実録忠臣蔵
監督牧野省三
脚本牧野省三
出演者尾上松之助
中村扇太郎
市川姉蔵
『実録忠臣蔵』(じつろくちゅうしんぐら)は、1921年(大正10年)製作・公開、牧野省三監督による日本のサイレント映画、剣戟映画である。同年6月、牧野は日活から独立して牧野教育映画製作所を設立、翌1922年(大正11年)、同社でセルフリメイクしている。⇒ #1922年版
その後、本作で尾上松三郎名義で出演した池田富保監督が、1926年(大正15年)に再び尾上松之助を主演とした全三部の『実録忠臣蔵 天の巻・地の巻・人の巻』を制作し、大ヒットとなった(こちらは一部ではあるがパテベビー版が現存する[1])。
1928年(昭和3年)には、「実録忠臣蔵」の決定版『忠魂義烈 実録忠臣蔵』として、牧野は2度目のセルフリメイクをした。 牧野省三は、1910年(明治43年)、日活の前身の一社である横田商会で尾上松之助を主演に『忠臣蔵』を監督し、以来、数度にわたって『忠臣蔵』をテーマに作品を生み出した[注釈 1]が、本作を従来と差別化し、「実録」と銘打ったのは、演出のリアリティを打ち出したからである[注釈 2]。 本作に脇役・端役で出演した市川鬼久十郎はのちの市川花紅
略歴・概要
本作は、牧野の独立の直前に製作・公開されたが、同年6月に「教育映画しかつくらない」という約束で独立した。同年11月には、横浜の大正活映から井上金太郎、内田吐夢、二川文太郎、渡辺篤、江川宇礼雄、岡田時彦、鈴木すみ子ら若手俳優を受け入れた[2]。つぎに牧野は、彼らを出演させて、リメイクを製作した。⇒ #1922年版
オリジナル及びリメイク版は共に現存していないとみられる。牧野による二度目のリメイク『忠魂義烈 実録忠臣蔵』も、制作時の火災・戦災などの不運に見舞われた結果、戦後の再編集版しか現存していない。
スタッフ・作品データ
監督・脚本 : 牧野省三
製作 : 日活京都撮影所
上映時間 : 15巻
フォーマット : 白黒映画 - スタンダードサイズ(1.33:1) - サイレント映画
初回興行 : 浅草・富士館
キャスト
大石内蔵之助 - 尾上松之助
浅野内匠頭・小林平八郎 - 中村扇太郎
立花左近 - 市川姉蔵
寺坂吉右衛門 - 實川延一郎
片岡源五右衛門 - 嵐橘楽
吉良上野介 - 市川寿美之丞
大石主税 - 片岡松燕
浮橋太夫・苅藻太夫 - 片岡長正
瑤泉院・菅谷半之丞[注釈 3] - 市川家久蔵