完全試合
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2009年7月23日、シカゴ・ホワイトソックスタンパベイ・レイズ戦で、ホワイトソックスのマーク・バーリーメジャーリーグベースボール18人目の完全試合を達成した際、偉業を称えて喜ぶチームメイト達。後方のベンチではレイズの選手達が肩を落としている

完全試合(かんぜんじあい、かんぜんしあい)とは、野球ソフトボールの試合における記録のひとつで、相手チームの打者を一度も出塁させずに勝利することである[† 1]。パーフェクトゲーム(: perfect game[† 2])やパーフェクト(西: perfecto[2][3][† 3][† 4])とも呼ばれる。

野球(高校生以上)では少なくとも9イニング27人、ソフトボールでは少なくとも7イニング21人の打者を全て凡退させて、その時点で勝利する必要がある。安打はもちろんのこと、四死球失策なども許されない。延長戦[† 5]に突入した場合は、試合に勝つまで継続して走者を出さないことが達成条件となる。ただし延長タイブレークに突入した場合は、完全試合は認められなくなる[† 6]

9イニング制の場合、完全試合を達成するための最少投球数は27球で、これは全ての打者が初球を凡打した場合に達成される。

完全を継続したまま引き分けた場合や、コールドゲームによる勝利、没収試合の宣告による勝ち、または負けの場合は公式の記録とは認められず、参考記録として扱われる。四死球や失策などで出塁を許しながらも無安打無失点に抑えた場合はノーヒットノーラン、安打で出塁を許しても一人も生還させなかった場合は完封となる。

「完全試合」という用語は単に本項目で説明する野球の記録の名称であり、最高得点が決まっている記録での百点満点などという意味はない。本項目では、野球用語としての「完全試合」を述べる。野球以外は「他競技での用法」を参照のこと。
メジャーリーグベースボール詳細は「メジャーリーグベースボールの完全試合一覧(英語版)」および「メジャーリーグベースボールのノーヒットノーラン一覧(英語版)」を参照

メジャーリーグベースボール(MLB)は、完全試合を以下のように定義している。An official perfect game occurs when a pitcher (or pitchers) retires each batter on the opposing team during the entire course of a game, which consists of at least nine innings. In a perfect game, no batter reaches any base during the course of the game.
(公式な完全試合は、9イニング以上の試合を通して一人(あるいは複数)の投手が、相手チームの打者を凡退させ続けることで認められる。完全試合においては、試合の開始から終了まで打者は一人も出塁できない。) ?  ⇒MLB Miscellany: Rules, regulations and statistics, MLB.com

この条件を満たした完全試合は19世紀に2度、20世紀に14度、21世紀に8度の計24度が記録されている。1876年に最初のメジャーリーグとしてナショナルリーグが創設されて以来147シーズンで24度ということは、単純計算では6年ほどに一度の割合ということになる。ただし1980年代に入ってからは、それ以前より達成頻度が上がっている[4]。1922年にチャーリー・ロバートソンが達成してから30年以上完全試合が出なかった時期がある一方で、2009年から2012年にかけての4年間で6度も達成されたこともある。特に2012年には1年で3度の完全試合があり、これは史上最多である。完全試合数が達成されやすくなってきている原因としては、三振数が増加傾向にあるため打球がインプレイになりにくくなり、守備のミスによる出塁の機会が減っていることや、1961年以降のエクスパンションによって球団数が16から30まで増えたことで試合数も増加する一方、優れた実力を持つ選手が1球団に集中しにくくなったことなどが挙げられる[5]

上記の定義のとおり継投による完全試合も認められるが、これまでMLBで達成されたものはいずれも一人の投手によるものであり、継投によるものはない。達成者の顔ぶれを見ても、アメリカ野球殿堂入りした投手もいれば、通算勝利数が50に満たないうえに負け越している投手もいて、彼らの実績は一定していない[4]。2010年にはニュージャージー工科大学准教授のBruce Bukietが数理モデルを用いた分析をしており、その結果によれば通算311勝で殿堂入りのトム・シーバーは完全試合達成の可能性が史上7番目に高かったというが、シーバーも彼より上の6投手も実際には達成できていない[5]。史上唯一となるポストシーズンでの完全試合を1956年のワールドシリーズ第5戦で成し遂げたドン・ラーセンも、殿堂入りはおろかオールスター選出経験すら一度もない投手である[6]。また、同じ投手が複数回達成したこともない。審判員ではテッド・バレット(英語版)が、完全試合での球審を2度(1999年のデビッド・コーンによるものと、2012年のマット・ケインによるもの)務めたことがある[7]捕手ではロン・ハシー(英語版)が、1981年にインディアンズでレン・バーカーの完全試合(英語版)[8]、1991年にエクスポズでデニス・マルティネスの完全試合(英語版)[9]の双方に先発捕手として立ち会っており、2度の完全試合達成に関わった唯一の捕手となっている。

2010年に完全試合を成し遂げたダラス・ブレイデンは、自分の前に達成したマーク・バーリーから「これがしきたりかどうかは分からないんだけど、ようこそ(完全試合)クラブへ」と祝福の電話をもらったという[10]

達成日投手所属スコア対戦相手球場
1880年06月12日 リー・リッチモンドウースター・ルビーレッグス1-0クリーブランド・ブルースウースター・アグリカルチュラル・フェアグラウンズ
1880年06月17日 モンテ・ウォードプロビデンス・グレイズ5-0バッファロー・バイソンズメッサー・ストリート・グラウンズ
1904年05月05日 サイ・ヤングボストン・アメリカンズ3-0フィラデルフィア・アスレチックスハンティントン・アベニュー・グラウンズ
1908年10月02日 アディ・ジョスクリーブランド・ナップス1-0シカゴ・ホワイトソックスリーグ・パーク
1922年04月30日 チャーリー・ロバートソンシカゴ・ホワイトソックス2-0デトロイト・タイガースネビン・フィールド
1956年10月08日 ドン・ラーセンニューヨーク・ヤンキース2-0ブルックリン・ドジャースヤンキー・スタジアム


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