多木 浩二(たき こうじ、1928年12月27日 - 2011年4月13日[1])は、日本の美術評論家・写真評論家・建築評論家。専門は芸術学。元千葉大学教授。
写真評から出発し、美術、建築、思想と多岐にわたって批評活動を展開した。スポーツと社会の関連も論究。著書に『眼の隠喩』(1982年)、『天皇の肖像』(1988年)、『シジフォスの笑い』(1997年)などがある。 兵庫県神戸市生まれ。神戸一中、旧制第三高等学校、東京大学文学部美学美術史学科卒業。和光大学助教授、東京造形大学教授、千葉大学教授、神戸芸術工科大学客員教授を歴任[1]。 1955年、『美術批評』誌の第2回芸術評論賞にて「井上長三郎論」で佳作入選。 中平卓馬、森山大道とともにPROVOKEの同人であったこともあり、写真についての評論を多く手がけているが(『日本写真史1840-1945(平凡社・1971年)』の本文の一部執筆も行っている)、それに限られることなく、美術一般、建築、戦争等にまで、その批評対象は及んでいる。 1979年頃、研究会「都市の会」で中村雄二郎、山口昌男、河合隼雄らと出会う。 2011年4月13日、肺炎のため神奈川県平塚市の病院で死去。82歳没[2]。
来歴・人物
著書
単著
『ことばのない思考――事物・空間・映像についての覚え書』(田畑書店, 1972年)
『四人のデザイナーとの対話――多木浩二対談集』(新建築社, 1975年)
『生きられた家』(田畑書店,1976年),のち改訂『生きられた家――経験と象徴』(青土社, 1984年/同, 1993年/同, 2000年/岩波書店[岩波現代文庫], 2001年)
『眼の隠喩――視線の現象学』(青土社, 1982年/同, 1992年/同, 2002年/筑摩書房[ちくま学芸文庫], 2008年)
『「もの」の詩学――ルイ十四世からヒトラーまで』(岩波書店[岩波現代選書
『欲望からの批評〈1〉視線の政治学』(冬樹社, 1985年)
『モダニズムの神話』(青土社, 1985年)
『欲望の修辞学』(青土社, 1987年/同, 1996年)
『比喩としての世界――意味のかたち』(青土社, 1988年)
『天皇の肖像』(岩波書店[岩波新書], 1988年/岩波現代文庫, 2002年)
『それぞれのユートピア――危機の時代と芸術』(青土社, 1989年)
『絵で見るフランス革命――イメージの政治学』(岩波書店[岩波新書], 1989年)
『写真の誘惑』(岩波書店, 1990年)
『ヨーロッパ人の描いた世界――コロンブスからクックまで』(岩波書店, 1991年)
『ヌード写真』(岩波書店[岩波新書], 1992年)
『神話なき世界の芸術家――バーネット・ニューマンの探究』(岩波書店, 1994年)
『都市の政治学』(岩波書店[岩波新書], 1994年)
『スポーツを考える――身体・資本・ナショナリズム』(筑摩書房[ちくま新書], 1995年)
『思想の舞台』(新書館, 1996年)
『シジフォスの笑い――アンセルム・キーファーの芸術』(岩波書店, 1997年)
『建築・夢の軌跡』(青土社, 1998年)
『船がゆく――キャプテン・クック支配の航跡』(新書館, 1998年)
『戦争論』(岩波書店[岩波新書], 1999年)
『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』(岩波書店[岩波現代文庫], 2000年)
『20世紀の精神――書物の伝えるもの』(平凡社[平凡社新書], 2001年)
『船とともに――科学と芸術クック第二の航海』(新書館, 2001年)
『もし世界の声が聴こえたら――言葉と身体の想像力』(青土社, 2002年)
『写真論集成』(岩波書店[岩波現代文庫], 2003年)
『最後の航海――キャプテン・クックハワイに死す』(新書館, 2003年)
『雑学者の夢』(岩波書店, 2004年)
『死の鏡――一枚の写真から考えたこと』(青土社, 2004年)
『進歩とカタストロフィ――モダニズム夢の百年』(青土社, 2005年)
『肖像写真――時代のまなざし』(岩波書店[岩波新書], 2007年)
『建築家・篠原一男――幾何学的想像力』(青土社, 2007年)
『表象の多面体――キーファー、ジャコメッリ