大きすぎて潰せない
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サブプライム住宅ローン危機の際にアメリカ合衆国政府により救済されたアメリカン・インターナショナル・グループの本社

「大きすぎて潰せない」(おおきすぎてつぶせない、英語: Too big to fail、略してTBTF)とは、特定の企業、特に金融機関はあまりにも大きく、相互依存関係にあるために破綻すれば広範な経済システムへの壊滅的打撃に繋がりかねず、破綻の瀬戸際に立った時に政府の支援が必要となってしまうことを指している[1]
概要

「大きすぎて潰せない」という慣用表現は、1984年の議会公聴会で連邦預金保険公社コンチネンタル・イリノイ銀行への介入について議論した際に、米国下院議員のスチュアート・マッキーニーが使用したことで広く知られるところとなった[2]。この表現は以前にもマスコミで時折使用されており[3]、同様の考えが初期の銀行救済の動機となった[4]

この言葉は、2007年-2008年世界金融危機後、言説での使用が顕著になった[5][6]。本政策は逆効果であり、リスク管理が効果的でないのであれば、大手銀行等の金融機関はそのまま破綻させるべきだとみる向きもあった[7][8]アラン・グリーンスパンを代表に、それほどまでに大きい組織であるのであれば、分割する必要があると考える専門家もいる。「大きすぎて潰せないのであれば、つまり大きすぎるということです[9]。」ポール・クルーグマンなど経済学者の中には、金融危機は主に銀行の規模ではなく規制が不十分であることに起因すると考えているものもおり、大恐慌の際に小規模銀行の倒産が広範に起こったことを例示し、議論を展開した[10][11][12][13]

2014年、国際通貨基金 (IMF) などは、この問題はまだ対処されていないと述べた[14][15]。システム上重要な銀行に対する新規制の個々の要素(追加の自己資本要件、監督体制の強化、破綻処理の枠組み)はTBTFの発生を減少させた可能性があるが、システム上重要な銀行の一覧が明確に存在するという事実は、その影響を部分的に相殺する[16]
定義

連邦準備制度理事会ベン・バーナンキ議長は2010年にこの言葉を次のように定義した。「大きすぎて潰せない企業とは、その規模、複雑性、相互接続性、機能の重要性があまりにも大きく、その企業が不意に清算に追い込まれた場合、金融システムや経済の他の部分が深刻な悪影響を受けてしまう企業のことである。」続けて、「政府が危機的状況にある大きすぎて潰せない企業に支援を提供するのは、その企業の経営者所有者債権者への好意や特別な配慮からではなく、無秩序な破綻を許すことによる経済全体への影響が、何らかの方法で破綻を回避するためのコストを大きく上回ると認識しているからである。破綻を回避するための一般的な手段の中には、合併の促進、信用の提供、政府の資本の注入が含まれ、これらすべてが、何ら対策を打たなければ損失を被ったであろう債権者のうち少なくとも一部を保護するものである。(中略)危機に一つの教訓があるとすれば、それは大きすぎて潰せないという問題は解決しなければならないものであるということであろう」と述べた[17]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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