自由
概念
自由
(積極的自由 · 消極的自由)
権利
自由意志
責任
領域
学問
学問の自由(がくもんのじゆう)は、研究・講義などの学問的活動において外部からの介入や干渉を受けない自由。 近代市民革命の先進国であるイギリス、フランス、アメリカなどの権利章典や人権宣言には学問の自由についての条項が存在しない[1]。それは、イギリスやアメリカにおいては、市民的自由(思想の自由や思想の表現・交換の自由)が保障される結果として当然に研究の自由も保障されることになると考えられたためであり[1]、19世紀に学問の自由の保障の必要性が認識されるに至って大学教授など研究教育機関で被用者として研究教育を行う者が解雇等の脅威を受けることなく専門的職能を自由に遂行しうることを保障するものとして学問の自由が承認されるようになった[2]。また、フランスでは大学における学問の自由は、初等教育及び中等教育の自由を含めて「教育の自由」として扱われてきた[1]。 これに対して、ドイツでは早くから学問の自由(Akademische Freiheit)の観念が発展してきた[1]。市民革命が未完成で市民的自由の保障が不十分であったドイツでは、大学教授に対する学問研究の自由を保障することが不可欠だったためである[3]。その代わりに学外活動については学問研究と実践や現実政治とのかかわり合いは排除され政治的不自由を受けなければならなかった[4]。1810年のベルリン大学創設など学問の自由は大学の成立とともに主張されるようになり、1849年のフランクフルト憲法152条が「学問およびその教授は自由である」と定めて初めて憲法上の権利として保障された[5]。 20世紀に入るとヴァイマル憲法142条が「芸術、学問およびその教授は自由である。国は、これらのものに保護を与え、かつ、その育成に参与する」と規定して、学問の自由を芸術の自由と共に保障するとともに国の積極的義務を明記した[5]。また、第二次世界大戦後にはドイツ連邦共和国基本法5条3項やイタリア共和国憲法33条1項などが学問の自由を保障する規定を置いている[5]。 学問研究活動は、内心領域にとどまるものである限り、絶対的なものとして保障される[6]。 学問研究についてはその性質から本来は自由に委ねられるべきではあるが、明らかに反人倫的な生体実験や人類の将来に危険を及ぼすおそれのある研究については一定の規制が必要と考えられている[7]。その規制についても立法権や行政権がみだりに立ち入るのではなく第一義的には研究者と大学等の研究機関の自律や自主的判断に委ねられるべきと考えられるが、科学技術のめざましい発展から人体実験・生物兵器研究・核物質の平和目的以外での利用研究・ヒト遺伝子の操作などについては危険性や反倫理性の故に法的規制の必要性も議論されている[7]。 研究の成果は発表されることによって初めて価値を持つものが大多数であり、したがって研究発表の自由も当然に認められる。
目次
1 概説
2 学問の自由の内容
2.1 研究の自由
2.2 研究発表の自由
2.3 教授の自由
3 日本
3.1 大日本帝国憲法(明治憲法)
3.2 日本国憲法
3.2.1 学問の自由の保障
3.2.2 学問の自由の主体
3.2.3 学問の自由と教育の自由
4 オランダ
5 大学の自治
5.1 大学の自治の内容
5.1.1 人事の自治
5.1.2 施設の管理
5.2 大学の自治の主体
6 脚注
7 関連項目
概説
学問の自由の内容
研究の自由
研究発表の自由
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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