宇宙空間でのセックス
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宇宙空間でのセックス(うちゅうくうかんでのセックス)、すなわち無重力状態での性交や受精、生殖における条件についての研究は、人類が将来長期にわたる宇宙空間での任務を遂行するにあたって必要不可欠なものとなっている。影響する問題として、概日リズムや放射能、孤独やそれに伴うストレス、そして微小重力環境下で行為におよぶ際の身体的な困難が挙げられる。
概要

宇宙空間の無重力における性行動の際、ニュートン力学における運動の第3法則(作用・反作用の法則)が大きな障壁となる。この法則によって、カップルがお互いに触れ合おうとすると、逆に彼らはお互いに反対方向に移動してしまう。そして、彼らがほかの物体(ただし彼らに接していないものに限る)の影響を受けない限り、その運動速度は変化しない。また、カップルが支えとなる他の物体に向かう際にも困難はあり、カップル同士と他の物体の間に相対的な合成速度がある際は、カップルと物体がそのまま衝突してしまう。

宇宙空間でのセックスに関する議論では、こうした行為中の問題だけでなく、その後の受精出産を宇宙で行うことについての問題も提示されている[1][2][3][4]

NASA月面基地を計画しており、場合によっては計画に際するミッションは長期化する可能性があるため、このトピックは生命科学の分野として重要な事項として扱われている。それでも、一部の研究者は、国も民間の宇宙機関もまだ宇宙空間での性活動について対処しうるだけの具体的な研究や解決策を見いだせていないと指摘している[5][6]コンコルディア大学のDube Simonらによる2021年の研究では、NASAは宇宙での性活動についての研究をNASAの人間研究プログラム内に統合するべきだと提言がされている。
身体的問題

宇宙飛行中に身体に起こる変化は数多く発見されており、それらの中には性と生殖に影響を及ぼすものもあるのではないかとされている。こうした影響は、重力の変化、放射能、雑音や振動、概日リズムの変化、孤独やストレスといった複数要因の組み合わせで生じる[7]
微小重力

地球外での生殖活動にとって最も主要な変化は、重力の欠如である。地球上の生命はそのすべてが地球の重力加速度1Gのもとで繁殖し、個体発生のプロセスを行うよう進化してきた。宇宙環境が哺乳類の生殖と発達過程の重要な段階にどう影響するかを研究することは非常に重要となってくる[8]

ラットで実施された研究では、通常重力下での胎児は正常に発達したが、微小重力下で育ったラットは自己修正能力に欠けていることが分かった[9]。別の研究では微小重力下でのマウスが調べられ、一度通常の重力下におかれたマウス胚は受精が微小重力環境下だったかにかかわらずみな健康に育ったが、微小重力下で受精させたマウスは受精率自体が低かった[10]。そして現在、ライフサイクルの全過程において微小重力下で育ったマウス・ラットは未だ確認されていない[11]
2Suit2008年9月13日にテレビ番組「ザ・ユニバース_?宇宙の歴史?」シリーズで行われた、微小重力環境下での2suitの試験

2suit(英語版) (2-Suit、twosuitとも)は宇宙空間や低質量の天体表面などの無重力環境でも簡単に性交ができるように設計された衣服である[12]。この飛行服はアメリカ人小説家で女優のヴァナ・ボンタによって開発され[2][12]2008年にアメリカのヒストリーチャンネルで放映されたドキュメンタリー番組「ザ・ユニバース_?宇宙の歴史?」のエピソード「Sex in Space」のテーマにもなった。この回の放送では、地球を離れた人類が行う生殖行為についての生物学的・感情的な意味合いについて取り上げられており、その主題の1つとして2suitが取り上げられた[13][14]

その後、2suitはたびたびライターに取り上げられている[15][16]
予定された試みPornhubの計画で宇宙で初めて性交するはずだったエヴァ・ロヴィア

2015年6月にPornhubは世界初の、宇宙でのポルノを撮影する計画「Sexploration」を発表した。同社は計画のための資金集めとして、60日間で340万ドルを集めることを目標にクラウドファンディングを行ったが、目標の7%足らずの236,086ドルしか集まらず、計画は頓挫した。計画ではもし資金が集まっていたら、キャストであるポルノ女優エヴァ・ロヴィア、ポルノ男優のジョニー・シンズ(英語版)に加え6人のスタッフが6か月間の訓練ののち撮影を行い、2016年に作品が公開されていたとされている[17][18][19][20]。同社は複数の民間宇宙飛行会社と交渉していたと主張しているが、その会社の名前を挙げることは「その会社に不必要なリスクがおよぶことを危惧して」拒否し続けている[17]

宇宙や天文学に関するニュースサイトSpace.com(英語版)はPornhubのキャンペーンに関する記事中で、民間宇宙飛行会社のヴァージン・ギャラクティックが2008年に非公開の関係者から、100万ドルでスペースシップツーをセックスフィルムの撮影に使いたいとの申し出を受けるも拒否していたことを報じた[18]

ポルノ女優のココ・ブラウンは、2016年弾道飛行で打ち上げられて無重力状態で短時間過ごすXCORエアロスペース(英語版)社の宇宙船リンクスに副操縦士として搭乗することを目指し、パイロットの免許取得や資格認定の訓練を行った[21]。順調にいけばブラウンは初めて宇宙に行ったポルノ女優となるはずだったが、XCOR社はリンクスを一度も打ち上げることないまま2017年に破産した[22]


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