夢幻花_(東野圭吾)
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夢幻花
著者
東野圭吾
発行日2013年4月15日
発行元PHP研究所
ジャンル推理小説ミステリ
日本
言語日本語
形態四六判並製
ページ数371
公式サイト ⇒www.php.co.jp
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ISBN 978-4-569-76560-0A6判

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『夢幻花』(むげんばな)は、東野圭吾推理小説。2013年度の柴田錬三郎賞受賞[1]
概要

PHP研究所刊行の月刊誌「歴史街道」に2002年7月号から2004年6月号まで連載された後、2013年4月15日にPHP研究所から単行本が刊行された。連載から単行本の出版までの期間が長くなったので科学情報が古くなるなどしたが、お蔵入りだけは絶対に避けたいとストーリーに大幅に手を入れ、2011年3月11日の東日本大震災にも触れる内容[2]になっている。

2016年4月7日にPHP文芸文庫版が発売された。
あらすじ

大阪の大学に在籍している蒲生蒼太は、父の三回忌で実家に帰っていた。兄・要介は、父の三回忌よりも仕事を優先して出かけてしまっていた。蒼太は、その要介を訪ねて来た秋山梨乃と知り合う。職業を偽ってまで梨乃に接近し、ブログから「黄色い花」の写真を直ちに削除するようにと脅迫した要介の真意は何なのか? 謎の「黄色い花」が江戸時代に姿を消した幻の花「黄色いアサガオ」だと知って梨乃の祖父・秋山周治が殺害された事件に少なからず関係していると考えた蒼太と梨乃は、2人で「黄色いアサガオ」の謎と事件の解明に向けて行動を起こす。一方、西荻窪署の早瀬亮介は、息子・裕太の窮地を救ってくれた正義感の強い老人・秋山が、所轄の殺人事件の被害者だと知って驚く。手掛かりが少なくとも絶対に迷宮入りにはさせないと、他の捜査員が別方向に向かうのを他所に単独で犯人逮捕を目指していた。幾つもの道筋を描く人々の行く手に、50年ほど前の陰惨な通り魔事件が浮かび上がる。

やがて、蒼太のひと夏とも言えぬ短い恋を踏み躙った家族と元恋人の謎、幻の花とされる「黄色いアサガオ」を巡る闇に辿り着く。
登場人物
蒲生蒼太(がもう そうた)
大学院生東京都江東区木場の実家を離れ、東大阪市で駅が2つばかり離れたマンションから通う大学で「物理エネルギー工学第二科(旧「原子力工学科」)」に籍を置き原子力工学を学んでいる。以前は定番コースの原子力関連会社に就職するのが普通だったが、震災原発事故により未来が感じられなくなり原子力とは無関係の会社に就職する人間が増えており、地元・大阪の友人の藤村と共に就職を目の前にして進路に迷っている。更には、除け者にされるだけの東京の実家では家族に囲まれていても孤独だった。中学2年の夏、入谷の朝顔市には七夕に一家で毎年出かけるのが蒲生家の恒例行事だから楽しまないと損だと母に言われを奢って貰えるということもあり同行していたが、険しい視線をアサガオに向ける父と兄の様子に不審を抱いていた。その朝顔市で伊庭孝美という少女と出会い、恋に落ちる。しかし、PCを買って貰う時に抜き打ちで中身を見るとは言われたが、本当にPCやメールを父が盗み見て孝美との交際を踏み潰され、同じ被害者である筈の孝美にも一方的に別れを告げられて捨てられ深く傷つく。そのため、朝顔市には2度と行かなくなった。兄に遠慮しているかのような母に疑問を抱いていたが、小学3年生の時に帰宅した自身の胸の名札を見た近所の靴屋の「2番目の奥さんの子」という言葉に母が後妻であり、兄とは異母兄弟であることを知る。それでも自身を除く、両親と兄の仕打ちに嫌気がさしていたため、干渉されない遠い場所の大学にしようと決意し、一番強く反対した母の反対を押し切って大阪の大学に進学した。父方の叔母・綾子に慰められても暗い気持ちは晴れることはなかった。10年後、殺人事件の被害者の孫娘・梨乃と知り合い、植物専門の会社の代表だと名乗って根掘り葉掘り聞いた末に梨乃を脅迫したことを知り、警察庁の役人が何事だと激怒して要介を電話で詰り梨乃と団結して謎に立ち向かう。事件の真相を追う過程で、梨乃の自殺した従兄が作ったバンドで偽名を名乗る孝美と再会する。その直後に孝美が、母の過去を知ったら母が姿を消し、事件は混迷を深めるのだった。紆余曲折の末に殺人事件が解決した後、原因の1つが曾祖父にあるという蒲生家3代の「黄色いアサガオ」追跡の実態を知る。問題の花は最初は何かわからなかったが、昔、実家にあったアサガオに関する本で「変化アサガオ」というものを見知っていてアサガオだと気づいた。
秋山梨乃(あきやま りの)
東京の高円寺の女性用マンションで暮らす大学3年生。水泳オリンピックに出ることを目標にしていたが、突然、心因性の発作に襲われて泳げなくなった。その後、父・正隆や母・素子の期待に応えられなかったという自責の念から実家を離れ、マンションに移ったのだった。水泳のことに触れられることを嫌い、後に事件を介して知り合った蒼太にもヒステリックに八つ当たりしてしまう。新宿の街を歩いていた時、父方の従兄・尚人の自殺に彼の弟・知基や2人の母親である叔母・佳枝と共に動機がわからず困惑し、祖父の周治が育てている花に癒されブログで花の写真を発表しようと祖父に持ちかけ、定期的に周治の家に通っていた。2ヶ月後にすぐに萎れるも花が咲いたと妙に興奮気味だった周治に告げられるが、ブログには掲載しないで欲しいと言われ怪訝に思う。それでも祖父の意思を尊重したが、3週間後に洋菓子を頼まれてワッフルを持って訪ねると殺されていた。ちょっとだけフットワークも口も軽く、孝美の在籍している大学で「テレビの取材」と誤魔化そうと嘘をつくが、悪くすれば通報される危険性があったので蒼太を慌てさせた。祖父を殺した犯人として逮捕された従兄の親友に面会してトリップしないとマトモに作曲できない自分たちは紛い物であり、真の才能を持ちながら逃避していると生前の尚人と共に同じ無念を抱く雅哉にそう言われる。それを機に、原因不明の精神的問題を抱えつつ再び水泳にチャレンジすることになる。
秋山周治(あきやま しゅうじ)
梨乃の祖父。3年前から西荻窪で一人暮らしをしている。たくさんの花を育てながら気ままな独り暮らしの生活を送っていたが、何者かに殺害される。死因窒息死。後ろからウィスキーの瓶で殴り倒され、とどめを刺すために素手で扼殺されたのだった。在職中は、当時はまだ存在しなかった青いバラを作る仕事に携わっていたが、その頃の苦い記憶が原因で「人間は嘘をつくが、花は嘘をつかず心を込めれば応えてくれる。」というのが口癖だった。娘の子である尚人とその親友・雅哉に渡された種の幻覚作用が尚人を自殺に追いやったことを知って警察に通報しようとしたため、種を失うことを怖れて混乱した雅哉に殺されてしまう。家庭を顧みることがなく研究に没頭して妻が体調を崩していることに気づかず、病床に就いた頃には既に手遅れだったが、それでも妻は自身の研究が実を結ぶまではと「茶断ち」をして夫の成功を祈ってくれていたことを亡くなった後に知った。せめてもの罪滅ぼしに妻の死後は自身も死ぬまでお茶を飲むまいと「茶断ち」をしており、普段はインスタントコーヒーを飲んでいるので梨乃にはコーヒーが好きなのだと誤解されていた。しかも来客があってお茶を出しても自身は白湯を飲むという徹底ぶりだった。日野に「黄色いアサガオ」のメカニズム解明を持ち掛けた矢先、悲劇に見舞われた。早瀬の息子を万引きの濡れ衣から救ったことからも正義感の強い人物だが、その正義感が仇になったとも言える事件だった。肉親とそれ以外の人間に対するのとでは温度差があり、通報すると告げた際はきつい口調になっていた。
蒲生要介(がもう ようすけ)
蒼太の13歳年上の腹違いの兄。警察庁の役人。実母は自身を産んで数年後に病死した。ブログに「黄色い花」の写真をアップした秋山梨乃に架空の会社「ボタニカ・エンタープライズ」の代表と身分詐称で接近し、情報を提供すると偽って画像を削除し口外しないよう脅迫する。口を閉ざして蚊帳の外に置けば蒼太は何も知らずに済むと思っていたが、自身に対する反発から三回忌で帰省していた蒼太の在宅中に梨乃が蒲生家を訪ねて2人が手を組んだことを後になって知った。義母の両親が犠牲になった「MM事件」の捜査を上層部の命令で断念させられた捜査一課課長だった祖父・意嗣の代より長男にだけは「黄色いアサガオ」撲滅の使命を告げられ、亡き父の死後も監視を続けていた。加害者側に属する父と被害者側の母との約束で蒼太には隠蔽することに同意していたが、いずれ弊害が出ると察していた。しかし、蒼太と梨乃が手を組むことを想像だにしていなかったという予測の甘さもあった。


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