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太田 愛(おおた あい、1964年9月2日[1] - )は日本の脚本家、小説家。香川県高松市出身。ミリアゴンスタジオ所属。
略歴
小劇団で10年ほど脚本を担当した後、1997年に『ウルトラマンティガ』第21話「出番だデバン!」でテレビ脚本家としてデビューした[1]。当時は塾講師をしながら合間をぬって脚本を執筆していた。
映像作品への参加を志望していたことから、筑摩書房で実相寺昭雄の本を担当した先輩から円谷プロダクションへの参加を勧められ、プロデューサーの笈田雅人へプロットを提出し「出番だデバン!」が採用された[1]。
『ウルトラマンネクサス』では同作品でシリーズ構成を担当した長谷川圭一の要望により第3クールのメインライターを担当した。
テレビドラマ『相棒』にseason8より参加。元日スペシャルでは、season10・11・12・16・17・20の6回を担当している。
2012年、『犯罪者 クリミナル』を角川書店より上梓。小説家デビュー。(2017年、文庫化に際して『犯罪者』と改題)
2013年、相棒公式サイトによるファン投票『あなたが選ぶ「相棒セレクション」』でseason10元日SP『ピエロ』が第1位になる。
2014年、『幻夏』で第67回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)の候補になる。
2017年、相棒劇場用映画4作目となる『相棒 -劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断』の脚本を担当。
2017年2月、『天上の葦』を角川書店より上梓。『犯罪者 クリミナル』『幻夏』に続く長編クライムサスペンスシリーズ三作目。現在のジャーナリズムへの危機感を戦時中の言論統制と重ね合わせて描いた本作には、森友学園問題をきっかけに注目を集めた「忖度」も物語の鍵として予見的に登場し、その「預言的な内容」(江上剛[2])や「不気味なリアリティ」(千街晶之[3])がwebや各紙で話題となり[4][5]、2017年「上半期の要注目作」(村田雅幸)[6]との評価もある。太田は、雑誌『ダ・ヴィンチ』掲載の著者インタビュー[7][8]で本作執筆の動機について、「今書かないと手遅れになるかもしれない」と思ったと語っている。「このミステリーがすごい!」(宝島社)18位、「週刊文春ミステリーベスト10」19位、「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 小説ランキング50」33位[9]。
2021年1月、『彼らは世界にはなればなれに立っている』(KADOKAWA)で、第4回山中賞を受賞。[10]
2024年1月、『未明の砦』(KADOKAWA)で、第26回大藪春彦賞を受賞。
人物
特撮作品を愛好しており、特に実相寺昭雄監督の『怪奇大作戦』第25話「京都買います」には衝撃を受けたという[1]。
文学では、ガブリエル・ガルシア=マルケス、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、アレホ・カルペンティエルなどラテンアメリカ文学を愛好している[1]。2021年のインタビューでは、上記の3人に加えてホセ・ドノソ、フリオ・コルタサルを挙げており、特にコルタサルの短編を「切れ味がよくて何度も読んでしまう」と高く評価している[11]。
『小説現代』2013年2月号に掲載されたエッセイ「鬼たちのこと」では、長年の愛読書として馬場あき子著『鬼の研究』(ちくま文庫)を挙げている。太田は鬼を「時の権力にまつろわぬ者として反逆の刃を抜き、恐れられ蔑まれ破滅しつつ現実を生き抜いた」者として、「人であるがゆえに鬼とならざるをえなかった無残と哀切」に対する深い共感を述べている[12]。
『映画秘宝オールタイム・ベスト10』(洋泉社 2017年刊)のアンケートでは、タヴィアーニ兄弟の『サン・ロレンツォの夜』をはじめ、『フェリーニのアマルコルド』、『フィツカラルド』、『恋のエチュード』、『ザ・デッド/「ダブリン市民」より』(ジョン・ヒューストン監督)、『ロザリンとライオン』(ジャン=ジャック・ベネックス監督)、『12モンキーズ』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、『七人の侍』、『ゴジラ』を順不同のベスト10として挙げている[13] 。
『映画秘宝EX 最強ミステリ映画決定戦』(洋泉社2016年刊)では、ミステリ・ベスト10として『現金に体を張れ』、『点と線』(56年、小林恒夫監督)、『天国と地獄[要曖昧さ回避]』、『バニー・レークは行方不明』、『飢餓海峡』、『カンバーセーション…盗聴…』(74年 フランシス・フォード・コッポラ監督)、『新幹線大爆破』、『江戸川乱歩劇場 押繪と旅する男』(94年 川島透監督)、『12人の怒れる男』(07年 ニキータ・ミハルコフ監督)、『倫敦から来た男』を順不同で挙げている[14]。