孫衛星
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系外惑星ケプラー1625bを公転する系外衛星ケプラー1625b Iの想像図[1][2]

孫衛星[3] (まごえいせい、: subsatellite)とは、衛星の周りを公転する衛星、すなわち衛星の衛星を指す。英語では、moonmoon や submoon、grandmoon と呼ばれる場合もある[4][5]。天然の衛星を周回する宇宙探査機などの人工天体を孫衛星と呼ぶ場合もある[3]。また、軌道を問わず単に主衛星から分離した子機を指して孫衛星と呼ぶ用法も見られる[6]。本項では主に天然の衛星の周りを公転する天然の天体について述べる。

孫衛星は、太陽系における衛星に関する経験的な研究から、惑星系の構成要素の一つである可能性が推論されてきた。太陽系では、巨大惑星は多数の自然衛星を持っている。また発見されている太陽系外惑星の多くは巨大惑星であり、そのうちケプラー1625bは少なくとも一つの大きな系外衛星を持っている可能性があると推定されている[1][2][7][8]。そのため太陽系内や太陽系外の惑星系にある衛星が孫衛星を持つ可能性についての議論が行われている[4]

2019年時点では太陽系内にも太陽系外にも孫衛星の存在は確認されておらず、仮説上の天体である。多くの場合、衛星が公転している惑星潮汐力などの影響によって孫衛星の軌道は不安定になるため、一時的にしか存在出来ないと考えられる[4]。孫衛星が長期間安定に存在するためには、衛星が 1000 km 級のサイズで大きな質量を持つ、衛星が惑星から比較的離れた軌道を公転している、孫衛星の質量が小さい(衛星質量の10万分の1以下)、孫衛星の軌道が衛星から遠すぎず近すぎもしない距離にある、という複数の条件を満たしている必要がある[4][9]
存在が疑われた例
レア土星の衛星レアの周りの環の想像図

2008年3月に、土星探査機カッシーニの観測データを元に、土星の衛星レアの周囲にが存在する可能性があるという論文が発表された[10]。また計算ではレアの周囲には安定してレアを公転することができる軌道領域が存在することも示唆された[10]。さらに環は細いと考えられたことから[11]、形状を維持するための羊飼い衛星に当たる孫衛星が存在する可能性も推測された。

しかしその後のカッシーニによる観測では、当初の報告通りの環が存在するのであれば十分に検出可能であるにもかかわらず、環や孫衛星が存在することを示す観測結果は得られなかった[12][13]。そのため、レアに環や孫衛星が存在するという説は否定的に見られている[13]
イアペトゥス

土星の衛星イアペトゥスは、過去に孫衛星や環を持っていた可能性があるという仮説が提案されている[14][15]。イアペトゥスは赤道に沿って特徴的な尾根が走っていることが確認されている。その成因の仮説の一つとして、過去の孫衛星や環の物質が赤道上に降り積もって尾根を形成したというシナリオが考えられている[14][16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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