「夫婦」のその他の用法については「夫婦 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
夫婦(ふうふ、めおと、みょうと)とは、適法の婚姻をした男性と女性[1]。女夫・妻夫(めお、めおと、みょうと、めおっと、めおとこ)[2]、妹背・妹兄(いもせ)[3]、夫妻(ふさい)とも言う。男性を夫と呼び、女性を妻と呼ぶ。
概要[ソースを編集]
国や文化圏によって、夫婦の位置付けは異なる。男女同権の理念を重視して、男女に一切差別があってはならない、と考え、ほとんど全ての権利や義務を同等に考える国もあれば、一方で、夫と妻の権利や義務は異なるものと考える国や文化圏がある。義務についても、夫の義務を重く考える文化圏と、妻のほうに重い義務を持たせる習慣を持つ文化圏がある。
イスラーム圏では、夫というのは妻を庇護する存在であり、複数の妻を持つことができる。ただし(決して男性にとって楽しい家庭とは限らず)イスラームの規定では複数の妻を平等に愛さなければならないとされており、さらに複数の妻を同時に庇護する存在であることを求められ金銭的負担が非常に大きい。それを実行できても、妻の間にうまれる嫉妬や喧嘩をなだめたり調停することをずっと続けなければならないので、実際には一種の苦行のような生活を強いられることになる。
世界的に見ると、夫婦同姓が必須とされる国は珍しい。
ドイツの首相(当時)アンゲラ・メルケル(写真右)とその夫のヨアヒム・ザウアー(写真中央)
オランダの作家サイモン・カーミッゲルトとその妻の像
インドの新婚夫婦
フランス[ソースを編集]
フランスでは、古来の宗教的結婚でなく、フランス革命以降の法律婚でもない、「性別に関係なく、成年に達した二人の個人の間で、安定した持続的共同生活を営むために交わされる契約」であるPACS(市民連帯契約)という制度が1999年に導入された。しかし、導入以来、PACS件数が法律婚の件数を上回ったのは一度だけで、それはコロナ禍が始まった2020年である。2022年の法律婚は24万1,700件に対しPACSは20万9,800件であり、法律婚の全体的な優位は続いているが、この状況が逆転する日が来るかもしれない。[4]
フランスの夫婦(1879年の絵画)
スウェーデン[ソースを編集]スウェーデンの夫婦とその子供たち
男女の関係なく、どちらも仕事を持ってそれぞれ働くことが当たり前[5]。夫婦の家計は、収入に応じて分担することが多い[5]。「夫が妻を養う」という感覚はまずない[5]。
行政の仕組みとしても、所得税の申告は個人ごとに行う(夫、妻は別々に行う)[5]。扶養控除もないし、年金も本人(実際に働いて積み立てた本人)にしか支払われない[5]。つまり、人というのは、たとえ結婚していようが、「世帯」「女性」「男性」ではなく、あくまで「一個人」としてカウントされていて[5]、男女がフラットな関係であり、性差を押し付けるような社会的バイアスがない[5]。
スウェーデンでは、日本で言うところの 専業主婦 などという存在はほとんどいない[5]。日本で言う "専業主婦"などというものは、ただの無職の女と見なされる[5]。
スウェーデンには、いわゆる「ジェンダーロール」があまりない[6]。(後進国に見られるような)「妻だから?をすべきだ」「夫だから?をすべきだ」というような理屈で役割を押し付ける観念がほぼ無い[6]。家庭内の家事分担も同様で、夫婦の性別に関係無く、お互いが(一個人として、たまたま)得意なものをやればいいという考え方が徹底している模様[6]。男性も料理が好き(得意)なら料理を担当する[6]。洗濯も、夫婦のそれぞれの好き/嫌い(得意/苦手)の度合いを比較して担当する[6]。
子供のために料理を作るということに関しては、そもそも「子どもがいたらきちんと夕食をつくるのは親の務め」「栄養バランスも考える必要がある」と考え、たとえ仕事から疲れて帰ってきても、男であろうが女であろうが作るのが親の務め、と考える[7]。