子宮体癌(しきゅうたいがん)は、子宮癌のうち子宮体部に発生する癌。
子宮腔側の上皮組織である子宮内膜に発生し、子宮内膜癌(しきゅうないまくがん、英: Endometrial cancer))と同義。なお、子宮体部の筋層に発生する悪性腫瘍は、子宮肉腫と呼ばれる。
組織学的には腺癌である。 子宮頸癌の主因がヒトパピローマウイルス(HPV)への感染であるのとは異なり、子宮体癌の発生は女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)による影響の蓄積が大きい。そのため、中高年(50?60代で好発)・初経が早い・閉経が遅い・出産歴がない・肥満・糖尿病・高血圧・ゲスターゲン製剤を併用しないエストロゲン製剤の単独使用など、エストロゲンの影響が強い人はよりリスクが高くなる。子宮癌のうち子宮頸癌の比率が発展途上国で高いのに対し、欧米先進国では子宮体癌の比率が高まる傾向にある。日本でも、従来は子宮癌といえば子宮頸癌が大多数を占めていたが、食生活の高脂質・高蛋白化や少子化・初産年齢の上昇といった要因から、子宮体癌の発生率が増加し、また若年での発症も増えてきている。 一般に以下の二つがある。 主に閉経後の不正出血であることが多い。 現在、一般に「子宮がん検診」と称して、各種検診等で行われている検査は「子宮頸癌」の検査で、子宮体癌の検査ではなく、子宮体癌の検査は、産婦人科受診での診察等を受けてから行われている。 病期や出産希望の有無により異なるが、子宮摘出が基本となる。
目次
1 疫学
2 病因
3 症状
4 検査
5 肉眼分類
6 病期分類
7 治療
8 脚注
9 参考文献
10 関連項目
疫学
閉経後女性では、乳製品を多量に摂取する群は、ほとんど摂取しない群に比べて約1.4倍子宮体癌罹患率が高かった[1]。
病因
エストロゲン依存性
多くは子宮内膜増殖症より発生する。
エストロゲン非依存性
子宮内膜増殖症を経ないで発生する。
症状
検査
細胞診:子宮内膜の組織を吸引し細胞診で評価する。
組織診:子宮内膜の組織を掻爬して病理組織評価する。
肉眼分類が望まれています。
病期分類
0期
子宮内膜の異型増殖を認めるもので、前癌状態(子宮内膜異型増殖症)。
I期
がんが子宮体部にのみ認められるもの。
Ia期
子宮内膜にのみ認められるもの。
Ib期
子宮筋層への浸潤が筋層の1/2以内のもの。
Ic期
子宮筋層への浸潤が筋層の1/2を超えるもの。
II期
がんが子宮体部を越えて子宮頸部に拡がったもの。
IIa期
頸管内の浸潤が粘膜内にあるもの。
IIb期
頸管内の浸潤が粘膜を越えて深く浸潤しているもの。
III期
がんが子宮外に拡がっているが、骨盤を越えて外には拡がっていないもの。または骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの。
IIIa期
子宮の外の膜や骨盤の腹膜あるいは卵巣卵管に転移しているもの、あるいは腹水の中にがん細胞の認められるもの。
IIIb期
腟壁に転移を認めるもの。
IIIc期
骨盤内、あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの。もしくは、基靭帯(きじんたい)に浸潤を認めるもの。
IV期
がんが骨盤を越えて身体の他の部位へ拡がるか、または膀胱、あるいは腸の内腔を侵すもの。
IVa期
膀胱あるいは腸の粘膜までがんの浸潤を認めるもの。
IVb期
骨盤を越えた遠隔臓器転移を認めるもの。あるいは腹腔内や鼠径部のリンパ節に転移を認めるもの。
治療
ホルモン療法
0期?Ia期のごく早期で、挙児希望がある若年女性の場合。エストロゲンによる症状の進行作用に対して、がん細胞の増殖や転移を抑える作用のあるゲスターゲン(黄体ホルモン)製剤を高用量で使用する。子宮を温存してのホルモン療法を行う際は、異型の病巣を含む子宮内膜の全面掻爬が必要となる。
外科手術療法
単純子宮全摘出術
0期?Ia期のごく早期で、挙児希望がない場合。子宮を体部・頸部とも含めて全体を摘出する。通常、卵管・卵巣も併せて摘出する(両側付属器切除術)。開腹による「腹式」と、膣側から摘出を行う「膣式」とがあり、確実性の高い腹式が標準となるが、0期には傷跡が小さく術後の回復が早い膣式が選択されることもある。
準広汎子宮全摘術(拡大子宮全摘出術)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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