家庭裁判所(かていさいばんしょ、英語: Family Court)は、家庭に関する事件の審判(家事審判)及び調停(家事調停)、少年の保護事件の審判(少年審判)などの権限を有する日本の裁判所。略称は家裁(かさい)。 1949年(昭和24年)1月1日、日本国憲法に合わせて、女性や子供などの権利擁護などを目的にGHQの示唆によって設けられることになった。地方裁判所の支部とされていた家事審判所
設置
2004年(平成16年)4月1日からは、人事訴訟(離婚訴訟など)及びこれに関する保全事件等も地方裁判所から移管され、これらを管轄している。戸籍上の改名の許可・不許可、その他戸籍に関する不服申し立て(市町村長の処分に対する)も家庭裁判所の管轄である。(一般に行政に対する不服申し立ては、直接処分庁に審査請求などするが、戸籍事件は家裁の管轄となる)
2014年(平成26年)4月1日からは、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の批准に基づき、東京家裁(子の住所地が福井、岐阜、三重の各県以東の場合および住地不明の場合)と大阪家裁(子の住所地が京都、滋賀、奈良、和歌山の各府県以西)において、16歳未満の子が国境を越えて不法に日本へ連れ去られた場合などにおける子の返還に関する紛争事件を専属で取り扱うこととなった。 各家庭裁判所には、家庭裁判所調査官が置かれ(同法61条の2
概要
戸籍名(氏名)の変更、性別の変更、養子などの審判も取り扱う。
また、裁判は通常公正を期すために公開されるが、家庭裁判所は離婚などの人事訴訟事件を除き、当事者のプライバシーに配慮して原則非公開である。
家庭裁判所発足直後の1949年1月、初代最高裁家庭局長の宇田川潤四郎は最高裁で開かれた長官所長会同で、「独立的性格」「民主的性格」「科学的性格」「教育的性格」「社会的性格」を「家裁の5性格」として提唱した。スタート間もない家庭裁判所の基本理念として、内外でたびたび引用された。[2]
地方裁判所などの他の下級裁判所とは違い、審理する事件が法律によって限られているが、憲法第76条が禁止する特別裁判所には当たらない。かつて家庭裁判所が特別裁判所であるかをめぐる裁判が最高裁まで争われたが、1956年5月30日に最高裁判所は、家庭裁判所は裁判所法に基づいて設置された下級裁判所の一つだとした上で、家庭裁判所が特定の事件のみ取り扱うことは単に所管事務の分配を定めたに過ぎないと結論づけ、上告を棄却した[3]。 家庭裁判所は、各都道府県庁所在地並びに函館市、旭川市及び釧路市の合計50箇所に本庁が設けられているほか、203箇所の支部及び77箇所の出張所が設けられている。 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県
一覧
札幌家庭裁判所:岩見沢支部・室蘭支部・小樽支部・滝川支部・浦河支部・岩内支部・苫小牧支部・夕張出張所・静内出張所
函館家庭裁判所:江差支部・松前出張所・八雲出張所・寿都出張所
旭川家庭裁判所:名寄支部・紋別支部・留萌支部・稚内支部・深川出張所・富良野出張所・中頓別出張所・天塩出張所
釧路家庭裁判所:帯広支部・網走支部・北見支部・根室支部・本別出張所・遠軽出張所・標津出張所
青森家庭裁判所:弘前支部・八戸支部・五所川原支部・十和田支部・むつ出張所・野辺地出張所
盛岡家庭裁判所:花巻支部・二戸支部・遠野支部・宮古支部・一関支部・水沢支部・久慈出張所・大船渡出張所
仙台家庭裁判所:大河原支部・古川支部・石巻支部・登米支部・気仙沼支部
秋田家庭裁判所:能代支部・本荘支部・大館支部・鹿角出張所・横手支部・大曲支部・角館出張所
山形家庭裁判所:新庄支部・米沢支部・鶴岡支部・酒田支部・赤湯出張所・長井出張所