失恋博物館
Muzej prekinutih veza
2010年に開設された、ザグレブのグラデツ
失恋博物館(しつれんはくぶつかん、クロアチア語: Muzej prekinutih veza、英語: The Museum of Broken Relationships)は、クロアチア・ザグレブに所在する失恋をテーマにした博物館。別れた恋人が残していった私物が、簡単な説明文とともに展示されている。
博物館は、寄付された私物の移動展示として始まり、その後ザグレブで固定展示されるようになった。2011年にはケネス・ハドソン賞(英語版)を受賞している[3]。
2017年には来場者が10万人を超え、クロアチアで11番目に来場者が多い博物館となった[2]。
2018年には東京で移動展示を行っている。 ザグレブを拠点とした芸術家2人のカップル、映画監督のオリンカ・ヴィシュティツァ(Olinka Vi?tica)と彫刻家のドラジェン・グルビシチ(Dra?en Grubi?i?)によって設立された[4]。4年間の交際が2003年に終わった際、2人は「恋人が残した私物を収容する博物館を作ろう」という冗談をかわした[5]。3年後、グルビシチはこのアイデアを真剣に実現しようとヴィシュティツァに連絡をとり[5]、友人に元恋人が残していったものの寄付を乞い始め、コレクションが生まれた[5]。コレクションは2006年にクロアチア科学芸術アカデミー
歴史
その後コレクションは全世界で移動展示が行われ、アルゼンチン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ドイツ、マケドニア、フィリピン、セルビア、シンガポール、スロベニア、南アフリカ、トルコ、イギリスで展示が行われた[7][8][9][10]。2006年から2010年にかけて、20万人以上が移動展示に来場した[11]。移動展示中にコレクションを寄贈する来場者もおり、ベルリン展示の際には市民から30以上のコレクションが寄贈された[7]。
移動展示中、ヴィシュティツァとグルビシチはクロアチア文化省(英語版)に一時的な展示場所を提供するよう働きかけたが失敗したため、2人は自費でザグレブのグラデツ(英語版)に300平方メートルのスペースを借り、市内で初めての私設博物館とすることにした[12]。最終的に博物館は2010年10月にオープンし、その奇抜なテーマや、市内の他の博物館とは異なり毎日開館していることから、特に外国人観光客に人気を博している[13][14]。「元斧(ex-axe)」と題されたこの展示品はベルリンの男性から寄付された。彼は浮気された苛立ちから、元交際相手の家具をこの斧で叩き切ったという。説明文には「去ってから2週間後、彼女は家具を取りに戻ってきた。家具は既に木片の小さな山にアレンジしてあったが、彼女はそのゴミを持っていって、二度と帰ってこなかった。そして、この斧は治療器具に昇格したのだ。」と書かれている。
2011年5月、博物館はヨーロッパ博物館フォーラム(英語版)からケネス・ハドソン賞(英語版)を受賞した。この賞は「社会における博物館の役割の常識を覆すような、最も珍しく、大胆で、もしかしたら議論を呼ぶかもしれない業績を示した博物館、人物、プロジェクト、団体」に贈られる賞で、「成功した博物館の基本的要素としての公共的品質と革新性の重要性」を評価するものである。フォーラムの審査委員会はこの博物館を以下のように評価している:[15]。失恋博物館は、人間関係の脆さだけでなく、その関係をめぐって語られる物語を取り巻く政治的・社会的・文化的状況について議論や考察を促すものである。この博物館は、来場者が異なる文化やアイデンティティに内在するより広い歴史的・社会的問題を理解する能力を尊重し、寄贈者にはより個人的なレベルでカタルシスを与えるものである。