太陽活動周期
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400年間の太陽黒点の歴史 現在の第24太陽周期の予測では、2013年9月に約66個で極大を迎えるとされたが、2011年末に強いピークがあったため、2012年2月に既に黒点の数は67個に達し、少なくとも公式な最大値となっている。この数は、第14太陽周期の1906年2月に最大値64.2個だった時以来の少なさである。

太陽活動周期(たいようかつどうしゅうき、: Solar cycle)は、太陽の活動(太陽放射のレベルや物質の放出等)や見かけ(太陽黒点の数やフレア等)の周期的な変化である。約11年周期となる。太陽の見かけの変化やオーロラの変化として、数百年に渡って観測されてきた。

太陽の変化は、太陽から地球に達する放射の量を周期的に変化させ、宇宙天気、地球の天気や気候等の変化を引き起こす。

非周期的変動とともに、太陽変動の1つである。 太陽の磁場の進化

内部の太陽流によって誘導される磁気流体力学的ダイナモ作用によって、太陽活動周期は以下の役割を担う。

太陽大気、コロナ太陽風の形成

太陽光の調節

紫外線からX線までの短波長太陽放射の調節

フレア、コロナ質量放出やその他の太陽爆発現象の調節

太陽系に入ってくる高エネルギー宇宙線の流れの間接的な調節
目次

1 歴史

2 現象、測定、原因

3 太陽活動周期の効果

3.1 表面の磁場

3.2 太陽放射

3.3 短波長放射

3.4 電波

3.5 爆発現象

3.6 宇宙線

3.7 地球への影響

3.7.1 生物

3.7.2 電波通信

3.7.3 地球の気候

3.7.4 宇宙探査への影響



4 関連項目

5 出典

6 外部リンク

歴史 ドイツの天文学者ハインリッヒ・シュワーベは、太陽黒点の観測から太陽活動周期を発見した。 スイスの天文学者ルドルフ・ウォルフは、太陽活動周期を17世紀まで遡った。

太陽活動周期は、17年間太陽を観測し、太陽黒点の数の周期的な変化に気づいた1843年にハインリッヒ・シュワーベが発見した。ルドルフ・ウォルフはこれらの現象を研究し、ガリレオ・ガリレイらが最初に黒点を観測した17世紀初頭まで周期を遡った。ウォルフ以降、太陽天文学者は太陽黒点の数を指標として用い始め、これは現在でも続いている。

最近まで、1699年から2008年までの309年間で、28の周期があったと考えられ、その平均の期間は11.04年間であるが、最近の研究では、そのうち最も長い期間(1784年から1799年の第4太陽周期)は、実は2つの周期に分けられ[1][2]、平均期間はわずか10.66年間であったことが示されている。観測された周期のうち短いものは9年、長いものは14年であるが、1784年から1799年が2つの周期であったとすると、短い方は8年以下となる。変化の幅も様々である。太陽極大期、太陽極小期は、それぞれ太陽黒点の数が極大、極小になる時期を示す。個々の太陽黒点の周期は、ある極小期から次の極小期までの期間で区切られる。

ウォルフによって作られた付番規則に従い、1755年から1766年までの周期は、伝統的に「第1太陽周期」の番号が付けられている。1645年から1715年までの期間は太陽黒点がほとんど観測されなかったが、データが失われたためではない[3]。この期間は、現在では、グスタフ・シュペーラーによって最初に記されたこの奇妙な現象を熱心に研究したエドワード・マウンダーの名前に因んでマウンダー極小期として知られている。19世紀後半には、リチャード・キャリントンとシュペーラーによってそれぞれ独立に、周期が進行するにつれ、黒点が最初は中緯度に見え、その後、太陽極小期になるまで、次第に赤道に近づくことが発見された。このパターンは、エドワード・マウンダーとアニー・マウンダー夫妻によって20世紀初頭に初めて作られた、いわゆるバタフライダイヤグラムによって良く表現できる。

太陽活動周期の物理学的な基礎は、20世紀初頭にジョージ・ヘールらによって解明された。彼らは1908年に太陽黒点が強く磁化されていることを示し(これは、地球以外における初めての磁場の検出であった)、さらに1919年には、太陽黒点の磁極は、次の特徴を持つことを示した。

ある周期において、同一半球内では常に同じである。

周期を通じ、半球間では逆である。

次の周期に移り変わる際にそれぞれの半球で逆転する。

ヘールの観測により、太陽活動周期は、約22年の周期を持つ磁場の周期であることが明らかとなった。しかし、ほぼ全ての太陽活動周期の現象は磁極に関連しないものであり、「11年周期」という表現が今も一般的に用いられる。

半世紀後、ハロルド・バブコックとホレス・バブコックの父子は、太陽表面は、太陽黒点の部分以外も磁化されていることを示し、この弱い磁場が一次の双極子を形成し、この双極子の磁極は、太陽黒点の周期と同じ周期で逆転が起こる。このような様々な観測により、太陽活動周期は太陽全体の磁場の空間的時間的な変動であるということが確立された。 時間と太陽緯度を軸にとったダイヤグラム。太陽黒点の「チョウ」の形が低緯度地方にはっきりと見える。
現象、測定、原因

2つの隣接する周期の黒点が共存することがある、また、太陽は周期毎に磁極を逆転することが発見されたことから、異なる周期の黒点は磁場の方向によって区別できるようになった。しかし、太陽極小期が始まった真の日付を確定するまでには、数ヶ月を要する。太陽極小期の日付を決定する機関の1つは、ベルギーに本部を置きアメリカ航空宇宙局欧州宇宙機関とともに研究を行うSIDC(Solar Influences Data Analysis Center)である。

今日、太陽表面の磁力記録等の最も重要な情報は、SOHOによってもたらされる。

太陽変動やその周期についての根本的な原因については現在も議論されており、木星土星のような木星型惑星[4][5]や太陽の内部の動き[6][7]による潮汐力との関係を指摘する研究者もいる。太陽黒点のその他の要因には、日震等がある。

太陽活動周期には、パターンが存在する。例えば、ワルトマイヤー効果は、大きな振れ幅の極大期を持つ周期は、極大に達するまでの期間が短い傾向があるという現象である[8]。即ち極大の振れ幅と周期の長さには、負の相関があり、ある程度の予測を可能としている[9]
太陽活動周期の効果 第21太陽周期から第23太陽周期の太陽黒点の数、合計太陽放射、フレア指数。

太陽の磁場は、太陽の大気や外層の構造を作る。その空間的時間的な変動は、太陽活動と総称される現象を引き起こす。全ての太陽活動は、エネルギーを供給する太陽磁場の周期により強く調節される。
表面の磁場

太陽黒点は数日から数ヶ月の間、太陽表面のどこにでも現れるが、最終的には消滅して太陽の光球から磁束を放出する。この磁場は、乱流対流や大規模な流れによって攪拌される。このような輸送機構によって、磁化された崩壊生成物は高緯度地域に集積され、最終的には極の磁性を逆転させる。

太陽磁場の双極子は、太陽極大期の頃に極性の逆転、太陽極小期の頃に強度のピークが観測される。一方、太陽黒点は、太陽内部にある経度方向の強い磁場によって生成される。物理学的には、太陽活動周期は、経度方向の成分が緯度方向の磁場を作り、その後緯度向の成分が元とは逆向きの経度方向の磁場を作る再生ループであると考えられる。
太陽放射

合計太陽放射は、地球の上層大気に衝突する太陽放射エネルギーの量である。合計太陽放射の変動は、1978年末に人工衛星による観測が始まるまで、検出することができなかった。


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