大奥_(漫画)
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大奥
ジャンル
SF時代劇フィクション歴史改変SF
漫画
作者よしながふみ
出版社白泉社
掲載誌MELODY
レーベルジェッツコミックス
ヤングアニマルコミックス

発表号2004年8月号 - 2021年2月号
巻数全19巻
話数全79話
アニメ
原作よしながふみ
監督阿部記之
シリーズ構成たかすぎ梨香
脚本たかすぎ梨香
キャラクターデザイン佐藤陽子
音楽川井憲次
アニメーション制作スタジオディーン
製作Netflix
配信サイトNetflix
配信期間2023年6月29日 -
話数10話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『大奥』(おおおく)は、よしながふみによる日本フィクション時代物少女漫画。隔月刊誌『MELODY』(白泉社)にて2004年8月号から2021年2月号まで連載された[1]

連載中から多くの日本の漫画賞#受賞歴)を受賞し、ジェンダーに対する理解を深める内容を称えられジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞も受賞・国内外での評価は高い。雑誌『ダ・ヴィンチ』が発表した2012年の「Book of the Year 2012」では女性誌コミックランキング部門で4位[2]。2023年6月時点でコミックスの累計発行部数は電子版を含め700万部を突破している[3]

メディアミックスも行われ、2010年に実写版映画第1弾、2012年にテレビドラマ・実写版映画第2弾。2023年1月からNHKドラマ10」枠でドラマ化(大奥 (2023年のテレビドラマ)を参照)。アニメは2023年6月からNetflixにて配信(#アニメを参照)。
作風

日本の江戸時代をモデルとした世界で、謎の疫病で男子の人口が急速に減少した結果、社会運営の根幹や権力が男から女に移っていく様を江戸城大奥を中心に描く。

徳川家の代々の将軍達や要職にあった者など、歴史上では男性である人物が女性に、女性である人物が男性に置き換えられている。春日局が大奥を作ったことや、当時のオランダ商館長日記[4]「(本文八十一頁→)1647年1月6日(日)...(中略)...(本文九十一頁→)陛下(家光)は、...無帽で膝を折って、足の裏の上に、玉座も何の台もなしに、直接畳の上に(正)座しており、黒地に青い格子で覆われた着物をまとい、他(の者たち)に対して目立つところはなく、見たところは色白で美男子であり、あまり太ってはいないが体格は立派で、彼等(日本人)の標準からすれば、背丈は低いというよりはむしろ高く、顔は丸いというよりは長く、43歳を過ぎているのに、外見からすると40歳より上には見えなかった。...(後略)...」などの詳細な史実と、フィクションを織り交ぜたストーリー構成となっている。

掲載誌『MELODY』での扉絵や柱にある粗筋では「男女逆転!パラレル時代劇」「これは日本の江戸時代とは似て非なる物語」と必ず記載されており、いわゆるSF作品(歴史改変SF)であると位置付けされている。
あらすじ

徳川三代将軍家光の時代、関東のとある山村で熊に致命傷を負わされた少年を発端に、赤面疱瘡と呼ばれる奇病が流行り始める。若い男にだけ感染するこの病は致死率80%、瞬く間に感染拡大し、約80年経過した頃には日本の男子人口は女子の1/4にまで減少していた。男子は子種を持つ大切な宝物扱い、女が全ての労働を担い家業を継ぎ、将軍職も三代目以降女が継ぐことに。夫を持てない貧しい女達は花街で種を付け、婿取りは富裕層の特権となる。

その頂点として将軍が囲った、俗に美男3000人と謳われる女人禁制の城──それが大奥である。

本作はその起こりから終焉までを、八代将軍吉宗の時代を起点とし、それ以前の出来事は彼女が読む『没日録』の内容としてほぼ時系列順に描いている。

なお、本項では便宜上、将軍の代替わりで区切って記載する。
8代将軍・吉宗編

正徳6年、旗本の水野祐之進は大奥御三の間に上がり、吉宗のご内証の方に選ばれる。大奥のしきたりを逆手に取った藤波の策略により水野は公には死罪となるが、吉宗の計らいで町人の進吉として生まれ変わる。

水野の一件や、オランダ商館カピタン[注釈 1]江戸参府の引見などを機に旧慣に疑問を持った吉宗は、御右筆頭・村瀬を訪ね、大奥の始まりから全てを記した『没日録』の頁を捲り始める。
3代将軍・家光編

幕府の基礎が確立されようとしていた家光(男)の治世下、赤面疱瘡で家光本人が急死してしまう。春日局はそれを隠蔽し、家光の御落胤・千恵を身代わりに立て、家光の血を繋ぐ世継ぎを産ませるために公家出身の美僧・有功を大奥入りさせる。理不尽な仕打ちに反発していた二人だったが、やがて互いの境遇と心情を知り愛を育んでいく。

春日局の死後、千恵は男子人口が元に戻るまでの措置として男名・家光を名乗り、亡父の名代を勤めると宣言。男子不足に悩まされていた大名家もこれに追随し、男名の女大名が誕生していく。

千恵は3人の姫を遺して死去し、有功は遺命で出家せず大奥総取締として大奥に留まることとなる。
4代将軍・家綱編

千恵の娘・家綱は政務を老中らに全任していたが政治は安定していた。明暦の大火の晩、家綱は突如義父・有功への好意を告白する。有功はこれを拒絶し、大奥を去り永光院として出家する。

家綱は世継ぎの無いまま薨去、綱吉が後を継ぐ。
5代将軍・綱吉編

五代将軍・綱吉はその美貌と賢さで人々から愛される日々を送っていたが、世継ぎの急死により再度の子作りを求められる。綱吉の父・桂昌院と大奥総取締・右衛門佐の権力争いも相まって日々派手になっていく綱吉の行為は男狂いの贅沢三昧と揶揄され、赤穂事件生類憐れみの令の影響もあり市井での評判は下落。だが「男女の愛とは子作りのためだけのものではない」と諭す右衛門佐とついに結ばれ、父の呪縛を断ち切り自ら家宣を後継に指名する。

その直後、右衛門佐は死去。やがて麻疹に倒れた綱吉に、側用人・柳沢吉保は秘めた想いを告白しながら彼女の命を絶つ。
6代将軍・家宣編

家宣の側用人・間部詮房に拾われた勝田左京は詮房に恋心を抱くが、詮房は左京を家宣の側室にする。六代将軍となった家宣は先代の悪政を正し、庶民からも善政を期待されたが程無く薨去。この際、取り乱した詮房と左京が関係を持ってしまったことが江島生島事件の序章となる。

左京は出家し月光院と名を改め、その娘・家継が七代将軍となる。
7代将軍・家継編

七代将軍・家継は幼く病弱であったため、大奥では世継ぎを巡って権力争いが起こる。先代家宣の正室であり紀州派の天英院側の謀略により、尾州派・月光院側の御年寄江島が捕らえられる(江島生島事件)。江島は死罪を申し渡されるが月光院は紀州吉宗を推す代わりに江島の命乞いをし、天英院はこれを受け入れた。

家継は僅か7歳で病没、八代将軍は吉宗となる。

ここまでの経緯を『沈日録』を読んで知った吉宗は、男子が少ない現状での開国は危険と判断し、鎖国を続けつつ赤面疱瘡の撲滅を目指す決意をする。
9代将軍・家重編

吉宗には3人の姫がいたが、長女・家重は言語障害・排尿障害などがあり老中らは廃嫡を上申していた。跡継ぎ問題の中、吉宗は家重の頭脳を見抜き九代将軍を継がせるが、天災や吉宗治世の負の遺産、大御所として吉宗が健在であったこともあり、家重への評判は低く無能扱いのまま一生を終える。

一方、家重を支えていた田沼意次は赤面疱瘡根絶に向け始動。長崎平賀源内を遣わして青沼を招き、大奥で蘭学の講義を始める。
10代将軍・家治編

田沼意次は十代将軍・家治の下で実質的な政を司り成果を挙げていくが、吉宗の次女・宗武の娘である松平定信からは、先の後継問題で禍根が残っていたこともあり、唯金主義と批判される。

一方大奥では、青沼や黒木らによって蘭学と赤面疱瘡の研究が進み、ついに人痘法に辿り着く。人痘法は大奥で成果を上げたものの、定信の甥が副反応犠牲者となってしまい、これをきっかけに田沼一派は失脚。


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