この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法
日本の法令
通称・略称天皇退位特例法、退位特例法、譲位特例法、皇室典範特例法
法令番号平成29年法律第63号
種類憲法[1]
効力現行法
成立2017年6月9日
公布2017年6月16日
施行2017年(平成29年)6月16日(第1条並びに附則第1条第2項、附則第2条、附則第8条及び附則第9条の規定)
2019年(平成31年)4月30日(天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行期日を定める政令
天皇の退位等に関する皇室典範特例法(てんのうのたいいとうにかんするこうしつてんぱんとくれいほう、平成29年法律第63号)は、第125代天皇明仁(在位?1989年1月7日 - 2019年4月30日)の退位等に関して、皇室典範(昭和22年法律第3号)の特例を定めた日本の法律。
2017年(平成29年)6月9日に成立し、16日の公布とともに第1条並びに附則第1条第2項、附則第2条、附則第8条及び附則第9条の規定が施行。同年12月13日には同法の施行期日を定める政令(天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行期日を定める政令(平成29年政令第302号))が公布され、2019年(平成31年)4月30日に施行、翌2019年(令和元年)5月1日に附則第10条及び附則第11条の規定が施行され、完全施行された。
通称は、天皇退位特例法(てんのうたいいとくれいほう)・譲位特例法[2](じょういとくれいほう)・退位特例法[3](たいいとくれいほう)などがある。2022年(令和4年)現在に至るまで、同法以外に皇室典範と一体を成すような特例の法律は制定されてないことから、皇室典範特例法(こうしつてんぱんとくれいほう)と略称されることが多い[4][5][6][7][8]。
内閣官房隷下の内閣総務官室と、皇室典範を所掌する宮内庁長官官房秘書課が共同で所管している。
概要「明仁から徳仁への皇位継承」も参照
「天皇の終身在位」を前提にしている皇室典範では、これまで認められていなかった「天皇の退位」を、第125代天皇である明仁に限り認め、徳仁への譲位を可能にする為の法律である。同法は「皇室典範と一体を成す法律である」と同時に、「将来の先例にもなり得る法律」とされる[9]。
明仁は、「2010年(平成22年)7月22日に住居である御所で行われた『参与会議』の席上で『退位(譲位)の意志』を初めて明かした」と伝えられている[10]。その背景について、NHKは「昭和天皇の晩年のほとんど意識もない中での闘病生活や、母親の香淳皇后が晩年に認知症を患っていた時の状況などを実際にご覧になっていたことが大きく影響しているのではないか」としている[11]。
日本で唯一、条文に最高敬語が用いられている法律である。 2016年(平成28年)7月13日、NHK報道局社会部は総合テレビ(NHK G)で18時台に放送されている地域情報番組の中に字幕のニュース速報を差し込んだ。 この字幕速報で、「複数の宮内庁関係者によると陛下が引退を希望」とまず報じられた。 続いて同日19時から全国放送された『NHKニュース7』の冒頭で「天皇陛下が数年内に生前退位(自身の退位及び当時の皇太子徳仁親王への譲位)する意向を示していることが宮内庁関係者への取材で分かった」と報じられた。第8代長官風岡典之や第13代次長山本信一郎ら宮内庁高官は当初、「(報道されたようなことは)あり得ない」「事実とは異なる」などといったように否定していたが[12][13]、明仁は8月8日に「『天皇は国政に関する権能を有さない』旨を規定した憲法上の制約により、具体的な制度についての言及は避ける」と前置きした上で、「生前退位の意向をにじませる内容」[14][15][16][注釈 1]の「お気持ち」[17]を表明した。
特例法制定までの経緯第125代天皇 明仁第126代天皇 徳仁
NHKによる「生前退位」報道から「お気持ち」表明まで