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大連立(だいれんりつ)とは、議院内閣制の国家における連立政権(2つ以上の政党が連立して内閣を構成する政権)の特殊な一形態。国内の政権基盤を安定させることを主な目的に、議会第1党と議会第2党による連立政権を指す[1]。 二大政党と複数の小政党が議席を持っている場合、大政党は毎回の選挙において、単独で安定多数の議席を確保しようとする。二大政党の議席数が拮抗するなどして安定多数の獲得に失敗した場合、大政党はイデオロギーの似通った小政党と連立を組んで過半数を確保し与党になろうとする。通常、二大政党はイデオロギーや政策や支持基盤などが異なり、互いをライバル(あるいは政敵)であるとみなしており、両政党間が政権や政策の方向性で合意することは非常に困難である。これが大連立がめったに成立しない理由である。 しかし、普段は対立する大政党が互いと連立して共に内閣を作るほうが望ましいと考えるような政情になることもある。 一つは戦争や大不況のような国家的危機であり、人々がイデオロギーの違いを超えて国家の統一や安定を望む場合に大連立(国民政府、挙国一致内閣)が成立しうる。特に危機に対する最善の政策について、各政党間で幅広い合意ができている場合は大連立は成立しやすい。また、こうした危機においては一党優位政党制の場合でも、主要政党と複数の小政党の間で大連立が成立する場合もある。国家の危機における挙国一致内閣の例としては第一次世界大戦時、および大恐慌から第二次世界大戦にかけてのイギリスがある。 大連立が成立する可能性のもう一つは勃興する小政党の脅威に対し、二大政党が互いのイデオロギーの共通性が多いことを認めるような場合である。たとえばオーストリアでは極左政党や極右政党を政権に入れないために左右の大政党が大連立を組むこともしばしばであった(過激政党の進出を防ぐこうした例は「Cordon Sanitaire」、防疫線と呼ばれる)。また、イスラエルではいくつかの内閣で小政党が自らの主張を通すためにより、広い幅の連立を組んで政権に入る例があった。 以上二つのほかに、早期の解散総選挙を防ぐためという政治目的から大連立が組まれることもある。例えばドイツの場合、2005年総選挙でキリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)連立と、ドイツ社会民主党(SPD)の獲得議席が、どちらも通常の連立では過半数を取れない事態となり、大連立を組んだ。ドイツでは任期満了か首相信任の不成立でしか早期選挙を行えない(ヴァイマル共和政時代の政治的混乱の経験から、基本的に議会解散をしにくい制度になっている)ため、必然的にこのような選択になった。対して、首相権限で議会を解散できる制度の国(例えば2011年に任期固定議会法が制定される前のイギリス)であれば、少数与党でしばらく政権を維持し、早期の総選挙に臨むケースが多い(例えば1974年2月と10月のイギリス総選挙)。 こうした大連立が恒常化してしまうと、選挙民や小政党の間に選択の自由がないという不満が溜まり、連立与党以外の小政党や極右・極左に対する投票(抗議票
大連立が成立する要因
各国での大連立