定年
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OECD各国のリタイア年齢(2018年)[1]男性女性
平均有効年齢通常年齢平均有効年齢通常年齢
韓国72.361.0韓国72.361.0
メキシコ71.365.0日本69.164.0
日本70.865.0チリ66.765.0
チリ70.065.0アメリカ66.566.0
ニュージーランド69.865.0メキシコ66.565.0
イスラエル69.467.0ニュージーランド66.465.0
ポルトガル68.565.2イスラエル66.062.0
アイスランド68.167.0アイスランド65.967.0
アメリカ67.966.0エストニア65.763.3
スウェーデン66.465.0ポルトガル65.465.2
スイス66.465.0スウェーデン65.465.0
トルコ66.351.0スイス65.064.0
ノルウェー66.167.0トルコ64.948.0
ラトビア65.762.8ラトビア64.762.8
アイルランド65.666.0オーストラリア64.365.0
エストニア65.563.3アイルランド64.166.0
カナダ65.565.0ノルウェー64.167.0
オーストラリア65.365.0カナダ64.065.0
オランダ65.265.8ドイツ63.665.5
デンマーク65.165.0イギリス63.662.7
イギリス64.765.0フィンランド63.465.0
リトアニア64.363.6リトアニア63.061.9
フィンランド64.365.0オランダ62.565.8
ドイツ64.065.5デンマーク62.565.0
オーストリー63.565.0イタリア61.566.6
ハンガリー63.463.5チェコ61.362.7
イタリア63.367.0ルクセンブルク61.362.0
チェコ63.263.2スペイン61.365.0
スロベニア63.162.0オーストリー60.860.0
ポーランド62.865.0フランス60.863.3
スペイン62.165.0ポルトガル60.660.0
ギリシャ61.762.0ベルギー60.565.0
ベルギー61.665.0スロベニア60.161.7
スロバキア61.162.2ギリシャ60.062.0
フランス60.863.3ハンガリー60.062.0
ルクセンブルク60.562.0スロバキア59.962.2
OECD平均65.464.2OECD平均63.763.5
※通常年齢とは、年金支給で減額を受けないリタイア年齢のこと。

定年・停年(ていねん、Retirement age)は、企業公務に勤める正規雇用者で、ある一定の年齢に達したら仕事を退職退官する場合のその年齢のこと[2]。またそうした仕組みによって雇用関係が終了し、退職・退官すること(定年退職)。労働者が一定の年齢(定年年齢)に達すると自動的に雇用関係が終了する制度を「定年制」という。

定年制の導入状況は国ごと異なる。日本では官公庁でも企業でも採用されているが、アメリカ合衆国イギリスオーストラリアでは一般的ではない[3]

また同一国内であっても職種や法人によっても異なる。いったん定年になっても、継続雇用や再雇用される場合もある。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
世界の法的定年と実態
韓国「サオジョン」も参照

韓国では法律上の定年が60歳であるものの、1997年末のアジア通貨危機以降から2003年時点で「サオジョン」(45定(年)と同音異義語であると西遊記の沙悟浄をかけた語呂合わせ)、「オリュクト」(56歳まで働くと泥棒の意)と呼ばれている[4]。2023年時点でも韓国統計庁によると「現実の定年」は平均49歳(男性は51.1歳、女性は47.8歳)で、最も長く働いた職場での平均勤続期間は僅か15年である。年金を受け取れている高齢層の割合は50.3%だけであり、更に月平均年金受給額は75万ウォン(約7万5000円)であった[5]
アメリカ

アメリカ合衆国では、40歳以上の労働者に対する年齢を理由とした雇用関係、雇用条件、賃金、配置、役職などのあらゆる就職差別は連邦法によって禁じられている。一部の職種では例外的に認められているものもあるが、その多くは軍人警察官など政府関係の現場職である。アメリカの民間企業では、年齢を理由とした解雇である定年退職や、年齢を理由とした賃金・役職・配置の降格である再雇用制度などはなく、労働者本人の希望による退職や能力的な理由による解雇でない限り生涯にわたって働き続けることができる。また年齢を基準とする求人差別を防ぐため、就職活動用の履歴書に応募者の年齢や生年月日の記入を求められることはなく、正式に採用が決まるまでは企業側が応募者に年齢や生年月日を尋ねることも法律で禁止されており、その目的も就労資格や税務上の確認に限られる。
中華人民共和国

中国共産党中央政治局には委員の68歳定年制があり、党大会時の年齢が基準となる。現在の中国政界で中国共産党政治局常務委員でない者が国家の最高幹部になることはまずあり得ないので、実質的に最高指導者の定年制となっている(ただし、後に中国共産党総書記である習近平が68歳を迎えるにあたって引退しておらず、緩和されている)。1997年に定年制が導入される以前は、毛沢東朱徳葉剣英など、80代の政治局常務委員の例も珍しくなかった。古代中国において官僚の定年は70歳であったことから、科挙における最初の試験「郷試」では70歳以上の受験者は合格点に達しなくとも合格扱いとし、名誉称号として「挙人」を与えていた。
その他

ブータン国王は2008年に制定された憲法によって、65歳になった時点で退位することとなっている[6]

国際オリンピック委員会(IOC)の委員には、80歳の定年制がある。
日本労働条件通知書

企業が定年制を導入するには、定年に関する事項を就業規則に明記し(労働基準法第89条でいう「退職に関する事項」に含まれる)、かつその就業規則を労働者に周知させておかなければならない(労働基準法第106条)。日本の企業の正社員公務員は、その大部分が定年制を導入している。一方で定年を定めないことも可能である。

職種別に異なる定年年齢を設けることは、特に過酷な業務に従事する労働者を使用する企業において行われる。高年齢雇用安定法の例外として、「鉱業法第4条に規定する事業における坑内作業の業務」については、60歳未満の定年年齢を定めることが許容される(高年齢者雇用安定法施行規則第4条の2)。職種別定年を採用する場合でも、負担の少ない業務への配置転換や継続雇用の導入などの配慮は行わなければならない。

男女雇用機会均等法の施行以前は男女別に異なる定年年齢を設けている企業も少なくなかった(なかには結婚退職を前提として、女性の定年を男性に比べて極端に低く設定していたケースもあった)が、最高裁判所1981年日産自動車事件において明確に男女別定年を否定し、その後の均等法の施行により現在では明文で男女別定年を禁止している[注釈 1]
日本における歴史日本の人口統計

第二次世界大戦以前の日本では、1936年三井合名の筆頭常務理事であった池田成彬が定年を導入。筆頭常務理事、参与理事は満65歳、常務理事及び理事は60歳を定年とし、三井合名の関係企業である銀行、物産、鉱山、東神倉庫、信託、生命の6社幹部にも同様に適用されることとなった。なお、使用人の定年は満55歳とされた[7]

戦後、1959年第2次岸改造内閣によって国民年金法成立し、国民年金が導入された。1950年に男58歳、女61.5歳であった日本人の平均寿命は、1960年に男65.32歳、女70.19歳、1970年に男69.31歳、女74.66歳、1980年に男73.35歳、女78.76歳と格段に伸びていたが、多くの企業において55歳が定年退職であった。

1968年時点において、公立小学校校長の定年勧奨年齢は都道府県ごとにまちまちであったが、もっとも条件が厳しいとされた山梨県の場合56歳であった。このため山梨県の小中学校長組合では定年勧奨の1年延長を求めてビラ配りなどを行っている[8]。なお、公務員の定年は、その後引き揚げられたが若年定年制及び任期制を導入している自衛隊では、2022年においても前者は30年代、後者が50歳代となっている(後述)[9]

1969年7月1日、女性に30歳定年制を採用していた会社を、解雇された女性パートタイマーが訴えていた裁判で、東京地方裁判所は「女子の若年定年制は男女を不当に差別するもので、公序良俗に反することから無効」という判決を出した[10]

1986年[注釈 2]高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正で60歳定年が企業への努力義務に、1994年[注釈 3]の改正で60歳未満定年制が禁止(1998年[注釈 4]施行)されたことで60歳が日本の標準的な定年になった。2000年[注釈 5]に企業に対して、65歳までの雇用確保措置を努力義務化された。2004年[注釈 6]に企業に対して、65歳までの雇用確保措置の段階的義務化(2006年[注釈 7]施行)、2012年には企業に対して、希望する労働者全員を65歳まで継続雇用することが義務化がされた(2013年施行)[11]


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