペースの関係から仕入れ難い傾向も見られ、とにかく短期間の内に売り切ろうとする傾向が極めて強い。チェーンストアの特性を生かし、店舗間で商品を融通する場合もある。ある商品について在庫の多い店舗から在庫の少ない店舗に移動して、各店舗の在庫量を平準化するわけである。これは衣料品などのチェーンストアにも見られる。

家電の設置や古い家電の回収など客先での業務は、地元の電気店や電気工事事業者などに委託している。配送も基本的に委託であるが、ヨドバシカメラは差別化のため自社配送を開始している。

店の規模にもよるが、店員は担当部門を限定した複数のグループに分けられることが多い。
一例


白物家電販売(冷蔵庫洗濯機エアコン、暖房器具など)

AV機器販売

小物家電販売(調理家電、健康器具乾電池蛍光灯電球といった消耗品など)

パソコン・関連機器販売

デジタル家電販売(商品によってはAV機器あるいはパソコン関連と一緒になっている場合あり)

携帯電話販売

書籍ソフトウェア(パソコン用ソフト、AVソフト、ゲームソフト)・ホビー商品(ゲーム機トレーディングカード、幼児向け遊具・玩具など)販売

上位グループの売上高

大型量販店同士の低価格販売競争が常態化しているため、利益を出すためには家電メーカーから少しでも安く仕入れるとともに、大量販売をコミットすることによるメーカーからのリベートの獲得が必要となる。メーカーに対する価格交渉力の強化と大量販売の実現のため、必然的に大規模化・グループ化が進むことになる。

業界トップのヤマダデンキは、店舗の大型化を進めるとともに業況の悪化した地域量販店を積極的に買収するなどして家電小売業界で初めて連結売上高1兆円、さらに2兆円を達成した。このような規模を背景に、メーカーに対して非常に強い価格交渉力を発揮している。他のグループもバーゲニング・パワーをつけるため買収や統合によって規模を拡大しなければ、激しい価格競争の業界で生き残ることは至難となっている。

業界首位となった企業でも、大型店舗の出店競争に出遅れた各社は、1976年まで首位だった第一家庭電器が倒産、1996年まで首位だったベスト電器がヤマダデンキの連結子会社に、2001年まで首位だったコジマビックカメラの連結子会社になるなど、業界内での浮き沈みは激しい。

主要な家電量販店の連結決算によると、売上高順位は下記の通りである。なお、ヤマダデンキの本社、ビックカメラの創業地はともに群馬県高崎市、2001年まで業界首位だったコジマの本社は宇都宮市、ケーズデンキの本社は茨城県水戸市と、北関東勢が業界を席捲している。

会社名連結売上高備考
ヤマダデンキ1兆6,005億円
(2023年3月期)2002年から業界1位
2005年3月期から連結売上高1兆円超
2010年3月期と2011年3月期は連結売上高2兆円超
2013年3月期からベスト電器を連結に算入
ビックカメラ8,155億円
(2023年8月期)2006年8月期からソフマップを連結に算入
2013年8月期からコジマを連結に算入
主に大都市に出店しているが、「コジマ×ビックカメラ」屋号で郊外店も展開
ケーズホールディングス7,373億円
(2023年3月期)主に郊外に出店している
ヨドバシカメラ7,530億円
(2022年3月期)非上場。主に大都市の主要駅前に大規模店舗を出店し、1店舗あたりの売上高が大きい
エディオン7,205億円
(2023年3月期)2002年にデオデオエイデン持株統合して発足
2005年にミドリ電化を完全子会社化
2006年に石丸電気に出資、2008年に完全子会社化
2008年にサンキュー(100満ボルト)に出資、2011年に完全子会社化
デオデオ(旧第一産業)は1977年 - 1979年の業界首位
ノジマ6,261億円
(2023年3月期)主に関東地方・東海地方・甲信地方を地盤に出店
上新電機4,084億円
(2023年3月期)主に近畿地方を地盤とする

特徴

基本的には、幅広い分野の家電製品を展示・販売している(小規模店ではパソコン関連や大型液晶・プラズマテレビなど一部高額商品などは取り寄せ、あるいは倉庫やメーカーなどからの直送になる場合が多い)。

競合他社との販売競争のため、他店と比較して一円でも安い売値を客に提示する。また客から値引きを要求されることも多く、価格に関して客との交渉を伴う。特に白物家電、パソコン関連、大型TV、オーディオ機器。

倉庫スペースを少しでも空けるため、小型家電などは店頭にて積み売りする。

型遅れの古い商品をいつまでも展示せず、早めに売り切ってしまう(「処分品」「展示品(現品)限り」などとして、値引き販売することが多い。小物商品では
スーパーマーケットの処分品のように、ワゴンセールとする場合もある)。

コマーシャルソングを持つことが多い。

しかし他店との競争のために「他社のチラシを持ってくればそれより○%安くする」などとして広告していた場合に実際にはこの「○%の値引き」が仕入れ価格を下回り利益を出せない・不当競争で処罰されるからとこれを拒んだケースや、「他店より安くする」としているにもかかわらず実際は他店と比較して高い商品も見受けられるケースも在ったとして広告内容が消費者の誤認を招くとして公正取引委員会から警告を受けた事例もある。

量販店においては、「ポイント制による還元」と称するリピーターの囲い込み手法がよく行われている。

他にもクレジットカード会社と提携したメンバーズカードの発行、店舗内にインターネットサービスプロバイダの出店、その他各種サービス契約の勧誘を通じて、それらサービスを提供する会社から得られるインセンティブによって収益をカバーする戦略が採られている。また、パソコンの初期設定などの有償のサービスで利益を確保することも多く行われている。他の量販店ではサービスを簡素化することで人件費を浮かしていることとは対照的である。
主な家電量販店
現存する家電量販店
旧日本電気大型店協会会員系(地域電器店)エイデン本店(改装前)(移転のため2013年5月27日閉鎖)

日本電気大型店協会に参加していた、1970年頃より家電量販店を展開していた企業。地域別に出店していた。

エディオン(持株会社であったが、2010年10月1日にエディオンEAST・エディオンWESTを吸収合併し、事業会社となった。2012年10月1日までに100満ボルト以外の4つのブランドをエディオンに変更・統一した[1]

100満ボルト(エディオンの店舗ブランドとして存続)

タニヤマムセン(2011年9月からエディオンのフランチャイズ)


ケーズホールディングス(関東近隣の「ケーズデンキ」を手掛ける事業持株会社。


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