孔子学院
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孔子学院
各種表記
繁体字:孔子學院
簡体字:孔子学院
?音:K?ngz? Xueyuan
発音:コンズ シュエユエン
英文:Confucius Institute
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フランス西部レンヌにある孔子学院カナダにある孔子学院

孔子学院(こうしがくいん)とは、中華人民共和国政府が世界各国の大学等と提携してその地に設立する中国語および中国文化に関する教育機関である。一方、中華人民共和国が諸外国の大学などで「外交関係」を名目にした「統一戦線工作」によって、教育の名を借りて中国共産党の主張を基づいた宣伝活動(プロパガンダ)を行う機関だという主張も存在している[1]。孔子学院は、中華人民共和国教育部の傘下にある中国語協議会国際事務局(漢語事務局)の支援を受けて中国語教室を開いている。漢語事務局は、中国の大学で中国語や中国文化を学ぶ外国人に教科書の提供や教師の派遣、奨学金などの経済的支援も行っており、2009年に奨学金制度が作られて以降、166か国の国々からやってきた約5万人の学生が奨学金を受け取っている。また、孔子学院は料理、太極拳、鍼灸、書道などの文化教室も提供している[2]

2019年末時点で162カ国・地域に550カ所が置かれ、日本にも14カ所(2021年7月時点)ある[3]。2020年7月からは中国国際中文教育基金会が運営している[3]

中国への理解や友好関係の醸成を目的として掲げているが、欧米では中国のプロパガンダ機関であるとの警戒・批判も強く、閉鎖する政府・大学も多い[3]後述)。
概要

儒学の始祖孔子の名を冠しているが、儒学に関する教育機関ではない。教育部の管轄する国家漢語国際推広領導小組弁公室(「漢弁」)が管轄し、本部は北京市にあり、国外の学院はその下部機構となる。

中国共産党は、孔子学院が宣伝機関であることを公式に認めており、李長春中国共産党中央政治局常務委員は、「(孔子学院は)中国の外国におけるプロパガンダ組織の重要な一部」と述べている[4]

なお、孔子77代目の嫡孫孔徳成1949年台湾移住した後、孔子の嫡流は代々中華民国に居住しており(2009年9月以降は孔子79代目の嫡孫、孔垂長が世襲職大成至聖先師奉祀官となっている)、孔徳成と孔垂長は中国大陸では国務院の管轄する曲阜市の中国孔子研究院の永久名誉院長になっているが[5][6][7][8]、孔子研究院は儒学研究機関であって孔子学院とは直接の関係はない。中央統戦部の指導下であり、6000万人いるとされる海外に渡った中国人の「思想指導役」を担っていて、マスコミ、学生、学校教員、企業家、政治家など、様々な分野に散らばる在外中国人たちが、中央統戦部の「指導」に基づいて、共産党体制のコントロール外とみなされた思想組織を攻撃し、組織を弱体化・解体させてきた。その手段は、不和を起こして内部分裂させたり、悪質なレッテル貼りなどで社会から疎外させたりしている。攻撃対象例は人権弁護士、民主活動家、チベットやウイグル、台湾などの独立支持派、法輪功など、自由主義や民主主義、政治的右派的な思想、仏道儒の三教に基づく伝統的価値など、共産党イデオロギーの異見となる主張も含まれる。中国国務院によると、すでに1500以上の関連組織を世界中に設ける孔子学院の目的は「核心価値である社会主義を基礎とした教育を広める」「中国の夢を宣伝する」としている。日本には、早稲田大学、立命館大学、桜美林大学、工学院大学、武蔵野大学など20以上の教育機関に設置されている。ロイター通信によるとアメリカ合衆国では、日本で散見される中国共産党の浸透工作の一環を担い、民主主義の国の基本的価値観や国益を脅かしている中国政府機関である[9]
学生・受講生

大学レベルの「孔子学院」と、中学・高校レベルの「孔子学級」がそれぞれ設置されている[10]。「孔子学院」のほうは、ドイツゲーテ・インスティテュートフランスアリアンス・フランセーズスペインセルバンテス文化センター、そして部分的にイギリスブリティッシュ・カウンシルを模して作られている[10]。2009年時点、世界で推定4000万人が中国語を学んでおり、需要は高い[10]。2019年末までに162の国と地域に550校が設置され、分校に相当する「孔子課堂」が1,172校設置されている[11]

孔子学院プロジェクトは2004年に開始され、同年11月大韓民国ソウル市に初めての海外学院が設置された[12]

孔子学院・孔子学級の目的は主に、海外で中国語と中国文化を教えることである[13]。中国語を教えるほかに、漢方医学や中国史、文化、社会、武道、演劇、生け花、剪紙などをも教える[13]。現代の話題を取り上げることもある[13]

孔子学院プロジェクトは、2004年度から「中国国家対外漢語教学領導小組弁公室」が推進してきたが、2020年6月より中国の大学および企業・団体等による「中国国際中文教育基金会(中国語版)」が担うことになった[14]。中国政府が新たに設置した「中国教育部中外語言交流合作中心(中国語版)」が、国際的な中国語の教育基準の策定・実施、国際的な中国語の教師、教科書、科目などの構築と学術研究支援、国際的な中国語の教師試験と中国語研修等を担当している[15]

中国共産党政府は、2020年までに世界1000カ所に孔子学院と孔子学級を設置しようとしており、そのために3000人分の奨学金を提供する方針である[10]

2019年令和元年)12月、中国湖南省長沙市で開催の国際中国語教育大会(旧名称「孔子学院世界大会」)で明らかにされた情報では、中国共産党政府は世界162カ国・地域に孔子学院550カ所と孔子課室1,172カ所を開設。専任・非常勤講師の総数は約5万人、学生・受講生の総数は2,500万人に達している[16]

孔子学院・孔子学級には主に5つの形がある[13]
中華人民共和国の大学と外国の大学が提携したもの

中華人民共和国の中学校と外国の中学校が提携したもの

中華人民共和国の大学と海外の地域機関が提携したもの

中華人民共和国の大学と海外の地域機関が提携したもの

中華人民共和国の大学と外国企業が提携したもの

である[13]。孔子学院・孔子学級の目的は主に、海外で中国語と中国文化を教えることである[13]。中国語を教えるほかに、漢方医学や中国史、文化、社会、武道、演劇、生け花、剪紙などをも教える[13]。現代の話題を取り上げることもある[13]

資金面では、漢弁が開設資金として10万ドル(約1,066万円[17])を提供して、さらに海外の提携相手に年間の助成金を払う[13]。同額の運営費を提携相手も払う[13]。年間10万ドルから25万ドル以上の助成を受けているところもある[13]。原則的には漢弁は、最初の3年間だけ初期費用を払い、それ以降は外国の提携先が運営費を払うというのが本来の形である[18]。しかし、後掲書によれば、同書著者の取材に対して北京の漢弁本部の許琳主任は、「運営費の全額負担ができない孔子学院もあるので、開校3年以降でも資金援助を続けることがある」と認めている[18]。漢弁は、助成金を払うほか、海外の孔子学院・孔子学級で教える中国人教師の給与および海外生活手当の全額または相当額を支払うのが通常である[18]
孔子学院の一覧


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