この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
宅地建物取引業法
日本の法令
通称・略称宅建業法
法令番号昭和27年法律第176号
種類行政手続法
効力現行法
成立1952年6月2日
公布1952年6月10日
施行1952年8月1日
所管国土交通省
主な内容宅地建物取引業について
条文リンク宅地建物取引業法
宅地建物取引業法(たくちたてものとりひきぎょうほう、昭和27年法律第176号)は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地および建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もって購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする、日本の法律。通称宅建業法。所管官庁は国土交通省。
1952年(昭和27年)、第13回通常国会に瀬戸山三男、外11名(浅利三朗、内海安吉、上林山栄吉、鈴木仙八、田中角栄、西村栄一、松本一郎、薬師神岩太郎、中島茂喜、増田連也、村瀬宣親)により提出、成立した議員立法である。 戦後の日本は空爆による住宅被災・戦地からの帰国者による人口増などにより、未曾有の住宅難の時代を迎えた。しかし当時は不動産取引を規制するものが何も無く、取引の仲介を行うのに無資本でも報酬を得られることから、専門的な知識や経験のほとんど無い者が取引に従事し、手付金詐欺・二重売買などを行う悪質な業者が横行するようになった。これらを規制し不動産業が健全な発展を図れるよう、昭和27年6月に宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)が制定された。衣・食と並んで「住宅」は人間生活に欠くことのできない生活基盤である。にもかかわらず住宅を入手する宅地・建物の取引については、一般消費者がその知識や経験の乏しいのが通常であり、他方、悪質な業者も存在するため、大切な財産を失い、あるいは多大な損害を被る事例があとを絶たないのも事実である。 宅建業法では免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことによって、 以上の3点を目的とし、最終的には宅地・建物を購入しようとする者等が被る恐れのある損害を防止し、その利益を保護するとともに、宅地・建物が円滑に流通することを目的としている(宅建業法第1条より)。 本項で宅地建物取引業法について以下では条数のみを挙げる。 宅地建物取引業者の免許制度などの規制による、業務の適正な運営と宅地や建物の取引の公正の確保、宅地建物取引業の健全な発達の促進、購入者等の利益の保護と宅地や建物の流通の円滑化を目的としている(1条
概要
宅地建物取引業を営む者の業務の適正な運営を図る。
宅地・建物の取引の公正を確保。
宅地建物取引業の健全な発達を促進。
構成
第1章 総則(1・2条)
第2章 免許(3 - 14条)
第3章 宅地建物取引士(15 - 24条)
第4章 営業保証金(25 - 30条)
第5章 業務
第1節 通則(31 - 50条の2の4)
34条の2
35条
37条(書面の交付)
第2節 指定流通機構(50条の2の5 - 50条の15)
第3節 指定保証機関(51 - 63条の2)
第4節 指定保管機関(63条の3 - 64条)
第5章の2 宅地建物取引業保証協会(64条の2 - 64条の25)
第6章 監督(65 - 72条)
第7章 雑則(73 - 78条の4)
第8章 罰則(79 - 86条)
附則
目的
宅地建物取引業免許
免許の申請先は、1つの都道府県に事務所を設置する場合、その都道府県知事の免許を受け、直接知事に申請する。複数の都道府県に事務所を設置する場合、国土交通大臣の免許を受け、主たる事務所(本店)所在地を管轄する都道府県知事を経由して申請する(3条1項)。
免許の有効期間は5年で、更新の際は有効期間満了日の90日前から30日前までの間に申請書を提出しなければならない。申請書を提出すれば、たとえ手続上の都合で有効期間内に処分がなされなくても、従前の免許の効力が存続する(3条2~4項)。
免許の効力は、日本全国で有効である。都道府県知事免許でも国土交通大臣免許でも同様である。
免許番号は「国土交通大臣(2)第1234号」「東京都知事(1)第78901号」「北海道知事 石狩(1)第1234号」(「石狩」は石狩振興局。なおオホーツク総合振興局管内は「オホ」)という形で表される。括弧内の数字は更新回数に1を加えた数を示す。業者が免許換え、廃業、免許取り消しとなった場合、その免許番号は永久欠番となり、再使用されない。
宅建業者が、商号又は名称、事務所の名称及び所在地、事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名、役員(個人業者の場合はその個人)及び政令で定める使用人の氏名に変更があったときは、変更があったときから30日以内に免許権者に届出なければならない(4条、8条、9条)。
宅建業者が、事務所の新設・廃止・移転により現在の免許が不適当となる場合は、新たに免許を取得する免許換えを申請しなければならない(7条)。つまり、新たな免許の取得となるので、免許証番号が変更になり、有効期間も免許換えの日から5年となる。
何人も、宅地建物取引業免許を受けないで、宅地建物取引業を営んではならず、また宅建業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもって広告をしてはならない(12条)。 宅建業者は、自己の名義をもつて、他人に宅地建物取引業を営ませてはならず、また自己の名義をもって、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ、又は宅地建物取引業を営む目的をもってする広告をさせてはならない(名板貸の禁止、13条)。
免許権者は、免許の交付にあたって、その免許に条件を付し、及び条件を変更することができる(3条の2)。宅建業者がこの条件に違反したときは、免許権者はその免許を取り消すことができる(66条2項)。
欠格事由
宅建業を営むにあたり、以下の各号のいずれかに該当する者は、免許を取ることができない(5条)。
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
66条第1項8号・9号による宅建業免許の取消(以降「免許取消」と略す)の日から5年経っていない者(当該免許を取り消された者が法人の場合においてその役員[1]だった者で、免許取消の日から5年経っていない者(役員は免許取消処分の聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内に役員だった者に限る)
免許取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から処分をするかどうかを決定するまでの間に解散・廃業の届出をした者(相当の理由がある場合を除く)で、届出の日から5年経っていない者
免許取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から処分をするかどうかを決定するまでの間に合併により消滅した法人、または解散・廃業の届出のあった法人(相当の理由がある法人を除く)の役員だった者で、当該消滅または届出の日から5年経っていない者(役員は免許取消処分の聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内に役員だった者に限る)
禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年経っていない者
宅建業法違反、傷害罪などの暴力関係の罪[2]、背任罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年経っていない者
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という)
免許の申請前5年以内に宅建業に関し、不正または著しく不当な行為をした者
宅建業に関し、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者[3]
心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの[4]
未成年者で、その法定代理人(代理人が法人である場合においては、その役員を含む)が、前述1?10に該当する場合
法人(宅建業者)であって、その役員または政令で定める使用人[5]が、前述1?10に該当する場合
個人事業者で、政令で定める使用人が前述1?10に該当する場合
暴力団員等が事業を支配する者
事務所に法定数の専任の宅地建物取引士を置いていない場合