女神の鬼
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女神の鬼
ジャンル
暴走族漫画ヤンキー漫画
漫画
作者田中宏
出版社講談社
掲載誌週刊ヤングマガジン
レーベルヤンマガKC
発表号2005年21・22合併号[1] - 2014年34号[2]
発表期間2005年 - 2014年7月19日[3]
巻数全29巻
話数全256話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『女神の鬼』(メガミノオニ)は、田中宏による日本漫画作品。『週刊ヤングマガジン』(講談社)2004年52号に第0話を掲載後、2005年21・22合併号から2014年34号まで連載された[3]

BADBOYS』と続編『BADBOYS グレアー』のスピンオフ作品で、両作より以前の時代となる昭和50年代の広島市を舞台に、「王様」になることを夢見る少年ギッチョと「鬼」と呼ばれる更生不能の不良少年たちの姿を描いている[3]。シリーズ本編のストーリーと直接関わりはないが舞台設定は受け継いでおり、本編に登場したキャラクターも度々現れる。また『莫逆家族』ともわずかながらリンクしている。

本作の連載中、旧広島市民球場が現役で稼働していた時期には、球場のライトスタンドに本作の看板が掲げられていた。
物語
1979年

一男三女の母子家庭・佐川家の末弟である義(ギッチョ)は、「王様を目指せ」という祖父の教えを守り、小学校の同級生と共に毎日喧嘩に明け暮れていた。10月、ギッチョ達は地元黒ヶ丘で開かれる「鬼祭り」にて、鬼に扮していた不良中学生、原真清と花山靖に出会う。自分よりも年上の暴走族数名を圧倒する二人の姿に憧れを抱いたギッチョはより激しく王様を志すようになり、家庭の事情で転校していった先でも仲間たちと喧嘩を繰り広げ、同じく「王様」を自称する白音小学校の金田勝一の存在を知る。

一方真清と花山は、その図抜けた強さと誰にも制御できない凶暴性から味方がほとんどなく、周囲のあらゆる不良少年の標的となっていた。11月3日夜、二人を制裁できないことに業を煮やした初代?威?斗のメンバー・雛石顕治は、同じく二人との因縁が深い北丸蛍の女の耳を切り落とし、その罪を真清と花山になすりつけた。それを知らない北丸は仲間を集めて二人の命を狙い、真清も花山も圧倒的な戦闘力でこれを撃退するが、騒動が深刻になりすぎたことから警察が介入。11月4日、広島中が広島東洋カープ初の日本一に沸き立つ中、抗争に関わっていた少年たちは全員検挙され広島から姿を消した。
1983年

ギッチョ達は中学2年生となり、?威?斗の一員になった金田を倒すべく、小学校以来の付き合いである朝子が止めるのも聞かず夜な夜な街へ繰り出し、喧嘩に身を投じていた。7月のある夜、極楽蝶四代目の三浦と中尾により強引にチームに引き込まれたギッチョは、自分が極楽蝶を乗っ取って五代目になると宣言し、三浦たちのコレクションにあった赤いCBXを強奪。そのCBXが?威?斗五代目・内海鄭司の愛車を盗難したものだったことから内海との縁が生まれ、廣島連合と?威?斗の衝突、その裏に渦巻く裏切りの抗争、「濁りの巣」での決戦へと踏み込んでゆく。

内海がこの世を去り五島が廣島連合を引退した後、広島の暴走族の勢力図は大きく変化した。極楽蝶五代目総長、「濁りの巣」の中心人物、内海の後継者として一目置かれる存在となったギッチョだったが、大物が揃って姿を消したためまともに戦う相手がなく、悶々とした日々を過ごしていた。そんな中、不良少年ばかりが集まり「王様」を目指す「鎖国島」の噂を聞きつけ、ギッチョ達は朝子の制止を振り切り島入りを熱望。10月、黒ヶ丘の鬼祭りの日、松尾老人の審査の末にギッチョとアキラの2人が「鬼」と見なされ島入りを許可され、その夜のうちに家族や仲間と別れ共に広島本土を後にした。
鎖国島

一般社会に生きる場所がない更生不能な不良少年を集めた安芸灘の孤島「鎖国島」。1983年の鎖国島は、原真清率いる「東側」、雛石顕治率いる「西側」、前年の「鬼祭り」の覇者である「王様」花山靖の3つの勢力がそれぞれ国を形成し血みどろの抗争を繰り広げていた。ギッチョは「王様」を目指し誰の下にもつかずアキラと共に鬼祭りに参加。おびただしい重傷者と犠牲者を出し、本土からギッチョ達を応援にきた仲間達も入り混じった死闘の結果、向こう1年間の「王様」は雛石兄弟に決定した。

鬼祭り後、減りすぎた人員を補充するため松尾老人は広島のみならず県外からも「鬼」を募集。新人たちは少なからぬ混乱をもたらしたが、内海を殺した自責の念から平和な社会を目指すケンエーの尽力などもあり、結果として深刻な抗争は起こらず混乱は終息した。しかし1984年正月、真清や雛石兄弟ら島の有力者が保護者との面会で島を留守にしている間に、新人として入国した内田光と榊原忠が圧倒的な強さで島を制圧、帰ってきた真清らも配下に置かれてしまう。やがて内田と榊原の兄貴分で、松尾老人の孫、廣島連合二代目総長の松尾安三が鎖国島へと入り、内田・榊原に代わって頂点に君臨。これを受けて東側と西側は一致団結、1984年の鬼祭りに乗じて鎖国島からの脱出を計画する。

監督のヤクザや寄生族も入り混じる凄惨な殺し合いと、仲間を失い銃を取った暴走と殺戮の果てに、ギッチョらは自分達が鎖国島に閉じこもっているべき「鬼」であることを悟る。最終的に本土に思い残したことがある13人だけが島を脱出して広島へ渡り、約束の翌日朝、それぞれがそれぞれのケジメをつけて、誰ひとり欠けることなく本土の港へと帰ってきた。ヤクザは後顧の憂いを断つため脱出者全員の殺害を目論んだが、安三が鎖国島の殺し合いに怖じ気づき本土へ戻りたがるようになったこと、帰ってきたギッチョらが未練を全て断ち切った顔をしていたことから、松尾老人は自分の責任で脱出者を庇い、制裁を加えることなく鎖国島へと帰していった。
1990年

脱出騒動から月日は流れ、本土では八代目極楽蝶・八代目?威?斗・四代目廣島Night'sがTOP3と呼ばれるようになった1990年。21歳になったギッチョ軍団はみな更生しそれぞれの人生を歩んでいたが、6年前に別れたきりのギッチョのことが忘れられない朝子は、結婚せず恋人も作らずに過ごしていた。

松尾老人の船に揺られて来た新人が目の当たりにした鎖国島は、命懸けの抗争が繰り返される戦場から、生前ケンエーが作りたいと望んだ平和な国に生まれ変わっていた。成長した鬼たちは時々喧嘩をしながらも手を取り合って自給自足の生活を送り、「王様」を決める方法も闘技場での一対一の殴り合いに変わり、決闘の様子は島民に娯楽として提供されていた。皆と同じく島の平和に馴染んだギッチョは、不倶戴天の敵だった金田らと仲間同士になり平穏な日々を過ごしていたが、不意に、今際の際の祖父の後悔の言葉が蘇る。「年老いるまでさんざん暴れ回り、やがて妻が亡くなった時その笑顔を全く思い出せなかった。自分がするべきは戦うことじゃなく愛する女を笑顔にすることだった」。ギッチョの記憶の中の朝子に笑顔はなく一様に悲しみをたたえた表情で、ギッチョの胸中にも深い後悔が渦を巻いていた。
2014年

更に長い時が経ち、広島の人も街も大きく変わった2014年。往時より更に年老いて体力が限界を迎えた松尾老人は、不良少年の更生事業の引き継ぎを済ませ引退を決意。本土でギッチョの姉たちが経営する雑貨店「女神堂」では、鎖国島産の農作物やマスコットが販売され人気を博していた。45歳の朝子はかつてのギッチョ軍団らと共に港に集まり、船で荷物を運んでくるギッチョと再会。その顔にかつてのような悲しみの色はなく、ギッチョに会えることを喜ぶ満面の笑みが浮かんでいた。
登場人物
ギッチョ軍団

全員1969年生まれで、1979年に小学4年生、1983年に中学2年生。
ギッチョ / 佐川 義(さがわ よし)
本作の主人公。3人の姉と母の5人で暮らしている。吊り目で足が速く、誰に対しても対等な口を利く。母や姉に暴力を振るい続ける父親に反抗し、尊敬する祖父から「強くなって王様になれ」と言われたことから王様を目指すようになり、ギッチョ軍団を率いて上級生らと喧嘩を繰り広げている。小学4年生の10月まで黒ヶ丘に住んでおり、コージ、ドッチ、コン、タニケンと5人で丸っぺらと頻繁に喧嘩していた。1979年の黒ヶ丘鬼祭りでハヤブサに扮していた原真清、サクラに扮していた花山靖らと出会い、二人が次姉・舞と長姉・愛にそれぞれ想いを寄せていたことから、二人を「子分」として親密な関係になった。その後父親から逃げるために黒ヶ丘町から鉄幹町へと移り、鉄幹小学校の同級生ショーチャンと、ショーチャンを介して白音小学校のアキラと知り合い、自分と同じく「王様」を自称する金田勝一と出会う。1983年には黒ヶ丘に戻って朝子と交際を始め、軍団のリーダーとして、金田と金田の相棒になったコンとの諍いを繰り広げていた。7月、単車を1台貰うかわりに極楽蝶に入るという約束を極楽蝶四代目の三浦・中尾と交わし、三浦の単車置き場にあった赤いCBXを受け取り、その場で極楽蝶五代目となって自分がチームを乗っ取ると宣言、初代総長の岩さんから三浦と中尾を止めるという条件で五代目襲名を許された。そのCBXが?威?斗五代目総長・内海鄭司の愛車を盗難したものだったため、それを知った内海に翌日ショーチャン宅で襲撃されたが、ショーチャン・アキラと三人で一丸となって内海に立ち向かったこと、内海のCBXに本気で惚れ込んだことが気に入られ、それがきっかけで「濁りの巣」に参戦、内海やガネと協力してケンエー一派を制圧した。「濁りの巣」の後、極楽蝶五代目総長の座と内海の形見となったCBXを継ぎ、広島中の不良少年から一目置かれる存在となったが、戦う相手がいなくなり悶々とした日々を過ごしていた。そんな折に朝子から鎖国島の噂を聞きつけて島行きを熱望、ハヤブサを演じた1983年の黒ヶ丘鬼祭りの当日、松尾永一からアキラと共に島入りを許され、その夜のうちにCBXをタニケンに託し広島を後にした。鎖国島では真清がリーダーを務める東側に一旦身を寄せた後、アキラと共に独立。二人で王様を目指して1983年の鬼祭りに挑み、王様になることはできなかったが、島の外から助けに来たコージらの手助けを得て金田を倒した。その後は再び東側で真清と行動を共にするようになり、また鬼が幸せに暮らせる国を作ろうとするケンエーに共鳴し協力するようになる。1984年の鬼祭りに乗じた脱出計画では、花山・ンアと3人で牛山の指揮を受けながら脱出希望者を率いていたが、ケンエーとコンが殺されたことで金田と共に暴走、運営のヤクザからアサルトライフルを奪って多くのヤクザをその手にかけ、自分が一般社会にいてはならない「鬼」であることを深く悟る。そして朝子たちと最後の別れを済ませるために改めて脱出を決意、船に乗り込んで真清や花山らと本土を渡った。本土では真清らと一緒に黒ヶ丘へ戻り、ギッチョ軍団と再会した後佐川家で荒木と共に朝子と再会。嫌がる朝子へ一方的に別れを告げて佐川家から姿を消し、他の脱出者と共に三浦と中尾の確保に協力、朝子や姉たちと再び言葉を交わすことなく鎖国島へと戻っていった。1990年には朝子を悲しませ続けてきたことを後悔しながらも、平和な国になった鎖国島で充実した日々を過ごしている。45歳になった2014年も健在。
アキラ / 藤永 晃(ふじなが あきら)
ギッチョ軍団の一員。メンバーの中では最も背が高く、ソリをいれた坊主頭をしている。白音最強を自称し、白音小学校時代から金田と衝突し激しい憎悪を向けていた。ショーチャンの幼馴染で、金田の噂を聞きつけて白音小学校に訪れたギッチョと知り合って以来、軍団と行動を共にしている。1983年の黒ヶ丘鬼祭りではマンバに扮した。「濁りの巣」まではギッチョやコージの陰に隠れて目立たない存在だったが、松尾永一の審査に合格してギッチョと二人で鎖国島へ入り、ギッチョの相棒となった。島に入って以来中尾を倒すなど西側と抗争を繰り広げ、1983年の鬼祭りでは誰の下にもつかず王様を目指すギッチョの唯一の味方としてサポートに回った。その後は東側の一員に戻り、1990年には荒木・犬飼・魚住と4人で王様を目指す新人を腕試しで叩きのめし、その後島内を案内していた。
コージ / 山本 浩司(やまもと こうじ)
ギッチョ軍団のまとめ役。地元の道場で空手道を学んでいる。普段は眼鏡をかけており、子供のころは弱視でアイパッチをしていたため丸っぺ達にいじめられていた。自分と同じく弱視でいじめられていた道場の先輩・真清に可愛がられ、自身もまた真清に強い憧れを抱いている。1983年にギッチョらが極楽蝶に入る中ひとりだけフレイヤの一員になったが、その後も軍団と一緒に行動している。黒ヶ丘の鬼祭りではサクラを演じ、真清が扮していたハヤブサになれなかったことに不満を漏らしていた。松尾永一の鎖国島入りの審査には「危ない男ではあるがキレた時にも理性を保っている」として不合格となり、同年の鎖国島鬼祭りには漁船を持つ親戚に頼み込み、軍団とウッチーと共に鎖国島へ乗りこみギッチョとアキラに加勢して金田を倒した。


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