太子少傅（たいししょうふ）は、中国の前漢以降の王朝にあった官職である。太子太傅とともに皇太子の養育にあたった。
伝説上の教育係

『漢書』百官公卿表は、太子太傅とともに「古官」、すなわちいにしえの官を引き継いだものとする[1]。諸書に「太子太傅」・「太子少傅」は見えず、太傅・少傅が王を補佐したとするものが多いが、太傅・少傅が太子の養育にあたったと記すものもいくらかある。

『礼記』の一篇である「文王世子」が、太傅・少傅を世子（世子は跡継ぎの子。この場合王の跡継ぎ）の養育係と記す[2]。音楽や読書などの学習はそれぞれ専門家が行い、太傅・少傅は父子君臣の道を示したという[2]。「傅伝」は、周の成王が幼い頃に太保・太傅・太師を置いたのにならって、太子の養育のために少保、少傅、少師をおいたという。
前漢・後漢

太子太傅、太子少傅は前漢以降に多数の例が見える。太子少傅のほうが地位は下である。前漢では属官に太子門大夫、太子中庶子、太子庶子、太子先馬、太子舎人があった[1]。

後漢も前漢を踏襲した。『続漢書』百官志によると太子率更令、太子門大夫、太子庶子、太子舎人等の皇太子の属官は太子少傅に属した。

秩禄は前漢・後漢とも二千石。
脚注^ a b 『漢書』巻19上、百官公卿表第7上。『『漢書』百官公卿表訳注』108頁。
^ a b 『礼記』「文王世子」。新釈漢文大系『礼記』上の313 - 314頁。

参考文献

中央研究院・歴史語言研究所「漢籍電子文献資料庫」。

『礼記』

加藤常賢『書経』上・下、新釈漢文大系25・26、明治書院、1983年・1985年。


班固著、『漢書』

小竹武夫訳『漢書』1から8、筑摩書房、ちくま学芸文庫、1998年。

大庭脩監修、漢書百官公卿表研究会『『漢書』百官公卿表訳注』、朋友書店、2014年。

ウィキソース版『漢書』巻019


司馬彪著『続漢書』（『後漢書』合刻）百官志四