学校_(映画)
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『学校』(がっこう)は、山田洋次監督の映画シリーズ作品。1993年から2000年までに全4作が制作された。
学校

学校
監督
山田洋次
脚本山田洋次
朝間義隆
原案松本創
製作中川滋弘
深澤宏(プロデューサー)
出演者西田敏行
竹下景子
田中邦衛
裕木奈江
萩原聖人
中江有里
音楽冨田勲
撮影高羽哲夫
長沼六男
編集石井巌
製作会社松竹日本テレビ放送網住友商事
配給松竹
公開 1993年11月6日
上映時間128分
製作国 日本
言語日本語
配給収入7億円[1]
次作学校II
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1993年11月6日(土曜日)公開の日本映画。製作は松竹・日本テレビ放送網・住友商事。松竹創業百周年記念作品。日本テレビ放送網開局四十年記念作品。芸術文化振興基金助成作品。文部省特選。

幅広い年代の生徒が集まる夜間中学校を舞台に、挫折や苦境から立ちあがる人々を描いた。焼肉店を経営する在日朝鮮人のオモニ、中年になるまで文字が読めなかったイノさん(田中邦衛)などが登場する。

元々は『幸福の黄色いハンカチ』が制作された1976年以前から夜間中学をテーマにした作品の構想はあり、松竹の会長の城戸四郎は早く制作に踏み切るように山田洋次に話したものの、幸福の黄色いハンカチを先に撮らない限り制作に踏み切れないと山田が制作を見送り、構想から15年後に映画化に踏み切られた。

複数の人物の夜間中学のエピソードを織り交ぜ、その中でメインの人物であるイノさん(猪田)のモデルは井上という実在の生徒であり、下敷きになったのは、松崎運之助(みちのすけ)『青春 夜間中学界隈』(教育史料出版会1985年)を元にしており、映画の数々のエピソード(競馬の話、医学部生に夜間中学を紹介された話、急病で死去した話など)も実話である。

この映画によって、夜間中学校は一挙に知名度が高まった。
あらすじ(I)

夜間中学校に勤める黒井はある日校長に呼び出され「そろそろ異動を」と薦められていた。しかし黒井は「私は夜間に根を生やして『古狸』と呼ばれたいんです」とつっぱねる。黒井のクラスには働きながら夜間に通うカズ、中学1年生で不登校になったえり子、不良のみどり、日本の社会になかなか馴染めない中国人の張、焼肉屋を経営するオモニ、脳性麻痺で言葉の不自由な修、そして長年の肉体労働で身体を酷使した競馬好きのイノさんがいた。それぞれに違った環境でそれぞれの悩みを抱えつつ夜間に通う生徒たち。

そんな中、イノさんが体調不良で田舎に戻り、療養中となり教室には不在であるところから物語は始まる。
出演(I)
黒井先生
演 -
西田敏行作中のクラス担任で国語教員。夜間中学校に情熱を持ち、校長からの異動の話を拒否して自身の教育論を語った事もある。「自分は夜間中学に根を生やしたい」「古狸と呼ばれる存在になりたい」「夜間中学は例外として認められた学校なのだから、決まり通りの人事ならコンピューターに任せておけば良い」との持論を持つ。「黒ちゃん(黒さん)」の愛称で慕われ、多くの生徒達から厚い信頼を寄せられている。独身。大学は夜間部の為、大学生活の傍ら、日中は鉄工場や建築現場等の肉体労働の仕事を経験している。又、授業中に居眠りをしているカズを叱り付けてカズが反抗的な態度を取って口論になった事から、カズの清掃会社で一日だけの仕事をした事もある。性格は温厚ではあるが、カズの居眠りやイノさんの失恋での自暴自棄な態度に対しては厳しく叱り付けている。涙脆い性格でもあり、前年度の謝恩会の際、当時担当していた男子生徒と抱き合って号泣した事もある。行き付けは屋台のラーメン店。学校では茶色のスーツがトレードマークとなっている。
イノさん(猪田幸男)
演 - 田中邦衛黒井の生徒の一人。山形県出身。向学心が人一倍強い。50代になるまで、文字の読み書きが出来無かった為、「文字の読み書きを教えてくれる所に行きたい」と発言した事から夜間中学に入学した。文字の読み書きができるようになったら、仕事で使えるよう自動車運転免許を取ることが夢だった。田島に好意を寄せたが、田島には子供が居る事から、黒井に諦めるよう諭されてショックを受け、自暴自棄になり泥酔し暴れて黒井に厳しく叱られた事がある。趣味は競馬で、オグリキャップの事について、授業で熱弁した事がある。数十年以上にわたり肉体労働を中心に幾つかの職を転々とし、それが影響して体を壊して大病を患い、療養の為東京から地元の山形に帰省し、療養の末亡くなった。妹が1人居たが幼少期に死別しており、その事が自分の責任であると思い込み、10代の時に上京していた過去がある。黒井は、彼の大病に関して「働き詰めだった彼にとって、この療養生活は漸く得られた安らぎの時」と発言している。
カズ
演 - 萩原聖人清掃会社に勤務。少々不真面目だがクラスのムードメーカー的存在。クラスメイトの中では唯一、運転免許を所持している。えり子に恋愛感情を持ち、バイクでデートをするシーンがある。ファストフード店や立ち食い蕎麦等、手軽に食べられる食べ物が好物で、ハンバーガーの正しい食べ方をえり子にレクチャーしている。昼間の肉体労働でかなりの体力を消耗している為か、風船ガムをよく口にしており、居眠りする事もままある。
えり子
演 - 中江有里元登校拒否児。優等生タイプで朗らかで優しい人柄。以前は無口で暗い女の子だった。厳しい両親の影響からか、中学を不登校になり、偶然見たテレビCMから夜間中学を知り、自ら入学したいという意思を見せた。終盤で卒業後は高校、大学に進学し、教師になって母校に戻ると宣言した。学校見学で、体育の授業のバレーボールのサーブを決めた事もある。
オモニ
演 - 新屋英子56歳の時に入学。クラスではみんなの母親的存在で、時として黒井や、他の生徒らを叱ることもある。入学当初は、漢字の読み書きの練習で相当苦心していた。焼肉店を経営し、子供は3人おり、息子も一緒に焼肉店を切り盛りしている。黒井とイノさんが彼女の店舗で飲食していた際、イノさんが失恋での自暴自棄な態度に業を煮やして店から叩き出した事もある。
張(チャン)
演 - 翁華栄中国と日本のハーフ。母親が日本人。日本で差別的な扱いを受けながらも仕事を探す。傲慢で自己中心的な性格で、日本人の無理解な対応に業を煮やしている。クリーニング工場の仕事を不採用になった際、前述の日本人の無理解な対応に業を煮やした事から、「日本人嫌いだ」と大声で叫んだ事がある。
修(おさむ)
演 - 神戸浩脳性麻痺の障害を抱え言葉が不自由な生徒。ほんわかした雰囲気が特徴で年下のカズからは、いじられキャラとなっている。イノさんと仲がいい。当作で修を演じた神戸は、次回作でも重度障害を抱える養護学校の生徒役として出演している。
みどり
演 - 裕木奈江不良娘。やや短気だが根は仲間思い。根気よく親身に接してくれる黒井のことを信頼している。黒井の頭髪をとかしながら、卒業後は美容学校に進学し美容師になる志を語る。酒浸りの父親とは強い確執があり、帰宅拒否の傾向がある。
田島蛍子先生
演 - 竹下景子英語教師。教師として黒井に憧れる。離婚歴のある独身の子持ち。イノさんに好意を持たれた事があったが、「自分には子供も居て、そこまで好意を持つ様な年齢では無い」と断った。幼い息子が1人おり、田島曰く「言う事を全然聞かないバカ息子」と評しているが、休日にカズとえり子と出会ったことがある。
校長
演 - すまけい黒井に対し、心苦しくも別の中学校への異動の辞令を伝える。異動の話を拒否して自身の教育論を語り出す黒井に対し、校長の立場としては「あなたの教育論を述べて貰う為に呼び出した訳では無い」と切り捨てるほかなかった。
土屋
演 - 笹野高史学校の職員。イノさんの叔母さんからの電話を受けて、黒井につなぐ。
自動車解体工場の社長
演 - 小倉久寛チャンが以前働いていた工場の社長。チャンの勤務態度の悪さと待遇に対しての不平不満が多かった事から、チャンを解雇している。
リネン工場の社長
演 - 坂上二郎チャンが再就職を希望するクリーニング工場の社長。チャンが田島に付き添われて面接に訪れた際、チャンが「給料幾らですか」「給料の良い会社一杯ある。お宅、景気悪いか?」等と心無い質問をした為、チャンを不採用とした。
えり子の父
演 - 大和田伸也自身は寡黙な性格だが、ベラベラ余計なことまで話す妻の言動を内心嫌がっている。
えり子の母
演 - 浅利香津代えり子が中学校にまともに通えなくなったことを不憫に思っている。本人よりも自分で口を開く傾向があり、面談では家庭事情を語っていたが、夫から余計な事を話していると咎められた。
イノさんの叔母さん
演 - 園佳也子山形県在住。療養中のイノさんの状況を黒井に電話で伝える。
八百屋の親父
演 - 渥美清特別出演)黒井の家の大家で、近所で八百屋を営む。黒井の家に訪れた田島との様子を窺う。
河合茂
演 - 大江千里東京大学附属病院の若い医者。勉強を教わりたいと考えていたイノさんと出会い、夜間中学校に一緒に赴き黒井と出会う。面談の際、河合は「夜間中学に通う事がそんなに勇気の要る事なのか」と質問すると、黒井から「何らかの事情で義務教育を修了出来無かった人が学校に通う事は相当勇気の要る事だ」と言われていた。イノさんが夜間中学校に入校して以来、医師としての交流が更に深まり、検査時には相当の病の進行を黒井に伝えており、「イノさんは頑丈な様に見えていたが、大病に気付けなかった自分の責任だ」と述べている。
スタッフ(I)

監督:山田洋次

脚本:山田洋次・
朝間義隆

原案シナリオ:廣澤榮

撮影:高羽哲夫・長沼六男

音楽:冨田勲

美術:出川三男・横山豊

照明:熊谷秀夫

編集:石井巌

録音:鈴木功


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