『奥さまは魔女』(おくさまはまじょ、原題:Bewitched)は、1964年から1972年までアメリカのABCで全254話が放送された、シチュエーション・コメディのテレビドラマ。
日本でも1966年から日本語吹替版がTBSと毎日放送で放映された。
2004年にTBS系列の金曜ドラマ枠で放送されたリメイク版もこの項で説明する。 第74話(第2シーズン)まではモノクロ放送だったが、第75話(第3シーズン)からはカラー放送となった。現在は第1・第2シーズンもデジタルリマスタリングに加え、カラライゼーションが成されており、再放送・日本版DVDはこのカラー版が採用されている。日本版DVDはカラー版のみの発売だが、アメリカでは第1・第2シーズンのモノクロ版DVDも発売されており、アメリカ版DVDはモノクロ・カラーの2種類が併存している。 本作の大人気によって、アメリカでは1965年に本作と同じスクリーン・ジェムスの制作でシドニィ・シェルダンによる類似企画『かわいい魔女ジニー』(NBC)が登場し、人気を二分した。日本では『魔法使いサリー』以下一連の「魔法少女もの」と呼ばれるジャンルが作成されるきっかけにもなった。8シーズンに及ぶ人気作となったため、アメリカでは1977年から1978年にかけスピンオフ作品として、成人となったタバサ(サマンサとダーリンの娘)を主人公に、その新婚生活などを描いた『タバサ
作品解説
またアメリカではアニメ『The Flintstones』の1965年に放送されたエピソード"Samantha"においてフリントストーン家の近所にスティーブンス夫婦が越してくるクロスオーバーエピソード、1972年『The ABC Saturday Superstar Movie』枠において"Tabitha and Adam and the Clown Family"として10代に成長したタバサとアダムがサーカス興行をする叔母家族を訪ねるエピソードのスピンオフアニメが放送されている。
英語版と日本語版では構成がやや異なっている。英語版ではプロローグシーンのあとにタイトルが放送され、本編に入るが、日本語版では最初にタイトルが放送され、その後プロローグシーンに該当する部分が放送される。
テレビ東京で本作が再放送された際、タイトルを『へんしん!サマンサ』に変更して放送したことがあり、地方局の再放送でもこれに準じてこのタイトルが使用された事がある。
2004年には日本で同名の翻案ドラマも日本語吹替版と同じくTBS系列で制作された。設定を現代の日本に移している為、大幅にアレンジされているが、基本的な設定(主人公が新婚夫妻であること、夫が普通の人間で、妻が魔法を使うことに好意的でないことなど)は踏襲している。また、オリジナルにインスパイアされたと思われる部分も多々存在する(夫が広告代理店勤務であること。主人公の母のメイクや立ち居振る舞いなど)。 広告代理店に勤めるダーリン・スティーブンスが結婚した相手、サマンサは魔女だった。彼女の結婚に反対する母親のエンドラを始めとする彼女の親戚たちも現われ、スティーブンス家に次々と珍騒動が巻き起こる。 吹替え音声は製作された1960年代後半?1970年代前半当時のものであるため、現在では不適切な表現や放送禁止用語になった言葉が使用されている部分があり、再放送では一部のセリフを新たに録りなおすか、無音化している。これによって会話と音楽が突然途切れるシーンがある。DVDの吹替え音声はこの理由で再録されたり、当時の吹替え音声が欠落している部分が新たに録音されており、オリジナルとは異なる声優が演じていることもあるため、その部分だけ声が変わっていることがある。また撮り直しがある一方で現在でも使用は問題ないが既に一般的ではない表現の翻訳(Halloweenを万聖節、virusをビールス など)でそのまま収録されていて逆に意味が分かりにくい会話の問題も起こっている。
あらすじ
登場人物・キャスト
スティーブンス家前列左から初代ダーリン役のディック・ヨーク、サマンサ役のエリザベス・モンゴメリー、後列にエンドラ役のアグネス・ムーアヘッド時計回り:最終シーズン(1971? 1972年)のディック・サージェント、エリザベス・モンゴメリー、エリン・マーフィー、デビッド・ローレンス
サマンサ・スティーブンス(Samantha Stephens)
演:エリザベス・モンゴメリー、吹替:北浜晴子[2]金髪のかわいい若奥様。相思相愛でダーリンと結婚したが、実は魔女。「魔法は使わないこと」とダーリンと約束するが…。一時期魔法の国の女王に任命され、主婦と女王の仕事を兼任していた。
原語では「well」が口癖で特にダーリンに反論しようとするときに何度ととなく耳にするセリフだが、日本語ではニュアンスが生かせないため吹き替えでは割愛されている。
ダーリン・スティーブンス(Darrin Stephens)
演:第5シーズンまでディック・ヨーク・第6シーズン以降ディック・サージェント
第5シーズンでダーリン役を降板したデイック・ヨークは1959年に出演した映画『コルドラへの道』[3]で落馬事故に遭遇し負傷、以来、持病となった腰の激痛を緩和させる目的で鎮痛剤を濫用し始め、本作撮影中はその副作用から情動が不安定になったり、ろれつが回らなくなる事もあり、既に薬物依存の状態だった。第5シーズンの撮影開始の頃には更に痛みが悪化。座っているシーンやソファーで横になっているシーンを増やして対応した。しかし、第5シーズン「Daddy Does His Thing (猛烈パパ登場)」の撮影リハーサル中に突然倒れ、一時意識を失う事態が発生。治療とリハビリのため降板となった。降板に近い時期のエピソードでは、ダーリンの出張中や出社している時間帯にスティーブンス家でサマンサが巻き込まれる騒動を描く事で不在の辻褄を合わせていた。
ダーリン(Darrin)は、「最愛の人」を意味する「darling」ではない。
ディック・サージェント(英語版)はディック・ヨークより先にダーリン役のオファーを受けていたが『Broadside (男性ピンチ作戦)』に出演するため辞退していた。
タバサ・スティーブンス(Tabitha Stephens)
演:シンシア・ブラック(第2シーズン-18話)、ハイディ・ジェントリーとローラ・ジェントリーとのスイング(第2シーズン-19話)、ジュリア・ヤング、タマー・ヤングとのスイング(第2シーズン-20~36話)、エリン・マーフィー(英語版)とダイアン・マーフィー(英語版)とのスイング(第3シーズン-第5シーズン)、エリン・マーフィー(第6シーズン-第8シーズン)、吹替:桂玲子(第3シーズン-第8シーズン)、追加吹替:斉藤梨絵サマンサとダーリンの娘。第1子。撮影スケジュールの効率化と年少者の労働時間の制限に関する問題の解消を図るため、双子を起用したエピソードがある。[4]
成長するにつれ見た目に違いが出たため第6シーズン以降タバサはエリン・マーフィーだけが演じていたが、ダイアン・マーフィーも別のキャラクターで第6シーズン以降もゲスト出演していた。ただし実際は第4シーズンの時点でほぼエリンがメインで演じている事が多かった。
アダム・スティーブンス(Adam Stephens)
演:デヴィッド・ローレンス又はグレッグ・ローレンス、吹替:山本嘉子第6シーズンから登場するサマンサとダーリンの第2子で息子。第7シーズンの子役はクレジットされておらず、第7シーズンからはデヴィッドのみがクレジットされていたがタバサのケースと同様に、双子を起用した。
エリザベス・モンゴメリーは本作品出演中、当時の夫で映画監督・本作プロデューサーのウィリアム・アッシャーとの間に3人の子を儲けているが、第1子・長男ウィリアムJr.の妊娠は本作放送開始直前だったため、お腹が目立つ頃にはバスト・ショットや代役を使って乗り切った。