多発性骨髄腫
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多発性骨髄腫

多発性骨髄腫の病理写真
概要
診療科血液学
分類および外部参照情報
ICD-10C90.0
ICD-9-CM203.0
ICD-OM ⇒9732/3
OMIM254500
DiseasesDB8628
MedlinePlus000583
eMedicinemed/1521
Patient UK多発性骨髄腫
MeSHD009101
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多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ、英語: Multiple Myeloma、略称:MM)は、形質細胞腫瘍の一種であり、その中では最も患者数の多い[1]。難治性血液腫瘍である[2]

多発性骨髄腫は全悪性腫瘍の約1%、血液疾患全体の約10%を占める疾患である[3]。発症者のほとんどが40歳以上[3]と高齢者に多い疾患であり、高齢化に伴い患者数が増加していくと予想されている[4]。1997年以降に化学療法に変革が起き、その結果として生存率は改善している[5]。多発性骨髄腫を含む形質細胞性腫瘍の前段階として意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(英語版)(以後MGUSと記載)がある[6]。また、症状がない段階としてくすぶり型骨髄腫(英語版)(以後SMMと記載)が定義されており、症状のある段階は症候性骨髄腫と呼んで区別している[6]。多発性骨髄腫ではMGUSからSMMを経て症候性骨髄腫に至ると考えられており、治療は症候性骨髄腫になってから始められる[6]
原因・発生メカニズム

多発性骨髄腫は胚中心で発生すると考えられている[7]。胚中心は免疫グロブリンの体細胞超変異およびクラススイッチが起きる場所であり、変異が起こりやすい[8]。詳細は「抗体#免疫グロブリンの多様性」を参照

多発性骨髄腫の発症の初期段階としては、14番染色体長腕(14q)を含む染色体転座と高2倍体が知られている[9]。染色体転座は患者全体の約40%、高2倍体は約50%、両方発生しているのが約10%だという[9]。14qには免疫グロブリンH鎖(英語版)(IgH)遺伝子があり[10]、転座によってIgHエンハンサーの近くに移動したがん原遺伝子が恒常的に過剰発現して腫瘍化すると考えられている[11]。高2倍体では、奇数番染色体(3,5,7,9,11,15,19,21)のトリソミーが確認されている[12]。トリソミーが腫瘍化を引き起こすメカニズムとして、クロモスリプシス(染色体破砕)が関与している可能性が示唆されている[12]
リスク因子

加齢、男性、黒色人種、多発性骨髄腫の家族歴は発症率を高めるリスク因子であることが確認されている[13][14]。移民の比較で有意差がみられなかったことから環境因子の影響は小さいと考えられている[15]。職業関連では、農業、消防士、理容師、業務中の化学薬品(特にベンゼン[16])と農薬への曝露もリスクが高くなることが報告された[13]。生活因子ではタバコやアルコールは発症率と無関係だと言われているが、過体重や肥満はリスク因子だという[13]。しかしタバコ副流煙に含まれるベンゼンなどの物質はリスク因子となる[17]

放射線被曝がMGUSまたはMMの発生リスクと関係があるかどうかについても研究されている。長崎大学原子爆弾被爆者を対象にしたMGUS研究によれば、被爆時の年齢20歳以上では被曝線量と有病率に関連性はみられなかったが、被爆時に若年であると被曝線量が多いほどMGUSの有病率が上昇するという結果になった[18]。一方、エルドラドウラン鉱山労働者を対象にした研究では、ガンマ線曝露量は多発性骨髄腫の発生リスクを上昇させないという結論が出た[18]。また、アメリカ合衆国の原子力施設4つの作業者を対象にした研究では、45歳以上の中高年の群では50ミリシーベルト以上で多発性骨髄腫の発生率が有意に増加することが確認された[18]。日本赤十字センターの鈴木憲史は、日本の労災認定基準50ミリシーベルトはこの米国での研究結果を踏まえて定められたものだと推測している[18]
疫学

日本とイギリスの統計データでは50歳以上で高齢になるほど罹患率が高くなることが確認されており、一般的に高齢者に多い疾患だと考えられている[4]。また、MGUS患者は一般集団に比べて多発性骨髄腫や関連疾患になりやすいとの報告もある。ミネソタ州のクリニック[19] のMGUS患者を対象にした研究では、MGUS患者が多発性骨髄腫や関連疾患になる確率は1年間あたり1%であり、一般集団の7.3倍の確率だった[20]。また、血清M蛋白の初期濃度と種類も多発性骨髄腫への進行リスクに関係しており、IgM型とIgA型のM蛋白はIgG型に比べて進行リスクが高く、血清M蛋白の初期濃度が高いほど多発性骨髄腫への進行する割合は上昇する[20]
病態

骨髄で形質細胞(plasma cell)が腫瘍性に増加することにより、モノクローナルな異常γグロブリン(M蛋白)を産生し、これにより総蛋白の上昇がおこり、赤沈促進が進み、過粘稠症候群を起こす場合もある。

腫瘍化した形質細胞が破骨細胞を活性化し骨芽細胞を抑制することで溶骨性変化が起こり,骨痛や病的骨折・高カルシウム血症も伴う。また正常造血も抑制され貧血などの血球減少も伴う。

異常産生されるグロブリン軽鎖蛋白であるベンズジョーンズ蛋白(BJP)により腎障害もおこる。
臨床像
骨の痛み

多発性骨髄腫による骨の痛みは脊髄肋骨にみられることが多く、運動することにより悪化することがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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