大腸癌
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大腸癌

胃 (Stomach) と直腸 (Rectum) と
結腸 (Colon) の図
概要
診療科腫瘍学
分類および外部参照情報
ICD-10C18-C20
ICD-9-CM153.0- ⇒154.1
ICD-OM ⇒8140/3 (95%の事例)
OMIM114500
DiseasesDB2975
MedlinePlus000262
eMedicinemed/413 med/1994 ped/3037
Patient UK大腸癌
KEGG 疾患H00020
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S状結腸に発生した腺癌内視鏡検査画像

大腸癌(だいちょうがん、英語: Colorectal cancer[注釈 1]ドイツ語: Kolorektales Karzinom)は、大腸盲腸結腸直腸)に発生する癌腫である[1]肛門管に発生するものを含めることもある。

正式には部位別に盲腸癌(もうちょうがん、Cecum cancer)、結腸癌(けっちょうがん、Colon cancer)、直腸癌(ちょくちょうがん、Rectum cancer)と称される。

徴候や症状には、血便、腸の動きの変化、体重の減少、常時の疲労感などがある[2]
概要

ほとんどの結腸直腸癌は老年および生活習慣の要因によるもので、遺伝的疾患による症例はごくわずかである[3][4][5]。他のリスク因子には、食事、肥満喫煙、運動不足などがある[3]。リスクを増大させる食事は赤身肉、加工肉、アルコールなどである[3][6][7]。他のリスク因子には炎症性腸疾患があり、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む[3]。遺伝性疾患として原因となりえるものは家族性大腸腺腫症遺伝性非ポリポーシス大腸癌であるが、これらは5%未満である[3][4]。典型的には当初はしばしば良性腫瘍であり、ポリープの形をとりえ、時を経てがんとなる[3]

診断は大腸内視鏡検査によって行われ、サンプルを採取することで判別される[2]転移進行を確認するために医用イメージングが行われる[1]。検査の一つであるスクリーニングは結腸直腸癌による死を予防および軽減するのに有効である[8]。スクリーニングは50歳から75歳から始めることが勧められる[8]

世界的には、大腸癌はがんの中で3番目に多く、全症例の10%を占めている[9]。2012年には140万人の新たな症例が発生し、694,000人が死亡した[9]。先進国では一般的であり、全症例の65%以上を占める[3]。女性より男性のほうが多く発症する[3]
疫学2004年における10万人毎の大腸癌による死亡者数(年齢標準化済み)[10]body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%} .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  データなし   2.5人以下   2.5人から5人   5人から7.5人   7.5人から10人   10人から12.5人   12.5人から15人   15人から17.5人   17.5人から20人   20人から22.5人   22.5人から25人   25人から27.5人   27.5人以上

世界では毎年100万人以上の人々が大腸癌を発症する[11]。死者数は1990年には49万人、2010年には約715,000人であった[12]

日本では女性のがんの死亡率の1位、男性では3位を占め、2015年には男性でも2位に上昇すると予想されている[13][14]アメリカ合衆国においては、3番目に多い癌で、癌死の原因として2番目に多く、生涯に大腸癌に罹患する確率は約7%である。日本でも胃癌を追い越し肺癌についで2番目に多くなっている。

日本のがん統計[15]死亡数 (2017年)罹患数 (2014年)
男女男女男女男女
1位大腸乳房大腸
2位大腸大腸
3位大腸膵臓大腸
4位肝臓膵臓前立腺乳房
5位膵臓乳房肝臓肝臓子宮前立腺

症状

一般に早期大腸癌であれば自覚症状はなく、健康診断人間ドックで発見される。症状が全く現れない場合も少なくない。進行大腸癌でも環周度[16]が1/4以下ならば症状はほとんどない。1/2周を超えると腸内容の通過障害を起こす場合がある。

左側結腸に存在すると便通異常、腹痛、腹部膨満感などがあり、血便を伴うこともある。しかし、右側結腸ではこれらの症状は乏しく貧血、体重減少、腫瘤触知などの症状となる。これは上行結腸では内容物がまだ液体であるからであると説明されている。左側結腸の全周性病変になると排便困難、便秘イレウスを起こすこともある。
危険因子

以下のものが報告されている。
大腸癌に罹る家系
特に55歳以前の罹患や癌の多発の場合、顕著である。
年齢
大腸癌に進行するリスクは年齢とともに増加する。その多くは60歳代から70歳代で後期がんが発見されるが、早期発見のためには40歳以降は定期的な検診が必要であるとされる
[17]
癌の既往歴
卵巣癌子宮癌乳がんに罹患した婦人は、大腸癌に進行するリスクが増大する。
家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス、Familial adenomatous polyposis;FAP)
全大腸切除を施されない場合はほぼ100%が癌に進行する。
潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis)
長期罹患で寛解がコントロールされていない症例に多く、全大腸切除を施されない場合には25年後でおよそ30%が大腸癌となる。腸内細菌である硫化水素産生菌が産生する硫化水素が潰瘍性大腸炎の原因ではないかとの指摘がある。大腸の粘膜に硫化水素を代謝する酵素が存在するが、その処理量以上の硫化水素に大腸がさらされることが潰瘍性大腸炎の原因となるのではないかとの指摘がされている[18]


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