この記事では宗教的テロリズム(しゅうきょうてきテロリズム、英語: religious terrorism)について解説する。 まず「宗教的テロリズム」や「宗教テロ」といった用語について解説すると、英語圏で使われているreligious terrorism(宗教的テロリズム、宗教テロ)という用語について、Jeroen Gunninga と Richard Jacksonが分析している。彼らの指摘によると、学術研究の面から見ても、政治的な面から見ても、「religious terrorism 宗教的テロリズム」という用語・概念を使用することは様々な問題をはらんでいる。この「宗教的テロリズム」という用語を使ってしまうことは、「religious terrorist 宗教的テロリスト」に分類される人々の動機・原因・行動を理解するという点では誤った方向に導きがちだからである[1]。 米国のマスコミなどで「宗教テロ」と扱われているものの中には、実は「貧困テロ」に分類したほうが良いものも多く含まれている。世界の人口のおよそ半数が貧困層で、1日の生活費がわずか2ドル以下で、医療も充分にない、という悲惨な状態で絶望の中で暮らしている[2]。だが、先進国の富裕層はそうした事実を知らずに、あるいは認めようとせずに暮らし、よりいっそう低所得の者を都合よく利用して(「搾取」して)、さらに貧富の格差が広がるような方法ばかりを選び、悪循環が広がっている。貧困層は彼らの苦境を先進国の富裕層に訴えようとしても、そうした声は富裕層にとっては都合が悪く感じられるので、ほとんど届かず無視され、先進国のマスメディアにもほとんど流されない。富裕層にとっては、そうした貧困層の声や実情が知れることは、自分たちのビジネスを進めるうえで都合が悪いので、意図的にそれを隠ぺいしようとすることもある。また、貧困層はしばしば充分な教育を受ける機会も失っており、自分たちの考えをまとまった形にしたり、書籍にしたり論文として発表することも困難である[3][出典無効]。結局、多くの場合、貧困状態におかれた人々の苦しみをしっかりと受け止めてくれ、その気持ちを代弁してくれるのは宗教になる[3]。多くの宗教が弱者への想いやりの重要性を説いており、互いに助け合うことの重要性を説いており、そうした精神を体現した組織や実践体系を持っていることも多い。かくして、貧困に苦しむ人たちが、宗教へと接近することになる[3]。そして彼らは、宗教的な装いを帯びつつ、(無理解・無慈悲・強欲と彼らの眼には映り、彼らを貧困に追い込んでいる張本人だと思われている)先進国の富裕層や、富裕層が実質的に実権を握っている先進国の政府に対し闘いを挑んでゆくことになる。 彼らは国境を越えて連帯して戦いを行うこともある。世界宗教は、国境を越えて人々を連帯させるからである。
概説