多発性筋炎
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meiosis」、「miosis」、「mitosis」、あるいは「myosotis」とは異なります。

筋炎
概要
診療科リウマチ学
分類および外部参照情報
ICD-10M60
ICD-9-CM729.1
OMIM160750
DiseasesDB29473
MedlinePlus001245
MeSHD009220
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炎症性筋疾患または筋炎(myositis)は骨格筋に炎症性変化および障害をきたす疾患である。ウイルスや細菌などの感染が原因となる感染性筋炎(infectious myositis)と自己免疫が原因となる自己免疫性筋炎(autoimmune myositis)または特発性炎症性筋疾患(idiopathic inflammatory myopathy、IIM)、薬物や治療に関連する有害事象性筋炎に分類される。有害事象性筋炎は免疫チェックポイント阻害薬関連筋炎、スタチン関連免疫介在性壊死性ミオパチー、慢性移植片宿主病などがある。おもに自己免疫性筋炎に関して述べる。
歴史

1975年に発表されたBohanとPeter(ボアンとピーター)の診断基準に基づき、長らく皮疹のある皮膚筋炎(dermatomyositis)と皮疹のない多発筋炎(polymyositis)に分類されていた[1][2]膠原病内科や皮膚科領域では多発(poly)と多発性(multi)の区別がなされていないため多発筋炎を多発性筋炎と記載されていることもある。OlsenとWartmannはさらに悪性腫瘍に伴う筋炎や封入体筋炎も自己免疫性筋炎に加えて分類した。その後、筋炎特異自己抗体(myositis-specific autoantibody、MSA)と他の膠原病でも見出される筋炎関連自己抗体(myositis-associated autoantibodies、MAA)に関する知見や筋病理所見の特徴が明らかになった。2003年にDalalasとHohfeldが炎症性筋疾患から封入体筋炎を除外したうえに皮疹と有無と筋病理を重視した多発筋炎と皮膚筋炎の診断基準を作成した[3]。2004年にヨーロッパ神経筋センター(European Neuromuscular Centre、ENMC)ワークショップでは皮膚筋炎、多発筋炎、封入体筋炎免疫介在性壊死性ミオパチー、非特異的筋炎の5つに分類するENMC分類基準を作成した[4]。さらに2014年のヨーロッパ神経筋センターのワークショップでは抗合成酵素症候群(anti-synthetase syndrome、ASS)が独立したサブタイプとして追加された[5]。さらに2018年に皮膚筋炎の診断基準も改訂した[6]。ミクソウイルス抵抗性蛋白質A(myxovirus resistance protein A、MxA)はT型インターフェロン(IFN-T)で誘導される代表的な蛋白質である。骨格筋の筋線維におけるMxAの発現は筋束辺縁部萎縮(perifascicular atrophy)よりも皮膚筋炎の診断で感度・特異度ともにすぐれており2018年の改訂で診断基準にも含まれるようになった。皮膚筋炎は全身性エリテマトーデス関節リウマチとともにT型インターフェロノパチーとして認識されるようになった。全身性エリテマトーデスは病態形成にIFN-Tが関与するうえ、C型肝炎の治療でIFN-α投与した際の副作用で全身性エリテマトーデス様の自己免疫現象が認められるためT型インターフェロノパチーの代表疾患である。臨床的に多発筋炎と診断される例のほとんどが筋病理学的には免疫介在性壊死性ミオパチーであり、多発筋炎の組織学的定義は「CD8陽性T細胞の筋内鞘および非壊死性線維内部への浸潤を伴う」というものであるがこれを厳密に採用すると多発筋炎と病理診断される例はほとんどなくなった。従来、多発筋炎と病理診断されてきた例のほとんどは封入体筋炎であった[7]。そのため、自己免疫性筋炎は皮膚筋炎、抗合成酵素症候群、封入体筋炎、免疫介在性壊死性ミオパチーの4つのサブタイプに分類されるようになりつつある。自己免疫性筋炎は膠原病内科、皮膚科、小児科、脳神経内科と様々な診療科で診療される。2004年に上記4科の疫学者、生物統計学者が集まり、国際筋炎分類基準プロジェクト(International Myositis Classfication Criteria Project、IMCCP)を結成し、新たな国際筋炎分類基準を策定することになった。その結果はヨーロッパリウマチ学会、アメリカリウマチ学会によって2017年に承認された[8]。国際診断基準では無筋症性皮膚筋炎(amyopathic dermatomyositis、ADM)の定義が変更された点に注意が必要である。国際診断基準では筋力低下を認めず、皮膚筋炎に典型的皮疹をもつ症例はすべてADMとよぶ。
疫学

多発筋炎、皮膚筋炎の患者は日本では約17000人おり毎年1500人増加している。男女比は1対2.7と女性に多く中年期発症が多い。初期より間質性肺炎の合併が過半数で認められた。
病態

自己免疫性筋炎は種々の程度で筋炎、特徴的な皮膚症状、間質性肺炎を合併するスペクトラムである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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