季節性情動障害
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季節性情動障害
seasonal affective disorder
概要
診療科精神医学, 臨床心理学
分類および外部参照情報
ICD-10F33
MedlinePlus001532
Patient UK季節性情動障害
seasonal affective disorder
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季節性情動障害(きせつせいじょうどうしょうがい、: seasonal affective disorder; SAD)、季節性感情障害とは、うつ病のサブタイプの一つで、ある季節にのみ、体のだるさや疲れやすさ、気分の落ち込みなどの症状が出る気分障害。冬季うつ病 (winter depression)[1]、季節性うつ病(seasonal depression)ともいう。

最新の『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版(DSM-5)では、独立した気分障害ではなくなり、季節型(with seasonal pattern)だと特定された反復性のうつ病となる[2]。『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』(ICD-10)では同様に「F33 反復性うつ病性障害」に含まれる。

一般的に冬の日照時間の減少に関係しているのではとされており、治療には光療法や抗うつ薬が使われる。具体的な治療法については、「季節性情動障害#治療」を参照。
症状

西洋圏や日本では一般に、秋か冬に発症し春になると治る[3]。DSM-5の診断基準では、季節型のうつ病エピソードが違う年に継続している必要がある[3]抑うつ、倦怠感、気力の低下、過眠、過食[4]、体重増加、炭水化物への渇望がみられる[3]

夏型では秋には治るが、こちらはタイやインドで一般的である[3]。症状は興奮、過敏、食欲低下、不眠の症状が出ることが多い[3]
原因

発症率が高いのは、高緯度地域、女性、若年者となる[3]。高緯度地域については関係を否定する研究もある[3]。またうつ病の人の10-20%がSADを経験する[3]

SADは、冬季を中心に発症し、日照時間が短くなることと関係しているようである[3]。メカニズムはまだ良く分かっていないところもあるが、次のような説がある。

睡眠相の後退[3]

日照時間が短くなることで体内時計をつかさどるメラトニン分泌のタイミングが遅れる[3]。SADではない健康な人では起こらない[3]


モノアミンの枯渇[3]

光の刺激が減ることで神経伝達物質のセロトニンやドーパミンなどモノアミンが減少し、抑うつ状態となるという仮説である[3]

このため、セロトニン再取り込み阻害剤である抗うつ薬セロトニンの前駆体であるトリプトファンや、メラトニンの摂取、光療法が行われている[3]


疫学

SADの有病率は、米国ではフロリダ州で1.4%、アラスカ州で9.9%[5]イギリスでは単独統計ではないが有病率は高いとされている[6]
治療

英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、うつ病性障害のサブタイプや患者の個性に基づいて治療を変えることへの根拠は乏しい(little evidence)ため、様々な治療戦略を取っ換え引っ換えし続けることのないよう述べている[1]
光療法
高照度光療法日光浴がもっとも有効とされる。午前中?昼間に行うのが効果的だが、夜間に強い光を浴びるのも有効である[4]
薬物療法
薬による治療も存在する[1][4]ブプロピオンの徐放剤(日本未認可)は2006年より欧米で季節性情動障害の治療薬として承認されている[3]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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