安息香酸
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安息香酸


安息香酸の結晶
IUPAC名

Benzoic acid
別称

安息香酸

ベンゼンカルボン酸

カルボキシベンゼン

識別情報
CAS登録番号65-85-0 
PubChem243
ChemSpider238 
UNII8SKN0B0MIM 
EC番号200-618-2
E番号E210 (防腐剤)
KEGGD00038 
MeSHbenzoic+acid
ChEBI.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul{line-height:inherit;list-style:none none;margin:0;padding-left:0}.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol li,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul li{margin-bottom:0}

CHEBI:30746

ChEMBLCHEMBL541 
RTECS番号DG0875000
バイルシュタイン636131
Gmelin参照2946
3DMet ⇒B00053
SMILES

O=C(O)c1ccccc1

InChI

InChI=1S/C7H6O2/c8-7(9)6-4-2-1-3-5-6/h1-5H,(H,8,9) Key: WPYMKLBDIGXBTP-UHFFFAOYSA-N 

InChI=1/C7H6O2/c8-7(9)6-4-2-1-3-5-6/h1-5H,(H,8,9)Key: WPYMKLBDIGXBTP-UHFFFAOYAD

特性
化学式C6H5COOH
モル質量122.12 g/mol
示性式C6H5COOH
外観無色の結晶性固体
密度1.32 g/cm3, 固体
融点

122.35 °C, 396 K, 252 °F ([2])
沸点

249 °C, 522 K, 480 °F
への溶解度可溶 (温水)
0.34 g/100ml (25 °C)
THF, エタノール, メタノールへの溶解度THF 3.37 M, エタノール 2.58 M, メタノール 2.91 M [1]
酸解離定数 pKa4.21
屈折率 (nD)1.5397
構造
分子の形平面構造
双極子モーメント1.72 D (ジオキサン溶媒中)
危険性
安全データシート(外部リンク) ⇒JT Baker
EU Index掲載なし
主な危険性刺激性あり
NFPA 704120
引火点121 °C, 394 K
発火点570 °C, 843 K
関連する物質
関連するカルボン酸

サリチル酸

4-ヒドロキシ安息香酸

アントラニル酸

3-アミノ安息香酸

4-アミノ安息香酸

3-ニトロ安息香酸

フェニル酢酸

関連物質ベンズアルデヒド,
ベンジルアルコール,
塩化ベンゾイル
ベンジルアミン
ベンズアミド
安息香酸ベンジル
出典
ICSC
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

安息香酸(あんそくこうさん、: benzoic acid、: Benzoesaure)は芳香族化合物であり、特に芳香族カルボン酸である。ベンゼン水素原子1個がカルボキシ基置換された構造を持つ。水に溶かすと酸性を示し、酸解離定数 pKa は 4.21 である。

安息香酸のカルボキシ基に対してオルト位の水素原子がヒドロキシ基に置換されると、サリチル酸となる。

抗菌静菌作用があるので、水溶性のナトリウム塩、安息香酸ナトリウム などは清涼飲料等の保存料として添加されている。酸型保存料の一種。殺菌作用はない(既に細菌などの増殖したものに対しては無効)。旧厚生省は安息香酸を天然に存在しない添加物に分類している[3]
発見と命名

ユストゥス・フォン・リービッヒフリードリヒ・ヴェーラーにより、1832年に構造決定がなされた。

安息香(ベンゾイン)は香料として用いられる樹脂の一種であり、この中に安息香酸のエステルが多いことからこの名がとられた。
製法

安息香酸はアルキル側鎖を1つ持つ芳香族(たとえば、トルエンエチルベンゼンクメンなど)を酸化することで得られる。この反応ではベンゼン環に隣接する水素?炭素間の結合が攻撃される。ベンジル位にC-H結合がない場合はベンゼン環が酸化される。また、ベンズアルデヒドC6H5CHOの酸化によって得ることも出来る。
体内での代謝詳細は「馬尿酸」を参照

安息香酸は、体内に取り込まれると肝臓にて代謝され馬尿酸となり尿として排泄される。
安全性に関する議論

2007年、英国食品基準庁は食品添加物と注意欠陥・多動性障害との関係を調査する為に二重盲検法による広域スクリーニングを実施した結果、数種類の合成着色料であるタール色素と、合成保存料の安息香酸ナトリウムを同時に摂取した群に相関を認めたという研究報告があり[4][5]、注意欠陥・多動性障害の子供は、安息香酸を保存料として使用されている食品は避けたほうがいいと勧告している[6]。しかし、欧州食品安全当局(EFSA)は同じ研究報告を評価し、観察された影響の臨床上の意義が不明なことや、研究結果の一貫性の無さ、小さなエフェクトサイズの意義が不明なこと、用量反応性の情報がないこと、食品添加物の行動への影響を誘発させる生物学的メカニズムが考えられないことを挙げ、ADIを変更する根拠にはならないとしている[7]

ドイツ連邦リスク評価研究所 (BfR) の報告によれば、清涼飲料水中に安息香酸とアスコルビン酸が共存する場合には微量のベンゼンが生成する可能性があり、生成量は pH、温度、他の不純物(主に金属イオンが影響するものと思われる)、紫外線の影響を受けるという[8][9]

ベンゼンの曝露は各種のガンや骨髄性白血病のリスクを高めるが、試験結果によればベンゼン濃度は最大でも 20 ppb 程度に留まり、BfRも現時点でのリスクは評価できないほど小さいとしている。

なお、ベンゼンの摂取許容量(時間加重平均濃度 1 ppm、40年曝露での白血病リスク増加はみとめられなかった)を定量的に考慮すると、直ちに健康被害が発生するとは考えづらい。

2021年に厚生労働省は、安息香酸の食品健康影響評価について、次のような見解を示している。

安息香酸は、食品中に天然に含まれており、また、食品添加物として長年使用されてきた実績から、十分な食経験がある。


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