天皇賞(春)
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この項目では、春に京都競馬場で3200mで行われる競馬の競走について説明しています。秋に東京競馬場で2000mで行われる競馬の競走については「天皇賞(秋)」を、天皇賞全体の歴史などについては「天皇賞」をご覧ください。

天皇賞(春)(てんのうしょうはる)は、日本中央競馬会(JRA)が毎年春に京都競馬場で施行する中央競馬重賞競走GI)である。通称「春天(はるてん)」。

天皇賞(春)
Tenno Sho(Spring)[1]
第167回天皇賞(春)
優勝馬:ジャスティンパレス
鞍上:クリストフ・ルメール
開催国日本
主催者日本中央競馬会
競馬場京都競馬場
創設1938年5月15日
2024年の情報
距離芝3200m
格付けGI
賞金1着賞金2億2000万円

出走条件サラ系4歳以上(国際)(指定)
負担重量定量(58キロ、牝馬2キロ減)
出典[2][3]
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概要

4歳以上の馬(外国産馬・外国馬を含む)による重賞競走(GI)。施行距離は1939年(昭和14年)以来3,200メートルで変わっておらず、現存する中央競馬の平地GI競走では最長距離[注 1]

2008年(平成20年)よりメルボルンカップ(オーストラリア、GI)の前年度優勝馬[注 2]を招待するようになり[注 3]、本競走の優勝馬にも同年のメルボルンカップへの優先出走権が与えられる。

2017年(平成29年)より大阪杯宝塚記念とともに同一年に行われる3競走を全て優勝した馬に褒賞金が贈られる[4][注 4]

正式名称は「天皇賞」であるが、JRAでは天皇賞(秋)の距離が短縮された1984年(昭和59年)から「天皇賞(春)」と表記している[5]

正賞は天皇賞、日本馬主協会連合会会長賞。



世界の中の天皇賞(春)

世界の競馬開催国は国際セリ名簿基準書においてパートIからパートIVまでランク分け[6]されており、主要な競走は国際的な統一判断基準で評価が行われている。日本は平地競走が最上位の「パートI」、障害競走は「パートIV」に分類されている[6]

2024年(令和6年)現在、日本を含めパートIに分類されている国・地域のうち、3,000メートル級の平地G1競走を行っているのは、

日本 - 天皇賞(春):3,200メートル、菊花賞:3,000メートル

イギリス - ゴールドカップ:約4,014メートル、グッドウッドカップ:約3,219メートル[7]セントレジャー:約2,921メートル

フランス - ロワイヤルオーク賞:3,100メートル、カドラン賞:4,000メートル、ロワイヤリュー賞:2,800メートル

アイルランド - アイリッシュセントレジャー:約2,816メートル

オーストラリア - メルボルンカップシドニーカップ:3,200メートル

以上の5カ国だけである[6][注 5]。天皇賞(春)はこの分類で、ゴールドカップ、カドラン賞に続く世界で3番目の長距離戦に該当し、優勝馬を招待しているメルボルンカップとは同じ距離である。

競馬の競走における距離別の区分法として定着しているSMILE区分によると、天皇賞(春)は2701メートル以上の「Extended(超長距離)」部門に分類される。国際競馬統括機関連盟(IFHA)が公表した「世界のトップ100GIレース」によると、天皇賞(春)は全体の54位にランクインした[8]。「Extended(超長距離)」のカテゴリーからランクインした競走ではゴールドカップ(38位)に次ぐ順位[9]で、日本国内ではランクインした9競走のうちの8番目にランクされている[8]
競走条件

以下の内容は、2024年(第169回)のもの[2][3]
出走資格

4歳以上のサラ系競走馬(出走可能頭数:最大18頭)

JRA所属馬

地方所属馬(優先出走権を得た馬のみ)

外国調教馬(優先出走)

出馬投票を行った馬のうち、以下の優先出走権を得ている馬から優先して割り当て、その他の馬は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI・JpnI競走における収得賞金」の総計が多い順に割り当てる。出馬投票締切の結果、出走申込頭数が出走可能頭数を超えた場合は、別に定めた方法または抽選で出走馬を決定する[10]
優先出走権を得られる条件

出馬投票を行っている外国調教馬

レーティング順位の上位5頭
[注 6]

当該年に行われる以下の競走のいずれかで1着となった馬(中央・地方の所属は問わない)[10]

当該年に行われる以下の競走のいずれかで2着以内に入着した地方競馬所属馬[10]

競走名格付施行競馬場施行距離
阪神大賞典GII阪神競馬場芝3000m
日経賞GII中山競馬場芝2500m

地方競馬所属馬は、上記のほか大阪杯の2着以内馬も本競走に出走できる[11]
負担重量

定量(58キロ、牝馬2キロ減[3])「負担重量」も参照
コース天皇賞(春)コース概略図

京都競馬場の芝コース、外回り3,200メートルを使用[12][13][3]

スタート地点は観客席からみて向正面で、約1周半する。途中、第3コーナーから第4コーナーにかけて「淀の坂」と称される坂の上り下りがあり、天皇賞(春)ではこの坂を2度通過するため、「京都競馬場の難所」とされる[12][14]

1周目はスタート直後から100メートル進む間に約2.1メートル上る急坂となる。その後も緩やかに280メートルかけて約1.8メートルを上る。第3コーナーが坂の頂上にあたり、第4コーナーまで3.5メートルを下る[13]。第4コーナーを回って直線に入るまで0.8メートルほどの下り勾配がある[13][12]

2周目の第4コーナーを回り終えると最後の直線で、ゴールまでは残り約400メートルとなる[12]
歴史
年表

1938年(昭和13年) - 「帝室御賞典」を再編し年2回の施行に改め、春の競走を阪神競馬場(旧・
鳴尾競馬場[注 7])で施行。

1939年(昭和14年)

施行距離を3200メートルに、出走資格を5歳(現4歳)以上牡馬・牝馬に変更。

負担重量を「馬齢重量」から「定量」に変更(負担重量は5歳(現4歳)は58キロ、6歳(現5歳)以上は60キロ、牝馬1.5キロ減に設定)[5]


1944年(昭和19年) - 「能力検定競走」として、京都競馬場の芝3,200メートルで施行[5]。以後、京都競馬場での施行が定着。

1945年(昭和20年) - 太平洋戦争の影響で中止[5]

1947年(昭和22年)

この年のみ「平和賞」の名称で施行[5]

負担重量を5歳(現4歳)、6歳(現5歳)以上とも牡馬60キロ、牝馬2キロ減に変更[5]


1948年(昭和23年)

名称を「天皇賞」に変更[5]

5歳(4歳)の負担重量を牡馬58キロ、牝馬2キロ減に変更[5]


1953年(昭和28年) - 6歳(現5歳)以上の負担重量を5歳(現4歳)と同じく、牡馬58キロ、牝馬2キロ減に変更[5]

1972年(昭和47年) - 外国産馬が出走できなくなる。

1981年(昭和56年) - 勝ち抜き制を廃止[5]

1984年(昭和59年) - グレード制導入、GIに格付け。

1995年(平成7年) - 指定交流競走となり、地方所属馬も出走が可能になる[16]

2000年(平成12年) - 外国産馬が2頭まで出走可能になる[17]

2001年(平成13年) - 馬齢表記を国際基準へ変更したことに伴い、出走条件を「5歳以上牡馬・牝馬」から「4歳以上牡馬・牝馬」に変更。

2005年(平成17年)

国際競走となり、外国調教馬が5頭まで出走可能になる[18]


2007年(平成19年) - 外国調教馬の出走枠を9頭に拡大[19]

2008年(平成20年)

出走条件を「4歳以上牡馬・牝馬」から「4歳以上」に変更[20]

前年度メルボルンカップ優勝馬の招待を制度化。


2011年(平成23年) - NHKでの地上波中継が中止される(第177回国会参議院予算委員会・平成23年度第1次補正予算審議を大型連休返上で実施にしたことに伴うもの[21])。

2012年(平成24年)

「近代競馬150周年記念」の副称を付けて施行[22]

レーティング上位5頭に優先出走を認める。


2014年(平成26年) - トライアル制を確立し、指定した競走の1着馬に優先出走権を付与。

2020年(令和2年) - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、「無観客競馬」として実施[23](2021年も同様[24])。

2021年(令和3年) - 京都競馬場の整備工事に伴い、阪神競馬場芝3200m(外回り→内回り)で施行(2022年も同様)[25]

歴代優勝馬

競走名は第14回まで「帝室御賞典[5]」、第15回は「平和賞」、第17回以降は「天皇賞」。

回数施行日競馬場距離優勝馬性齢タイム優勝騎手管理調教師馬主単勝オッズ単勝人気1着本賞金
第2回1938年5月15日阪神芝2700m[26]ハセパーク牡52:53 1/5金者斤奉門倉恒雄11万円
第4回1939年5月14日阪神芝3200m[26]スゲヌマ牡43:31 0/5伊藤正四郎小山内重蔵千明賢治1
第6回1940年5月19日阪神芝3200mトキノチカラ牡43:25 2/5岩下密政田中和一郎菊池寛21万5000円
第8回1941年4月27日阪神芝3200mマルタケ牡53:25 4/5清水茂次榎壽逸1
第10回1942年4月19日阪神芝3200mミナミモア牡43:25 1/5佐藤邦雄東原玉造池得次1
第12回1943年4月11日阪神芝3200mグランドライト牡43:28 1/5阿部正太郎田中和一郎加藤雄策4


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