学習塾
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学習塾(がくしゅうじゅく)とは、私的に子供を集めて、学校教育の補足や進学準備教育を行う施設()。

東アジア諸国のように学習塾が多数ある地域がある一方で、フィンランドヘルシンキのように学習塾に相当する機関そのものがほとんど存在せず一部の子どもが自由参加の学習サークルに参加している地域もある[1]
日本における学習塾
学習塾の定義

文部科学省の「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告」では、学習塾を「学校ではなく自宅外で、国語算数等の教科の指導を行うものをいい、そろばん等のいわゆるおけいこごとは含まない」と定義している[2]。なお、習い事は「自宅や自宅外で、習字、そろばん、ピアノスポーツなどの指導を受けるものいう」と定義されている[2]
学習塾の分類
学力別

難関校進学クラスを持つ塾と持たない塾に分かれるが、大手進学塾では学力に応じてクラス分けしていることが多い。中小の大半の塾ではクラス分けをしていない。個別指導塾や自習式の塾は個人の実力に応じて対応できるためクラス分けがない。
難関校進学クラスを持つ塾
難関の学校に進学希望する生徒に、学校の授業より難しい内容を加え指導するクラスを持つ塾。入塾試験でクラス分けするところがほとんど。難関校を目指す生徒のみの塾はほとんどなく、ほとんどが学力別クラスを作った形を取っている。
一般の塾
学力別のクラスを持たない塾。中程度の学力レベルに合わせ、学校の授業より先行して授業を行ったり補習授業を行う。中小の学習塾の多くがこれに属する。
人数別
集団授業の塾
1クラス概ね10人以上の
クラス構成の塾。大手塾では、社員扱いの講師が高度な内容のクラスを担当し、大学生などのアルバイト講師がそれ以外のクラスを担当することが多い。社員と大学生アルバイトなどの見分けが付かないので、習う側からは講師の質の判断が難しい。社員扱いの講師が担当するクラスは、1クラスの人数が多くなり授業料も高額になる。規模の拡大に伴い、主に下位クラスで講師の質が落ちていることもある[3]。中堅塾では集団授業塾でも全てアルバイト講師というところも多く、この場合は授業料が比較的安価であることが多い。
自習形式の塾
クラスはなく広い部屋に異学年の小中学生を集め、様々な科目を自習形式で同時に学習する。解説の書いた専用のプリントと問題用紙をもらい自学自習する。採点者は採点に追われるので、ほとんど指導ができない。人数の多いところでは、アルバイト講師が巡回指導することもある。ほとんどがフランチャイズ形式で、家庭の主婦が指導者として行っているところが多い。公文式学研教室がこれに当たる。
少人数制授業の塾
1クラス概ね5?10名のクラス構成で個人経営の塾にこのタイプが多い。集団授業と違い個人指導もある程度できる。
個別指導の塾
1人の講師が概ね1?4名の生徒を指導する。個人指導ができるが、講師1人に対する生徒が少ない分、授業料が高額。時間単価で比較すると、集団授業の塾の3?6倍となる。苦手科目のフォローとして補修程度に使うのが無難だという声もある[3]
学習塾の発展と弊害

昭和40年代より急激にその数を伸ばし、現在ではなくてはならない存在になっており、学校側も大手学習塾の指導法に注目している[4]。かつて文部省(現: 文部科学省)は学習塾を好ましくない存在としていたが、文部大臣の諮問機関である生涯学習審議会が1999年平成11年)に行った提言以来、学校教育と学習塾を共存させる方針に転換した(学習塾は文部科学省の所管だと思われがちだが、学習塾はサービス産業の業種なので経済産業省の所管である)。

塾が流行っている一因に、公立学校のゆとり教育への不安感がある。また、学習塾が「総合的な学習の時間」を提供する動きもある(詳細は、公立学校#公立学校を巡る議論を参照)。ただし、「塾へ行っても学力低下は防ぎきれない」[5]、「難問ばかりを教え、逆に基礎学力が伸び悩む生徒もいる」[6]といった指摘がある。小中高生の多数が学校と塾・予備校を掛け持ちしており、心身に悪影響を与えるのではないかという指摘もある[7]

海外でも海外在住日本人子女の間で学習塾に通う子供が増加している。現地での学習では、帰国後日本の学校への入学・編入に求められる学習内容やレベルに合わせられないことが問題として挙げられる。

1984年昭和59年)、香山健一は、中曽根康弘内閣の臨時教育審議会で、学習塾を学校として認知するよう主張した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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