婚配機密
[Wikipedia|▼Menu]
婚配機密が執行されている戴冠礼儀中に撮影された写真。新郎新婦は冠を頭上に掲げられ、ミトラをかぶりフェロンを着用した司祭が、新郎新婦のつながれた手にエピタラヒリを乗せようとしている場面。(プラハチェコ共和国アレクサンドル3世(当時ロシア皇太子)とマリア・フョードロヴナの婚配機密中、戴冠礼儀の中でアナロイの周りを回る皇太子・皇太子妃と司祭を描いた絵画。かつての皇族のみならず、現代の一般の新郎新婦も同様に行う。

婚配機密(こんぱいきみつ、ギリシア語: Γ?μο?[1], ロシア語: Брак (венчание), ルーマニア語: Cununie, 英語: Marriage)とは、婚姻結婚)、および子を生み養育する事を成聖する恩寵が与えられるように祈願する、正教会における機密の一つ[2]

儀礼・結婚式としては、聘定式(へいていしき)と呼ばれる結婚指輪の交換を中心とする奉神礼と、新郎新婦が戴冠を行う戴冠礼儀(たいかんれいぎ)と呼ばれる奉神礼で構成される[3]結婚式としての式典については婚配式(こんぱいしき)とも呼ばれる。

正教徒のみが与ることが出来るため、結婚を機会に洗礼もしくは帰正を経て正教徒になる者もいる[4]。婚配機密に正教徒のみが与るのは、正教において結婚と夫婦は、福音によって一体となって生き、ハリストス(キリスト)における永遠の結合となるものとして理解されること[5]、婚配において新しい家庭が正教会という共同体に迎え入れられる意義があることなどが理由として挙げられる[6]
意義グルジア正教会での婚配機密(ムツヘタグルジア

婚配機密は、婚姻、および子を生み養育する事を成聖する恩寵が与えられるように祈願する正教会機密である[2]

洗礼機密傅膏機密聖体機密は全ての人々のために設けられたものであり、痛悔機密聖傅機密は霊・体の病の癒しのために全ての正教徒のために設けられたものである。しかしながらこれらとは異なり、婚配機密・神品機密は、全ての人にとって必要なものでもなければ、遵守すべきものでもない(修道士は結婚しないし、神品とならない男性一般信徒と女性信徒は、神品機密には与らない)。しかし全教会の存続と繁栄に欠かせないものである[7]

正教において、「キリスト教では婚姻は忌避されるが、『肉欲と言う病への寛大さ』によってのみ『許される』」といった通俗的誤解は否定される。4世紀パタラの聖メトディオスは、創世記1章28節に「生めよ、増えよ」とあることを引いて、造物主の指示に背いてはならないとし、さらに婚姻および男女の性関係の結果としての出産に神学的根拠を与え、「人が父母を離れ、同時に突然すべてを忘れて愛の抱擁により妻と結ばれ、自ら子の父となるべく、造物主に自らの肋骨を預けて造物の一翼を担うという行為はまったく正しいのである。」「男性が女性の器官に種を植えると、その種が神の創造力の働きを受ける。」と述べた。19世紀ロシア正教会の妻帯司祭、アレクサンドル・イェリチャニノフは、「婚姻とは、完全な人の変容、人格の広がり、新たな視点、新たな人生観、新たな世界への生まれ変わりをもたらすある種の『機密』」だと述べている[8]
神立の所以

婚配機密は正教会における他の機密と同様、神が立てたものとされる[7]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:42 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef