多様体
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2015年11月)
好きなところに座標を描ける多様体

多様体(たようたい、: manifold, : Mannigfaltigkeit)とは、解析学(微分積分学複素解析)を展開するために必要な構造を備えた空間のことである(ただし位相多様体においてはその限りではない。ただ、単に多様体と言った場合、可微分多様体か複素多様体のことを指す場合が多い)。それは局所的にユークリッド空間と見なせるような図形や空間(位相空間)として定義される。多様体上には好きなところに局所的に座標を描き込むことができる。
直感的な説明地球の地図

多様体に座標を描くという作業は地球上の地図を作る作業に似ている。地図の上の点は地球上の点に対応し、さらに地面には描かれていない緯線や経線を地図に描き込むことによって、地図に描いてある地域の様子が分かりやすくなる。座標の無い地球上の様子は、人間が作った座標のある地図と対応させることによって非常に把握しやすくなる。

地球は球であり、世界地図を一枚の平面的な地図におさめようとすれば、南極大陸が肥大化したり、地図の端の方では一枚の地図の中に(連続性を表現するために)同じ地点が複数描き込まれたりする。世界地図をいくつかの小さな地図に分割すると、こういった奇妙なことはある程度回避できる。例えば、北極を中心とした地図、南極を中心とした地図、ハワイを中心とした地図、ガーナを中心とした地図…… などのように分割できる。そして隣り合った地図の繋がりをそれぞれの地図に同じ地域を含めることで表現すればよい。こうすることによって異なる地図同士では重複する部分が出てきてしまうものの、一枚の地図の中に同じ地域が 2 箇所以上描かれることをなくすことはできる。

地球と同じように多様体は好きなところに小さな地図(局所座標系)が描ける図形である。逆に、このような小さな地図を繋げていったら全体としてどのような図形ができあがるのか?という問題は位相幾何学の重要な問題の一つでもある。地図だけみれば地球をまねて作っているようなゲーム(例えば、ファミコン版のドラゴンクエストシリーズ[1])の世界が、実は球面ではなく平坦トーラスだったということもある。

多様体は性質のよい図形であり、多様体でない図形も多く存在する。円や球や多角形、多面体などは全て多様体として扱えるが、ペアノ曲線フラクタルなどは適当な地図を描くことはできず、多様体にはならない。
定義

多様体の定義で重要な点は、多様体の上にいかにして座標系を貼り付けるか?ということと、どのような座標系を用いたとしても計算に違いが現れないようにすることである。多様体は計算したいときに座標を導入でき、しかもどのような座標系で計算したとしても違いがない、すなわち座標系に依存しないという非常に扱いやすい性質が追求された図形である。

ここでいう計算とは関数ベクトル、それらの微分積分などのユークリッド空間の上で普通に行われているような座標を用いた計算のことである。
局所座標系同相写像 φ とその逆写像 φ?1 で対応付けられた(座標の無い)集合 U と(座標のある)集合 U '

M を位相空間とする。M の開集合 U に対して、m 次元ユークリッド空間の開集合 U ' への 同相写像 φ : U → U ′ {\displaystyle \varphi \colon U\to U'}

を局所座標系 (local coordinate system) あるいは(局所)チャート (chart) という。 a ∈ M に対し、φ(a) を局所座標 (local coordinates) という。局所座標は、ユークリッド空間の点として見たときの特定の座標すなわち m 個の数の組 (φ1(a), ..., φm(a)) であるのに対し、局所座標系は、U 上で定義された m 個の関数 (φ1, ..., φm) の組である。

局所座標を用いることにより U 上の点を m 次元ユークリッド空間の点であるかのように扱うことが可能になる。U 上に局所座標系 φ が定義されていることを (U, φ) という対で表し、これを m 次元座標近傍 (coordinate neighborhood) あるいはチャートという。局所座標系の成分を明示的に (U;φ1, ..., φm) のように書き表すこともある。U∩Vは、 φ(U∩V) と ψ(U∩V) の 2 通りの局所座標で表されているが局所座標同士は座標変換で写り合う

M の二つの座標近傍 (U,φ) と (V,ψ) について、 U ∩ V が空でないとする。局所座標系 φ と ψ は U と V をそれぞれ m 次元ユークリッド空間の開集合 U ', V ' に写すとする。すなわち φ : U → U ′ , {\displaystyle \varphi \colon U\to U',} ψ : V → V ′ {\displaystyle \psi \colon V\to V'}

である。このとき ψ ∘ φ − 1 : φ ( U ∩ V ) → ψ ( U ∩ V ) {\displaystyle \psi \circ \varphi ^{-1}\colon \varphi (U\cap V)\to \psi (U\cap V)}

は、m 次元ユークリッド空間の開集合から開集合への同相写像になる。この写像を (U, φ) から (V, ψ) への座標変換 (coordinate transformation) という。座標変換を用いれば、同じ開集合 U ∩ V に定義された異なる局所座標 φ と ψ を同じものとして扱うことができる。

座標変換はまず φ−1 で M に戻してから ψ によって座標のある集合 V ' に写す写像である。間に座標が決められていない空間 M を挟む形になっているものの、座標変換全体はユークリッド空間の部分集合 U ' からユークリッド空間の部分集合 V ' への写像になっている。すなわち M を経由しているという事実を無視し、座標変換を合成写像としてではなく全体で 1 つの写像として捉えると、それは普通のユークリッド空間からユークリッド空間への写像である。

m 次元座標近傍の族 S = {(Uλ, φλ) 。λ ∈ Λ} が M 全体を覆っているとする: M = ⋃ λ ∈ Λ U λ . {\displaystyle M=\bigcup _{\lambda \in \Lambda }U_{\lambda }.}

このとき、S を座標近傍系 (system of coordinate neighborhoods) あるいはアトラス (atlas) という。アトラスというのは地図帳のことで、局所的な地図であるチャートをいくつも集めて作った地図帳という意味である。
位相多様体

M をハウスドルフ空間とする。M の任意の点 a に対して、a を含む m 次元座標近傍 (U, φ) が存在するとき、M を(境界のない)m 次元位相多様体 (topological manifold) という。

これまで、局所座標 φ(a) はユークリッド空間 Rm に値を取ると考えてきたが、代わりに半空間 Hm = {(x1, x2, ..., xm) ∈ Rm 。xm ≥ 0} に値を取ると考え局所座標の定義を修正すると境界のある位相多様体が定義される。

N をハウスドルフ空間とし、N の任意の点 a に対して、a を含む m 次元座標近傍 (U, φ) が存在するとする。

半空間 Hm = {(x1, x2, ..., xm) ∈ Rm 。xm ≥ 0} の部分空間として Gm?1 = {(x1, x2, ..., xm) ∈ Rm 。xm = 0} を取ればそれは Rm?1 になる。 N の座標近傍系 S = {(Uλ, φλ) |λ ∈ Λ} に対し、各座標近傍 (Uλ, φλ) φ λ : U λ → U λ ′ ⊂ H m {\displaystyle \varphi _{\lambda }:U_{\lambda }\to U'_{\lambda }\subset H^{m}}

において Wλ = { a ∈ Uλ 。φλ(a) ∈ Gm?1} という集合を考えたとき ∂ N := ⋃ λ ∈ Λ W λ {\displaystyle \partial N:=\bigcup _{\lambda \in \Lambda }W_{\lambda }}

を N の境界という。∂N が空でないとき N を 境界のある m 次元位相多様体という。境界のある m 次元位相多様体の境界は m ? 1 次元位相多様体になる。
可微分多様体

m 次元位相多様体 M の座標近傍系 S = {(Uλ, φλ) 。λ ∈ Λ} の任意の 2 つの座標近傍 (U1, φ1), (U2, φ2) に対し、U1 ∩ U2 が空でないならば座標変換 φ 1 ∘ φ 2 − 1 : φ 2 ( U 1 ∩ U 2 ) → φ 1 ( U 1 ∩ U 2 ) {\displaystyle \varphi _{1}\circ \varphi _{2}^{-1}:\varphi _{2}(U_{1}\cap U_{2})\to \varphi _{1}(U_{1}\cap U_{2})}

のすべての成分が、Cn 級関数(n 回連続微分可能関数、すなわち n 回微分可能でありかつ n 階偏導関数がすべて連続となるような関数)となるとき、S を Cn 級座標近傍系という。

m 次元位相多様体 M が、Cn 級座標近傍系を持つとき、 Mを Cn 級 m 次元微分可能多様体(あるいは可微分多様体、differentiable manifold of class Cn) という。微分可能とか、可微分といった言葉を省略して Cn 級多様体ということもある。位相多様体のことを、座標変換の微分可能性を仮定しないという意味で C0 級多様体と呼ぶこともある。


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