大涌谷
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大涌谷と冠ヶ岳箱根ロープウェイから見た大涌谷

大涌谷(おおわくだに)は、神奈川県箱根町にある箱根火山の火山性地すべりによる崩壊地形[1]。箱根火山の中央火口丘である冠ヶ岳の標高800 mから1,000 mの北側斜面にあり、地熱地帯で活発な噴気地帯でもある。箱根火山に多数有る噴気地帯の中では最大規模のものである。また、噴気と地下水を使った温泉の造成が行われており、多くの宿泊施設等への温泉の供給源ともなっている(後述)。
火山活動史
形成過程

大涌谷は二回の過程を経て形成された。約3100年前、箱根火山水蒸気爆発による山崩れが発生し、堆積物が溜まった。さらに約2900年前に小規模な火砕流が発生、冠ヶ岳ができ、また火山砕屑物が積もった。この火山砕屑物と山崩れによる堆積物の間が現在の大涌谷となっている。

大涌谷から強羅付近にかけての地下には、噴火によって生じたじょうご型カルデラの[2]直径3 km程度の陥没構造が複数あるとされ、この地域の研究を行った萬年一剛は強羅潜在カルデラ構造と呼称している[3]
有史以降

12世紀から13世紀 3回の火砕物降下
[4][5]

1910年(明治43年) 血池沢付近[6]での土石流により死者6名。但し、血池沢の正確な位置は不明。

1933年(昭和8年)

2月 噴気・温泉異常。噴気孔の移動。

5月 噴気の突出、死者1名。


1948年(昭和23年) 地すべり[6]

1974年から1978年 噴気地帯の移動。樹木枯死。

2000年以後

2001年(
平成13年)7月、大涌谷の蒸気井暴噴[7]、大涌谷北側と湯ノ花沢に新たな噴気[8]

2002年(平成14年)10月 、冠ヶ岳の東側斜面が崩壊し土石流が発生、遊歩道の一部が損壊、死傷者なし。

2007年(平成19年) 4月25日 箱根町大涌谷園地火山ガス警報放送システム運用開始[9]。火山ガスが一定以上の濃度を超えた場合、4ヶ国語で注意・避難を促す放送が行われる。

2011年(平成23年)3月から4月 東北地方太平洋沖地震東日本大震災)に伴い地震増加[10][11]

2013年(平成25年)群発地震および噴気地帯の変化(後述)[11]
火山性地震回数の推移 (2015)

2015年(平成27年)

3月27日 - 箱根山の噴火を想定した大涌谷周辺の観光客等の避難誘導マニュアルが作成された[12]。また、気象庁は3月31日に噴火警戒レベルを導入し、レベルを1(平常)に指定した[13]。なお、「平常」は当時のレベル1の呼称であり、2015年5月18日以降の呼称は「活火山であることに留意」である。

4月末から箱根火山を震源とする火山性地震が増加[14]。同時に大涌谷を水源域とする大涌沢からの水が流入する早川の白濁が報告されている[15]

5月3日 - 大涌谷の蒸気井暴噴(2001年以来14年ぶり)

5月4日 - 箱根町:周辺道路を通行止め、自然探勝歩道を閉鎖[16]

5月6日午前6時 - 気象庁:噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に指定[17]。同時に、箱根ロープウェイの全線運休と周辺への立ち入り規制強化を実施[16]

6月29日 - 大涌谷の北約1.2 kmで火山灰のような降下物を確認し現地調査の結果、ごく小規模な水蒸気噴火による新たな火口[18]の形成を確認した。6月30日には一連の活動の中で最大規模 M3.4 の地震を観測し、噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き上げられた[19]。なお、この水蒸気噴火の直前には神奈川県温泉地学研究所上湯場の地震計で熱水の貫入を示す周期の長い火山性地震(火山性構造性地震)が観測されていた[15]

10個程度の小規模な火口(噴気孔)の形成が確認された。

8月下旬頃から地震活動が沈静化すると共に地殻活動が停滞が観測され、9月11日には噴火警戒レベルが2に引き下げられ、10月には道路の通行規制が解除、箱根ロープウェイの運行も一部再開された[15]

11月20日 噴火警戒レベルが1に引き下げられたが、火口周辺の立入規制は解除されず継続。


2016年(平成28年)

7月26日 - 日中に限って立ち入り規制を一部解除(自然研究路を除く)[20]。これにより、箱根ロープウェイが全区間で運行再開[20]。大涌谷くろたまご館の営業も再開された。


2019年(令和元年)

5月19日 - 気象庁:噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に指定[21]、大涌谷付近に避難指示発令。


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