この項目では、真保裕一の小説について記述しています。「奪取」の語義については、ウィクショナリーの「奪取
」の項目をご覧ください。吉田美和の同名の曲については「beauty and harmony」をご覧ください。
『奪取』(だっしゅ)は、真保裕一の長編小説。
『東京中日スポーツ』他に『夢の工房』(後に発売する同名のエッセイ集とは異なる)のタイトルで1994年11月7日から1995年8月2日まで連載されたものを加筆訂正・改題し、講談社から1996年8月に単行本として発表された(後に講談社文庫版が上下巻で刊行された)。
友人が作った1260万円の借金を返すため、偽札作りに挑む主人公を描く。
新聞連載版と単行本化されたものとでは、話が変わっている。目次 全3部構成で、各部ごとに主人公の名前が変わっている。 手塚道郎、22歳。無職。友人の西嶋雅人がヤクザにはめられ作ってしまった1260万円の借金を返済するために、2人は偽札作りに挑む。ATMから紙幣判別機を奪取し、機械にのみ通用する偽札を作りあげるが、その一部始終をヤクザに嗅ぎつかれてしまう。途中で知り合った水田鉱一という老人に道郎は助けられるが、雅人を警察に売る。 裏の手段で保坂仁史という名前に変えた道郎は、水田とその知り合いの女子中学生・幸緒に本格的な偽札作りのノウハウを教え込まれる。印刷会社に就職した仁史は偽札作りを進めていくうち、幸緒の印刷会社の乗っ取りや突如消えた水田の消息に、雅人の借金相手のヤクザが関わっていることを知る。ヤクザとの受け渡しの際、水田の救出に失敗する。 再び名前を変えた鶴見良輔こと道郎は、刑期を終えた真鍋宏英こと雅人、大学に進学した幸緒と再会し、ともに帝都銀行と東建興業への復讐を誓い、完璧な偽札を作る。 著者の真保裕一を絡めたエピソードが収録されている。
1 受賞
2 あらすじ
2.1 第1部 手塚道郎編
2.2 第2部 保坂仁史編
2.3 第3部 鶴見良輔編
2.4 エピローグ
受賞
1996年 第10回山本周五郎賞
1997年 第50回日本推理作家協会賞長篇
あらすじ
第1部 手塚道郎編
第2部 保坂仁史編
第3部 鶴見良輔編
エピローグ
表
話
編
歴
山本周五郎賞
1980年代
第1回 山田太一『異人たちとの夏』
第2回 吉本ばなな『TUGUMI』
1990年代
第3回 佐々木譲『エトロフ発緊急電』
第4回 稲見一良『ダック・コール』
第5回 船戸与一『砂のクロニクル』
第6回 宮部みゆき『火車』
第7回 久世光彦『一九三四年冬―乱歩』
第8回 帚木蓬生『閉鎖病棟』
第9回 天童荒太『家族狩り』
第10回 真保裕一『奪取
第11回 梁石日『血と骨』
第12回 重松清『エイジ』
2000年代
第13回 岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』
第14回 乙川優三郎『五年の梅』/中山可穂『白い薔薇の淵まで』
第15回 吉田修一『パレード』/江國香織『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
第16回 京極夏彦『覘き小平次』
第17回 熊谷達也『邂逅の森』
第18回 荻原浩『明日の記憶』/垣根涼介『君たちに明日はない』
第19回 宇月原晴明『安徳天皇漂海記』
第20回 森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』/恩田陸『中庭の出来事』
第21回 今野敏『果断 隠蔽捜査2』/伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』