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技能実習制度(ぎのうじっしゅうせいど、英: Technical Intern Training Program)は、1993年(平成5年)に導入され、「技能実習」の在留資格で日本に在留する外国人が報酬を伴う実習を行う制度である。 技能実習制度は、出入国管理及び難民認定法別表第一の二に定める「技能実習」の在留資格により日本に在留する外国人が報酬を伴う実習を行う制度である。企業等の実習実施機関が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する企業単独型と、商工会等の営利を目的としない監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の実習実施者で技能実習を実施する団体監理型に大別することができる。 また、いずれの型についても、入国後1年目の技能等を修得する活動と、2・3年目の修得した技能等に習熟するための活動とに分けられており、技能実習の1年目を「技能実習1号」、2・3年目を「技能実習2号」、4・5年目を「技能実習3号」、企業単独型の1年目を「技能実習1号イ」、団体監理型の1年目を「技能実習1号ロ」、企業単独型の2・3年目を「技能実習2号イ」、団体監理型の2・3年目を「技能実習2号ロ」、企業単独型の4・5年目を「技能実習3号イ」、団体監理型の4・5年目を「技能実習3号ロ」と表記される[1]。 技能実習制度は、日本の技能、技術、知識を途上国へ移転させ、経済発展を担う人づくりに寄与することを目的としている。基本理念は2つあり、 となっている[2]。 「外国人研修生」は、民営または国公営の送出し機関から送出されて来日し、日本側の受入れ機関において研修する。研修生の滞在期間は、基本的には1年以内である。開発途上国への技術移転を確実に行うため研修計画が作成され、研修生はこれにそって研修する。その後、日本の技能検定基礎2級相当に合格する等、所定の要件を満たした場合には、同一機関(会社)で実践的な技術習得のために雇用関係の下で更に2年間滞在することが可能となる。これを技能実習といい、研修・技能実習と合わせると最長3年間の滞在期間となる。 受入れ方式は大きく二種類に分かれ、事業協同組合や商工会議所等がそのメンバーである企業等と協力して行う研修生を受入れる形態を「団体監理型」といい、受入れ機関の合弁企業・現地法人・一定の取引先企業等から企業単独で受入れる形態を「企業単独型」という。受入れが可能な研修生数は、原則として、受入れ企業の常勤職員20名に付き、研修生1名である。ただし、「団体監理型」では、受入れ可能な人員の枠が緩和されている。近年、「団体監理型」による研修生の受入れが拡大しているが、問題点も多い。 1960年代後半に、海外進出した日本企業が現地法人から現地社員を招聘し、技術や知識を習得した現地社員が、帰国後、その技術を母国(開発途上国)で発揮させたことから、国際貢献と国際協力の一環として1981年(昭和56年)に在留資格が創設された。 外国人研修制度の推進団体である財団法人国際研修協力機構(JITCO)は、研修生・技能実習生の受入れを行おうとする、あるいは行っている民間団体・企業等や諸外国の送出し機関・派遣企業に対し、総合的な支援・援助や適正実施の助言・指導を行っている[3]。また、研修生・技能実習生に対し、その悩みや相談に応えるとともに入管法令・労働法令等の法的権利を保障し、研修・技能実習の成果向上、研修生・技能実習生の受入れ機関と送出し機関等を支援している。 1993年(平成5年)には、「学ぶ活動」である研修に加えて、「労働者として」実践的な技能・技術を修得するための技能実習制度が導入された。2010年(平成22年)7月1日に出入国管理及び難民認定法が改正され、生産活動などの実務が伴う技能習得活動は技能実習制度に一本化された。ただし、在留資格としての「研修」は廃止されず、座学など実務が伴わない形での技能習得のみが認められる資格として存続する。 1981年(昭和56年)に出入国管理令の一部を改正する法律(昭和56年6月12日法律85号)により、出入国管理令[4]に「本邦の公私の機関により受け入れられて産業上の技術又は技能を習得しようとする者」の文言が追加され、外国人研修制度が創設された。 1990年(平成2年)6月に出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成元年12月15日法律79号)により、別表第一の四に「研修」の在留資格が定められた。1990年(平成2年)8月に「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の研修の在留資格に係る基準の六号の特例を定める件(平成2年法務省告示第247号)」により、団体監理型の研修が設定された[5]。 1993年に、「技能実習制度に係る出入国管理上の取扱いに関する指針」(平成5年法務省告示第141号)により、在留資格「特定活動」の一類型として技能実習制度が創設された。この制度は、外国人研修制度により一定水準以上の技術等を修得した外国人について、研修終了後、企業と雇用関係を締結した上で生産活動に従事し、研修で修得した技術等をよりスキルアップできるようにするとしている。当初は研修・技能実習の期間は合計で最長2年間だったが、1997年4月には最長3年間に延長された。 研修から技能実習へ移行するためには技能検定基礎2級か、財団法人国際人材協力機構(JITCO)の認定した技能評価システムの技能検定基礎2級相当試験に合格することが要件の一つとなっていたため、技能検定の基礎級が設定されていなかったり、JITCOの認定した技能評価システムがない職種については技能実習へ移行することができなかった。2021年3月16日現在、技能実習への移行が可能なのは、農業関係、漁業関係、建設関係、食品製造関係、繊維・衣服関係、機械・金属関係等合計85職種156作業である[6]。 技能実習に移行するための他の条件として、研修期間中の研修状況・生活状況が良好であると認められることが必要で、技能実習移行申請を行なうと同時に、地方入国管理局の委託によりJITCOの調査が行なわれる。また、技能実習計画を提出し、研修成果を踏まえた適切なものかどうかが求められるとされていた。 研修から技能実習への移行申請者数は、2002年度は22,997名、2003年度は27,233名、2004年度が34,816名、最新の2016年は75,089人と年々大幅に増加している[7]。 2010年7月に出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律(平成21年7月15日法律第79号)により在留資格「技能実習」が設けられ、従来は研修とされた期間を技能実習1号、特定活動(技能実習)とされた期間を技能実習2号とし、技能習得期間のうち実務に従事する期間はすべて労働者として扱われることとなった[8]。 この改正は、受入れ企業では労働者と同様に扱われることが多いにもかかわらず、従来の制度では労働関係法令が適用されないため、結果として賃金や時間外労働等に関するトラブルが多発したことなどに対処することを目的としている。 日本での滞在が1号・2号の期間を合わせて最長3年とされていること、技能実習1号から2号への移行には技能検定基礎2級相当の試験に合格することが要件となっているなど、労働法令の適用以外は基本的に従来の制度と同様の枠組みとなっている。 日本に居住して12ヶ月を過ぎると国際連合統計委員会で用いられる「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人のこと(長期の移民)」に該当し、統計上で移民に含まれるようになる[9][10]。 高まる批判を背景に2006年12月には規制改革・民間開放推進会議が答申において、2009年の通常国会までに研修生保護に関する法案を国会に提出するように求め、改革への取り組みが本格化した。 厚生労働省は省内に研究会を設け、改正案として、団体監理型の研修の代わりに技能実習を3年として労働法令による保護を強化することなどを盛り込んだ中間報告書を2007年5月に公表した[11]。 経済産業省も研究会を設置し、最初の1年の研修期間はそのままとする一方、研修生の相談窓口などの保護制度の強化、また技能実習終了時に技能評価試験を課し、合格者にはより高度な実習を受けるために再来日する機会を認めるとした改正案を2007年5月に公表した[12]。 また自民党は外国人研修・技能実習制度を抜本的に見直し、移民庁の設置を含む外国人定住を推進する法律について検討を行っており、上記の規制改革・民間開放推進会議の答申通り、2009年の通常国会への提出を目指している[13]。
概要
理念と仕組み
技能等の適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わなければならないこと、
労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと
外国人研修制度
歴史
沿革
技能実習制度創設以前
技能実習制度創設から在留資格「技能実習」の設定まで
在留資格「技能実習」の設定以降
改正までの経緯
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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