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出典検索?: "宇能鴻一郎"
宇能 鴻一郎(うの こういちろう、1934年7月25日 -)は、北海道札幌市出身の小説家、官能小説家、推理作家。本名鵜野 廣澄(うの ひろずみ)。下の名前を音読みした「ウノコウチョウ」をもじったペンネームであり、同人誌時代には「宇野興長」の筆名も用いていた。嵯峨島 昭(さがしま あきら)名義で推理小説も執筆している。 東京府士族の鵜野二弥と、佐賀県士族の綾(旧姓:徳久)の間に長男として出生。軍事会社の工場の副所長[1] であった父の転勤に従い各地を転々とし、奉天から敗戦で引き揚げた[2]。満州時代、小学校5?6年のころ、盗みを働いて捕まり、ロシアの司令官の邸宅で全裸のまま給仕をさせられたことがある、という[1]。 1955年福岡県立修猷館高等学校から東京大学文科II類に進学。1959年同学文学部国文学卒、同学大学院に進学。1961年学位論文『原始古代日本文化の研究』で文学修士。1968年同学大学院博士課程満期退学。 大学在学中に『半世界』の同人[3] になり、1961年に自らの同人誌『螺旋』を創刊。同誌に発表した短篇『光の飢え』が『文学界』に転載され、芥川賞候補作となった。翌1962年、『鯨神』で第46回芥川賞受賞。同作は直ちに大映で映画化された(監督:田中徳三、主演:本郷功次郎、勝新太郎)。この時の原作料として、大映から100万円を示される。 濃厚なエロティシズムを湛えた文体と、評論や紀行文等で見せる博覧強記ぶりも知られていたが、純文学の筆を折り、官能小説の世界に本格的に身を投じた。 「あたし?なんです」等、ヒロインのモノローグを活用した独特の語調は、夕刊紙やスポーツ新聞への連載で一時代を築き、金子修介の劇場公開初監督作品『宇能鴻一郎の濡れて打つ』など、数十本が日活ロマンポルノなどで映画化されている。 1972年以降、嵯峨島 昭(さがしま あきら)の別名で推理小説も執筆。当初は覆面作家だったため、音読みすると「(正体を)探しましょう」と読めるペンネームを用いた。警視庁の酒島章警視を探偵役に、当初はシリアス路線で・途中からグルメや旅行をテーマにしたドタバタ調に転じて、多くの作品を発表している。なお、グルメ知識に関しては官能小説による多額の収入を投入して蓄積した本格的なもので、これらの後書きでは、文壇のグルメ批判(食の薀蓄を語ることは卑しい行為であるなど)に強く反論している。 1990年代半ば以降寡作化し、2005年に初期傑作集『べろべろの、母ちゃんは…』を刊行、2006年に『日刊ゲンダイ』の連載を終了して後は新作の発表がなかったが、2014年『夢十夜 双面神ヤヌスの谷崎・三島変化』で、純文学作家として復活。鎌倉を自宅とし、軽井沢にも別邸を持ち、横浜市金沢八景の敷地600坪の洋館で老秘書を従え、社交ダンスのパーティを開くなどの貴族的な暮らしぶりが伝えられる[1][4]。 (官能小説は、文庫化などされたもの) 『魔楽』(講談社、昭44・2)
人物と作風
主著
1962年
『鯨神』[5] (1962年3月25日、文藝春秋新社)
『鯨神』(1981年7月10日、中央公論社 中公文庫)
『鯨神』(コミック、画:さいとう・たかを)(2008年11月20日、リイド社)
1964年
『完全な女』(1964年5月、学習研究社)
1965年
『楽欲』(1965年12月、新潮社)
『密戯・不倫』(1965年2月28日、新潮社)
1966年
『本能のモラル』(1966年10月、青春出版社)
『痺楽』(1966年4月5日、講談社)
『獣の悦び』(1966年12月20日、講談社)
1967年
『城賭けの闘茶』(1967年、人物往来社)- 歴史小説選書
『血の聖壇』(1967年9月、講談社)
『血の聖壇』(1968年2月28日、講談社 講談社文庫)ISBN 978-4-06-111436-4
『絢爛たる暗黒 私記日本史』(1967年5月25日、新潮社)
1968年
『味な旅舌の旅』(1968年12月20日、日本交通公社)
『美味めぐり あまカラ選書』(1977年7月1日、ロングセラーズ)- 「味な旅舌の旅」の改題再編集 ISBN 978-4845410071
『味な旅舌の旅』(1980年8月10日、中央公論社 文庫版)ISBN 9784122007574
『味な旅舌の旅 改版』(2010年10月25日、中央公論新社)ISBN 9784122053915
『味な旅 舌の旅 新版』(2022年2月22日、中央公論新社)ISBN 9784122071759
『逸楽』(1968年7月、講談社)
『逸楽』(1969年4月28日、講談社 講談社文庫)
『肉の壁』(1968年6月25日、光文社 (カッパ・ノベルス)
『肉の壁』(1976年3月15日、ベストブック社)
『肉の壁』(1988年3月20日、光文社 光文社文庫)
『私の女性開眼』(1968年1月10日、講談社)
『耽溺』(1968年、講談社)- 短編小説集- 短編小説集
『耽溺』(1969年4月28日、講談社 講談社文庫)- 短編小説集
1969年
『伯爵令嬢の妖夢』(1969年6月12日、講談社)- 短編小説集
『痴戯』(1969年10月、講談社)- 短編小説集
『狂宴』(1969年5月28日、講談社)- 短編小説集
『魔楽』(1969年9月27日、講談社)- 短編小説集
『快楽の果実』(1969年5月20日、学習研究社)- 短編小説集
『黄金姦鬼』(1969年8月15日、新潮社)- 短編小説集
1970年
『宇能鴻一郎の本』(1970年7月、ベストセラーズ)- 短編小説集
『お菓子の家の魔女』(1970年10月、講談社)- 短編小説集
『お菓子の家の魔女』(1975年1月22日、講談社 講談社文庫)ISBN 978-4-06-111758-7
『縄目の快楽』(1970年2月28日、講談社)- 短編小説集
『縄目の快楽』(1975年5月13日、講談社)ISBN 978-4-06-111767-9
『秘本西遊記』(1970年4月10日、徳間書店)
『秘本西遊記』(1983年6月15日、徳間書店)
1972年
『金髪 神々しき娼婦』(1972年12月、徳間書店)
『金髪』(1984年3月15日、徳間書店 徳間文庫)
『交換旅行』(1972年、青樹社)
『交換旅行』(1978年3月10日、双葉社)
『交換旅行』(1987年11月25日、双葉社 双葉文庫)
『淡月斎 女人斬り』(1972年7月15日、桃園書房)
1973年
『女ざかり』(1973年2月15日、双葉社)
『女ざかり』(コミック、画:村山一夫)(1983年1月24日、双葉社)
『女ざかり』(1983年11月25日、双葉社 双葉文庫)
『女ざかり 2』(コミック、画:村山一夫)(1984年2月9日、双葉社)
『大剣一閃金髪を斬れ 忘鬼一郎旅券控』(1973年9月10日、徳間書店)