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出典検索?: "天海=明智光秀説"
南光坊天海=明智光秀説(なんこうぼうてんかい=あけちみつひでせつ)は、江戸時代初期、幕政に大きな影響力を持っていた僧・天海と、戦国武将の明智光秀は同一人物であるとする説。フィクション等でも採用され、広く知られているが、専門の歴史家の著した書籍で事実と扱われたものはなく、信憑性はかなり低いとされている。 天海は高名な僧であるにもかかわらず前半生は詳細に知られておらず、第12代将軍足利義晴の子であるとか、古河公方足利高基の子であるなど、様々な説が唱えられてきた[1]。明智光秀が天海となったという説もその一つであるが、いつ頃唱えられだした説かは定かではない。 1916年(大正5年)、天海の伝記『大僧正天海』を著した須藤光暉は、天海は船木兵部少輔景光と妻の蘆名氏の子であると推定しているが[2]、一部の考証家に「光秀が天海となり、豊臣氏を滅ぼして恨みを晴らした」という「奇説」を唱えるものがいると記述しており[3]、この頃にはすでにこの説が唱えられていたとみられる。 同時代史料に明示したものは存在せず、中世史家の小和田哲男[4]などの歴史学者の間においても、この説は広く支持されているものではない。しかし会計学者の岩辺晃三など支持者も存在する[5]。 天海の遺品のなかには、天海の所用と伝えられる甲冑(滋賀県求法寺所蔵)と鉄砲(川越喜多院所蔵)が現存する。 明智光秀は天正10年(1582年)の山崎の戦いの後に討たれたとされているが、山崎の戦い以降に光秀が存命していたとする説や伝承がいくつかある。ただしこれらの説は、光秀が天海になったと明示されていない。 同一人物説論者が根拠とするものには以下のようなものがある。
概要
本能寺の変後の生存説
京都宇治の専修院
『和泉伝承誌』によると、山崎の戦いの後に明智光秀が京の妙心寺に姿を現し、その後光秀は和泉に向かったと書かれている。
本徳寺(現在は大阪府岸和田市にあるが、開基時には大阪府貝塚市鳥羽にあった)には、一時、明智光秀が潜伏していたという伝承があり、「鳥羽へやるまい女の命、妻の髪売る十兵衛が住みやる、三日天下の侘び住居」という俗謡が残っている[6]。
比叡山の叡山文庫には、俗名を光秀といった僧の記録がある[7]。
光秀が亡くなったはずの天正10年(1582年)以後に、比叡山に光秀の名で寄進された石碑が残っている。
岐阜県山県市中洞には、光秀が落ち延び、「荒深小五郎」と改名して関ヶ原の戦い頃まで生き延びたという伝承がある[8]。
天海と明智光秀の関係を窺がわせる根拠
日光に明智平と呼ばれる区域があり、天海がそう名付けたという伝承がある。
徳川家光の乳母には、明智光秀の重臣の斎藤利三の子の春日局が採用され、家光の子の徳川家綱の乳母には、明智光秀の重臣の溝尾茂朝の孫の三沢局が採用されていること。
山崎の戦いで明智側についた京極家は、関ヶ原の戦いの折に西軍に降伏したにもかかわらず戦後加増された。一方、光秀寄騎でありながら山崎の戦いで光秀に敵対した筒井家は、慶長13年(1608年)に改易されていること。
明智光秀の孫の織田昌澄は大坂の陣で豊臣方として参戦したが、戦後に助命されていること。
明智光秀と天海は地蔵菩薩を信奉していたこと。それぞれの地蔵菩薩像は京の廬山寺、江戸の正徳院に奉納され現存している。
天海の墓所が、明智光秀の居城があった近江坂本にあること。
天海=明智光秀説の設定を使用している作品
『真田十勇士』:1989年、笹沢左保著(光文社、ISBN 978-4334708979)
『吉原御免状』:1989年、隆慶一郎著(新潮社、ISBN 978-4101174112)
『明智光秀』:1991年、早乙女貢著(文藝春秋、ISBN 4-16-723024-0)
『夢幻の如く』:1991年、本宮ひろ志著(集英社、ISBN 978-4088583211)
『天上天下』:2006年、大暮維人著(集英社、ISBN 978-4088771045)
『女信長』:2006年、佐藤賢一著(毎日新聞社、ISBN 978-4620107028)
『天眼 ─ 光秀風水綺譚』:2007年、戸矢学著(河出書房新社、ISBN 978-4309018348)
『覇王の番人』:2008年、真保裕一著 (講談社、ISBN 4-7926-0393-5)
『大逆本能寺』:2010年、円堂晃著(角川書店、ISBN 978-4890632640)
『玉精公記』:2010年、大石直紀著(小学館、ISBN 978-4094085297)
『戦国BASARA』シリーズ:2011年ほか、カプコン
『戦国ARMORS』:2011年、榊ショウタ著(集英社、ISBN 978-4088702780)
『ジュアニー―消えたキリシタン武将』:2012年、神本康彦著(文芸社、ISBN 978-4286119007)
『影風魔ハヤセ』:2013年、森田信吾著(小池書院、ISBN 978-4862259462)
『仁王』シリーズ:2017年ほか、コーエーテクモゲームス