失われた映画(うしなわれたえいが、英語: lost film)とは、フィルムやスチル写真などの作品を記録したメディアの所在が、映画スタジオのアーカイブ、個人コレクション、アメリカ議会図書館をはじめとする公共アーカイブのいずれにも確認できなくなっている長編ないし短編映画[2]。幻の映画(まぼろしのえいが)と称されることもある[3]。
「失われたフィルム(ロスト・フィルム)」という言い回しは、長編映画などについて未編集版や別編集バージョンなど、それが制作されたことが知られていながら、もはや映像が残されていない削除シーン(英語版)などを、文字通りの意味で指すこともある。時には、失われた映画とされていた作品のコピーが再発見されることもある。フィルムが現存するものの完全な形ではない作品は、「フィルムが部分的に現存している映画」 (partially lost film) と称される。
状態ドロレス・コステロが主演した1928年の映画『テンダーロイン』。
ヴァイタフォンによる会話の場面を含む2作目の長編映画であった。サウンドトラックは現存するが、フィルムは失われたと考えられている。
20世紀のほとんどの期間、アメリカ合衆国の著作権法で定められた著作権の登録制度に基づき、すべてのアメリカ合衆国の映画作品について少なくともコピー1本をアメリカ議会図書館に保管されることが求められていたが、議会図書館はそうしたコピーを永続的に保持することは義務付けられておらず、1909年の著作権改正法(英語版)が定めるところにより、著作権にかかる保管物については、図書館がそれを必要としない限り、著作権を主張していた者に返却を求める権利があるとされていた[4]。サイレント映画時代のアメリカ合衆国の映画は、失われた作品が現存するものよりはるかに多く、1927年から1950年までに制作されたトーキー作品も、おそらくはその半数は失われたと考えられている[5]。 ほとんどの映画スタジオは、制作中のセットで大型のカメラを持ったスチルカメラマンが働いており、後で宣伝に用いることができるようなスチル写真を撮っていた[6]。高品質な印画紙のプリントは、大量に作成されて映画館に掲示されるものもあったし、数は少なくとも新聞や雑誌に提供されていたため、その中には失われた映画の映像イメージをかろうじて伝えることになったものもある。一部の作品、例えば『真夜中のロンドン 失われた映画の大部分は、サイレント映画や初期のトーキーであるヴァイタフォンの時代、おおむね1894年から1930年にかけての作品である[7]。マーティン・スコセッシが設立したフィルム・ファウンデーション
スチル写真
フィルムが失われる理由