嫌悪施設
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原子力発電所。NIMBYの典型とされる

NIMBY([?n?mbi]、またはnimby)[1]は、「not in my back yard(私の家の裏には御免)」という語句の頭字語である[2][3]。「施設の必要性は容認するが、自らの居住地域には建てないでくれ」と主張する住民たちや、その態度を揶揄する侮蔑語(総論賛成・各論反対)も意味する。日本語では、これらの施設について「忌避施設」「迷惑施設」[4]「嫌悪施設」[5]などと呼称されることもある。これは、地元住民が自分たちの地域に提案されたインフラ開発に反対し、厳格な土地利用規制を支持する姿勢を表している。そのような住民は、開発が自分たちの近くにあるからこそ反対しているのであり、もしそれがもっと遠くに建設されるのであれば容認したり支持したりするだろう、という含意がある。住民はニンビーズ(nimbys)と呼ばれ、その観点はニンビズム(nimbyism)と呼ばれる。反対の運動は、「yes in my back yard(私の裏庭ではいいよ)」の略であるYIMBYとして知られている[6]

ニンビーズによって反対された事業の例には、住宅開発[7](特に手頃な価格の住宅[8]トレーラーパーク[9])、高速鉄道路線[10]ホームレス緊急一時宿泊施設[11]保育園[12]学校大学カレッジ[13][14]自転車専用レーン交通安全のためのインフラ整備を促進する交通計画[15]ソーラーファーム[16]ウィンドファーム[17]焼却炉下水処理システム[18]水圧破砕法[19]地層処分場[20]などがある。

本来は施設に対して用いられる言葉であるが、その施設で勤務をするもしくは利用する人々が一般的に社会的弱者(性風俗店の娼婦や従業員、刑務所で服役する受刑者、収容施設の不法移民)であるためにスティグマ論とも関連し[21][22][23][24]、例えば施設ではない難民という人々に対する態度においても「NIMBY」という言葉が使用されることがある[25]
対象となる施設ラスベガスの北西80マイルにある提案されたユッカマウンテン放射性廃棄物処分場[26]は、政府によって承認されたが、その後ネバダ州の市民によって反対された。連邦政府の資金は2011年に打ち切られた

地元の反対を引き起こしやすい開発には以下のようなものがある。

インフラ開発:新しい道路や高速道路サービスエリアライトレール地下鉄路線、自転車歩行者インフラ、空港、発電所、小売店舗、公共資産の売却、送電線下水処理場最終処分場刑務所など。

廃棄物処理施設の開発:原子力・放射性廃棄物の処分場の探査など。

鉱山採石場油井、ガス井からの鉱石、骨材、炭化水素などの鉱物資源の採取。

風力発電所ソーラーパネルなどの再生可能エネルギー発電施設。

アダルトビデオ酒屋医療大麻ディスペンサリー(英語版)パチンコ・パチスロ店ゲームセンターカラオケボックスソープランドファッションヘルスラブホテルなど、不道徳(英語版)とみなされる商品を扱う企業。

競馬場競艇場競輪場オートレース場場外勝馬投票券発売所競艇場外発売場競輪場外車券売場など公営競技(ギャンブル)に関わる施設

主に恵まれない人々の利益となると思われる宿泊施設:低所得者層向けの補助金付き住宅(英語版)、精神障害者向けの支援付き住宅(英語版)、知的障碍者精神障碍者グループホーム福祉施設児童相談所、依存症患者の回復施設、共同生活介護施設(発達障害者向けなど)、刑務所矯正施設少年院鑑別所など)、薬物依存症者や犯罪者向けのハーフウェイハウスホームレス向けのホームレス緊急一時宿泊施設など。

特定のスティグマを持つグループ(例えば注射器吸引薬物使用者)にサービスを提供する施設:メタドンクリニック(英語版)、注射器交換プログラム(英語版)、薬物依存症治療(英語版)施設、薬物注射スーパーバイズド施設(英語版)など。

大型店住宅分譲など、あらゆる種類の大規模開発。

埋火葬・葬送施設(火葬場墓地霊園ペット霊園納骨堂斎場遺体安置所など)

自衛隊、在日米軍、その他軍事施設(軍事基地、砲兵工廠、その他)全般

道路交通機関車輌基地、機関庫、貨物駅新幹線などの鉄道施設バス停留場など)

これらの開発に反対する理由は様々で、以下にいくつか挙げる。

交通量の増加:雇用、住宅、店舗が増えると、地元の道路の交通量や駐車場の需要が増える。倉庫、工場、埋立地などの産業施設は、トラック交通量を増加させることが多い。

地元の小規模企業への悪影響:大型店の開発は、地元の店に過度の競争をもたらす可能性がある。同様に、新しい道路の建設は、古い道路の通行量を減らし、土地所有者の事業損失につながる可能性がある。これにより、過度の移転コストや、地元の尊重される企業の損失につながる可能性がある。

住宅資産価値の下落:望ましくない開発の近くの住宅は、購入検討者にとって魅力が低くなる可能性がある。固定資産税の収入減は、プロジェクトによる収入増で相殺されるかもしれないし、されないかもしれない。

土地、大気、水の汚染:発電所、工場、化学施設、火葬場下水処理施設、空港、その他同様のプロジェクトは、周辺の土地、大気、水を汚染する可能性がある、または汚染すると主張される可能性がある。特に悪臭を放つと想定される施設には反対が起こりやすい。

光害:夜間に稼働するプロジェクトや、駐車場の街灯などのセキュリティ照明を含むプロジェクトは、光害を引き起こすと非難される可能性がある。


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