天国でまた会おう
Au revoir la-haut
監督アルベール・デュポンテル
脚本
アルベール・デュポンテル
ピエール・ルメートル
原作ピエール・ルメートル
『天国でまた会おう』
製作カトリーヌ・ボゾルガン
『天国でまた会おう』(てんごくでまたあおう、Au revoir la-haut)は2017年のフランスの犯罪コメディ映画。監督・主演はアルベール・デュポンテル、出演は他にナウエル・ペレス・ビスカヤールとロラン・ラフィット(フランス語版)など。フランス文学界で最も権威のあるゴンクール賞を受賞したピエール・ルメートルの同名小説を原作とし、ルメートルと監督のデュポンテルが共同で脚本を執筆した作品で、第一次世界大戦で心身に深い傷を負った2人の元兵士が、自分たち帰還兵を冷遇する国を相手に詐欺犯罪を企てる姿を描いている[4]。
第43回セザール賞(フランス語版)で13部門にノミネートされ、監督賞など計5部門で受賞している[4]。
ストーリー「天国でまた会おう」も参照
1920年11月のモロッコ。詐欺容疑で逮捕され、憲兵隊支部に連行されたアルベールは、戦友で共犯者のエドゥアールとのこれまでの経緯を語り始める。
第一次世界大戦終結の2日前となる1918年11月9日の百十三高地。アルベールらの上官であるプラデル中尉は、休戦を阻止し、何としてでも戦争を続けようと、若手のテリウーと最年長のグリゾニエを最前線の偵察に送り出し、背後から撃ち殺すと、それをドイツ軍による狙撃と見せかけ、強引に戦闘を再開させる。激しい戦闘の中、プラデルの犯行に気づいたアルベールはプラデルに殺されそうになるが、そこで爆風により、地中に埋められてしまう。そんなアルベールをエドゥアールが救出するが、爆風により吹き飛ばされたエドゥアールは顔の下半分を失う大怪我を負う。命の恩人であるエドゥアールをアルベールは必死に看病するが、生きる気力をなくしたエドゥアールは、幼い頃から自分に対して冷淡な父親の待つ裕福な実家に帰ることを拒む。アルベールはエドゥアールの願いを聞き入れて彼を戦死したことにし、身寄りのない戦死者であるウジェーヌ・ラリヴィエールになりすまさせると、エドゥアールの実家に彼の遺したデッサン帳とともに手紙を送る。
1919年11月のパリ。アルベールは恋人セシルに捨てられ、銀行にも復職できず、貧しい暮らしを強いられていたが、帰る家のないエドゥアールを引き取ると、彼のためにモルヒネを傷痍兵から奪い取るなどして、献身的に世話していた。一方、プラデルは戦没者の埋葬で違法な商売をして大金を稼ぐだけでなく、エドゥアールの姉マドレーヌと結婚していた。
ある日、戦没者に対しては追悼記念碑を建てる一方で、自分たちのような戦傷者を冷遇している社会に不満を抱いたエドゥアールは、自らの絵の才能を使った記念碑建立詐欺を計画する。初めは反対していたアルベールだったが、自らの不遇を思い知らされると、詐欺計画に加わることになる。詐欺はうまくいき、大金を手に入れたアルベールらは、エドゥアールと意思の疎通ができる孤児の少女ルイーズを里親に金を払って引き取り、モロッコに逃亡する準備を進める。
一方、エドゥアールの父マルセルは戦没者追悼記念碑建立の費用を負担するのでデザインを公募するよう区長に命じていた。集まったデザイン画の中にエドゥアールの印を見つけたマルセルは、そのデザインを選んで金を振り込む。しかし、デザイナーであるジュール・デプルモンが実在しない人物であり、詐欺であることがわかると、女婿のプラデルに不正の隠蔽を条件に密かにデプルモンを見つけるように命じる。プラデルはデプルモンがウジェーヌ・ラリヴィエールの名前でホテル・リュテシア(フランス語版)に宿泊し、24時間後にチェックアウトする予定であることを突き止め、マルセルに報告する。
モロッコに向かう準備をしていたアルベールは、プラデルと決着をつけようと、彼の仕事現場で銃口を向ける。ところが、足を滑らせたプラデルが穴に落下し、そのまま生き埋めにされてしまう。慌てて逃げ出したアルベールはリヨン駅近くの部屋でエドゥアールを待ったが、彼が来ることはなかった。
リュテシアで最後の夜を過ごしていたエドゥアールをマルセルが訪ねる。