学業不正(がくぎょうふせい、英: Academic dishonesty)とは、初等教育、中等教育、高等教育、街のカルチャースクールや自動車学校などを含め、生徒や学生が試験やレポート(調査や研究等の報告書や学校で課題として提出する小論文)などでする不正行為の総称である。具体的行為は、カンニング、賄賂、嘘、捏造、改竄、盗用、なりすまし、論文代行、破壊活動、教員側の不正などであるが、定義、規則、実態は、時代、国、教育の場(例:カルチャースクール - 大学)、教育の段階(例:幼稚園 - 大学院)でかなり異なる。 古代は、知的財産という概念がなく、知識やアイデアは知的エリートの共有資産だった。本は手書きで模写し出版した。引用の基準がなく、学者は、原著者が望まないほど多く、あるいは望まないほど少なく、原文を自由に要約したりコメントした。機械による印刷が普及し、文章が固定されたのはもっと後の時代である。学者はエリートで、学者集団は小さく、お互いに知っており、お互いに信頼していた。 このシステムはヨーロッパで、中世まで続いた。教育はラテン語、時々はギリシャ語で行なわれた。学者の一部は僧侶で、本の模写に多大な時間を割いた。他の学者は、ローマ・カトリック教会関係の大学に所属していた。ヨーロッパで活版印刷技術がヨハネス・グーテンベルクによって発明されたのは、1450年頃である。 そして、学業不正の1つであるカンニングは、古くから行なわれていた。 数千年前、中国は、公務員試験でカンニングすると受験者と試験官の両方を死罪にした記録がある[1]。 19世紀後半に、米国現代語学文学協会やアメリカ心理学会が設立され引用の標準的方法が確立・普及していったが、それ以前は、盗用は普通に行なわれていた[2]。読売新聞1905年(明治38年)のカンニングの記事 米国では、19世紀後半から20世紀初頭、大学は、カンニングを不正だとみなしていなかったので、学生は広範囲にカンニングしていた[2]。20世紀初頭、3分の2の学生がカンニングしていたと推測されている[3]。学生たちの一部は、学年を越えて、いわゆるエッセー・ミル(essay mills
歴史
日本でも、1905年(明治38年)3月14日の読売新聞に、「カニング」(「カンニング」のこと)は学業不正であると認識されているのに、学生の間で流行っている、という記事がある。 以下は断らない限り米国の事情である。 米国では、教育のすべての段階で学業不正がある[1]。小学校の1年生の20%、中学生の56%、高校生の70%がカンニングをしている[4]。ドイツでは、過去6か月以内に学業不正の少なくとも1つをしたと、大学生の75%が認めている[5]。 学生は単独でカンニングをするだけではない。ノースカロライナ州の教員の研究では、回答者の約35パーセントが、複数の学生が協力してカンニングしているのを目撃したと答えている。カンニングが多いのは、人生上重要な試験(high-stakes testing
現代
1960年代、高等教育での学業不正に関する全米調査が最初に行なわれた。少なくとも一回はカンニングをした経験があると答えた大学生は50%-70%もいた[7]。全米の学生のカンニング率は今日も同じ率で安定している。もちろん、大学の規模、レベル、カンニング禁止指導の強弱によって、大学間に大きな差がある。一般に、小規模エリート大学ほどカンニング率は低い。例えば、小規模エリート大学のリベラル・アーツ・カレッジは15%-20%なのに、大規模公立大学は75%である[8]。さらに、他の方法でカンニングを規制する大学の学生より、しっかりとした倫理規範(honor code)がある大学の学生の方がカンニング率は低い[9]。
大学院でのカンニング率もかなり高く、調査によると、カンニングをしたことがある大学院生は、経営学修士で56%、工学で54%、教育学で48%、法学で45%である[10]。